| ブガッティの顧客にとって10数億円はなんということはない |
ブガッティは「自動車史上もっとも高額なクルマ」、ラ・ボワチュール・ノワールを発表したばかり。
これはかつて”もっとも美しいクルマ”と言われたブガッティ・タイプ57SCアトランティークをモチーフとしたワンオフモデルで、その価格はなんと20億円。
そしてこのラ・ヴォワチュール・ノワールはすでに購入者が存在。
20億円のクルマを購入する人がいるということには驚くよりほかありませんが、さらに驚くべきことにブガッティは「別の」ワンオフモデルを製作する計画を持っている、と報じられています。
ブガッティは「ワンオフモデル」製作に前向き
これはBloomberg(ブルームバーグ)が報道したもので、ブガッティのチーフデザイナーであるフランク・ヘイル氏が「ワンオフビジネス」に注力する可能性を語った、という内容。
ブガッティは現在「シロン」を販売中ですが、ほかにも限定モデルとして「シロンスポーツ」「シロン110Ans Edition」「ディーヴォ」をリリース。
これらはすでに完売状態ですが、ブガッティがこういったモデル、そしてラ・ヴォワチュール・ノワールにおいて「何ができるのか」を世に示すことで、裕福な顧客たちがこぞってワンオフモデルを注文するようになる、という意図の話がインタビューにて出てきたようですね。
「富の集中」が新たなビジネスモデルを構築する
なお、これは現代の自動車業界においては「普通」の現象でもあり、たとえばラ・ヴォワチュール・ノワールの前に「もっとも高額な」クルマであったロールスロイス・スウェプテイル(15億円)を発表した後、ロールスロイスには多くの「同様のワンオフモデル製作依頼」が多数舞い込んだとされています。
この「ワンオフ」ビジネスは非常にコストがかかるものではありますが、「それ以上の利益」をメーカーにもたらすのは間違いなさそう。
ブガッティやロールスロイスのようなクルマは「台数を追求する」ようなクルマではなく、また誰もが買えるような額でもなく、しかし「買える人は何台でも買う」という傾向も(このクルマをローンで買ったり、無理して買う人はいない)。
そういった富豪にとっては、自分の好きに作らせたクルマに「10億円以上」を支払うことなど大した問題ではないと思われ(それよりも、”世界に一台”の自分仕様のクルマを手に入れるほうが重要)、ブガッティはそういったビジネスへとシフトしようとしているのかもしれませんね。
そして、そういった注文を集めることを目的として、「ブガッティができること」を示すために(シロンのような)市販車を販売する、というスタイルが”ブガッティの目指したいところ”なのかも、と思ったりします。
なお、それはフェラーリでも同様であり、フェラーリは先日公開されたP80/同様、ワンオフモデルを積極的に製作していることでも知られます。
その価格は「おおよそ3億円から」と言われ、それでも2年以上の「順番待ち」があると言われていて、「販売台数を増やせばブランド価値が下がり、しかし利益はなんとか増やさねばならない」という立場のフェラーリにとって、ワンオフビジネスはぴったりの方法かもしれませんね。
VIA: Bloomberg