
| やはり自社での電気自動車の開発は困難を極める |
となると中国の新興メーカーに助けを求めるのも「最適解」のひとつなのかもしれない
アウディの次世代ミッドサイズEVとして期待を集める「A4 e-tron」。
VWグループが誇る次世代EVプラットフォームの技術力を証明するフラッグシップとなるはずではあったものの、その道のりが想像以上に険しいものとなっていることが明らかに。
というのも、アウディ最高経営責任者(CEO)のゲルノット・デルナー(Gernot Döllner)氏によって「A4 e-tronの生産開始時期が最短でも2029年3月へ延期される」ことが語られたためで、これは同氏が以前示していた目標からさらに約9ヶ月の遅れを意味します。
かつてアウディの中核を担った「A4」の名を冠するEVに一体何が起きているのか、その背景と最新情報を見てみましょう。
この記事の要約
- アウディの新型ミッドサイズEV「A4 e-tron」の生産開始時期が当初の計画から大幅に遅れ、最短でも2029年3月へと再延期される見通しに
- 延期の大きな原因は、フォルクスワーゲン(VW)グループが開発を進める次世代EVプラットフォーム「SSP(Scalable Systems Platform)」の技術的なトラブルと開発の遅れにある
- 開発途中で車載電源システムを伝統的な12Vから48Vシステムへ変更した影響などが設計全体に波及し、当初2026年を目指していたSSP全体の導入自体が約3年遅れる事態となっている

アウディ「A4 e-tron」の最新スケジュールと概要
内燃機関(ガソリン・ディーゼル)を搭載した従来のA4は2024年に生産を終了し、後継としてガソリン車枠は新型「A5」へと統合されたというのが現在の状況ではありますが、これにより空席となった「A4」の名は次世代EV専用モデル「A4 e-tron」として復活することが約束されていたというのが「ここまでの流れ」。
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しかしドイツの大手経済誌等の報道によると、2029年3月の生産開始目標すらも流動的であり、実際には2029年の4月下旬から5月初旬にずれ込む可能性があるとされています。
車両デザイン自体はコンセプトカー「Concept C」からインスピレーションを得たセダンおよびステーションワゴン(アバント)のスタイルで計画されており、アウディのEVシフトを(デザイン的にも、そしてテクノロジー的にも)担う最重要モデルの一台であることに変わりはなく、よってこの遅れは「アウディにとってのそうとうな痛手(ある意味では致命傷)」であると考えていいのかもしれません。

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次世代EVプラットフォーム「SSP」遅延の原因と背景
今回のスケジュールの再遅延を引き起こした根本的な原因は、VWグループが総力を挙げて開発中の次世代EVアーキテクチャ「SSP(Scalable Systems Platform)」にあり、このSSPは現在アウディ「Q4 e-tron」などに採用されている「MEB」や、「A6 e-tron」「Q6 e-tron」に採用されている800V対応の「PPE」といった既存プラットフォームを将来的に一本化・置き換えるべく「2021年7月に発表された」次世代構造です。
SSPプラットフォーム開発における主な変更点と難航理由
- 48V車載電源システムへの変更: 開発がすでに進行していた段階で、従来の12V規格から48V規格への切り替えを決定。これにより制御ユニットやセンサー類、サプライヤーの部品設計全体に大幅な手直しが発生する
- 当初計画からの大幅な遅れ: 2021年の発表当初は2026年の市場投入を目指していたものの、今回の延期により当初計画から約3年遅れる見通しに
- 派生バリエーションの縮小: 当初8種類とされていたプラットフォームのバリエーションを、戦略的集約として4種類に半減させている
VWグループ主要EVプラットフォームのポジショニング
| プラットフォーム名称 | 主な採用車種 | システム電圧 | SSPとの関係性 |
| MEB | アウディ Q4 e-tron、VW ID.シリーズ | 400V | SSPへ将来的に統合予定 |
| PPE | アウディ A6 e-tron、Q6 e-tron、ポルシェ マカンEV | 800V | 高性能・上級モデル向け(将来的にSSPへ移行) |
| SSP(次世代) | アウディ A4 e-tron、次世代ゴルフEV(予定) | 800V / 48V電装 | グループ全体をカバーする主力アーキテクチャ |

競合比較・市場でのポジショニング
「A4 e-tron」の発売が2029年にずれ込むことで、プレミアム・ミッドサイズEVセダンの市場におけるアウディの立ち位置には大きな影響が及ぶことになり・・・。
| 比較項目 | アウディ(A4 e-tron) | BMW(i3 / プレミアムEVセダン) | メルセデス・ベンツ(Cクラス相当EV) |
| 投入予定時期 | 2029年春頃(大幅遅延) | 順次展開中(ノイエ・クラッセ等) | 先行投入・順次展開 |
| プラットフォーム | 次世代SSP(開発中) | Neue Klasse(ノイエ・クラッセ) | MMA / MB.EA |
| 市場での影響 | 該当セグメントで長期間の空白 | ライバル不在の中でシェア拡大へ | 早期に顧客層を獲得 |
内燃機関のA4が2024年に終了してからA4 e-tronが登場するまで、アウディはこの重要セグメントで約5年間にわたるモデルの空白期間を抱えることを意味していて、その間に競合であるBMWやメルセデス・ベンツが先行して同セグメントのEVを定着させる可能性が高く、アウディにとっては短期のみではなく中長期的にも非常に苦しい戦いを強いられる展開となります。

補足情報・VWグループ全体のEV戦略への波及
SSPプラットフォームの遅れによる影響はアウディ「A4 e-tron」だけに留まらず、VWブランドの主力車種である「ゴルフ」のフル電動モデルや「T-Roc」のEV版の導入に至っても2030年頃まで押し込まれる可能性が浮上しています。
さらには米EVメーカーの「リヴィアン(Rivian)」との技術提携を活用したSSPモデルの登場も「2020年代末以降」になると示されており、結果として、アウディやVWグループにとって「MEB」や「PPE」ベースの現行EVラインナップは、SSPへの一時的なつなぎとしてだけではなく、2020年代後半のビジネスを支えるメインストリームとして長期間”延命”運用せざるを得ない状況となっています。
つまるところ、アウディは「古い」プラットフォームにて競争厳しい、そして変革の速度が早い現在の電動化市場を戦わねばならず、そしてSSPが実践投入されたとしても、その開発の遅れはコストととなって跳ね返ってくることになり、大きく戦闘力を削られるであろうことは想像に難くない事実。
結論
アウディ「A4 e-tron」の2029年への再延期は、VWグループ全体が抱える次世代プラットフォーム「SSP」の開発難航を象徴する出来事となっていて、48V電装システムへの移行といった進歩的な技術選択が結果として市販化への大きなハードルと化してしまうことに。
アウディをはじめとするVWグループが、既存のMEBやPPEプラットフォームをどのように熟成させ、ライバル勢の猛追を凌ぎながら2029年のSSP投入までを乗り切るのか、今後のEV戦略の舵取りに注目が集まっているというのが現在の状況です(もしかすると、いったんここですべてを破棄し、中国のパートナーにゼロベースで設計してもらったほうが早く新型車を投入できるのかもしれない。すでにSSPは”投入前から”技術的に古くなっている可能性もある)。

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参照:Motor1











