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自動車メーカーにおける「金太郎飴的デザイン」は吉か凶かについて考える

2017/03/10

自動車メーカーにおけるデザインの共通化は果たして有用か?という記事がMotor1に掲載。
記事によると筆者は2012年に当時VWアウディグループのデザイン統括責任者であったワルター・デ・シルヴァ氏にインタビューする機会を得たとのことですが、その際にVWアウディグループにおけるデザインの共通性において質問した、としています。

なお、VWアウディグループのデザイン共通化については下記に画像とともにまとめています。

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この時筆者はワルター・デ・シルヴァ氏の回答に歯切れの悪さを感じ、「なんか言いたいのに言わない(言えない)」という雰囲気を感じたようで、シルヴァ氏が何らかの葛藤を感じていたのでは、と記載。
その後ワルター・デ・シルヴァ氏はVWアウディグループを離れていますが、何らかの思うところがあったのかもしれませんね。

なおこういった「金太郎飴」的デザイン、欧米では「マトリョーシカ」デザインですが、これは現在のメルセデス・ベンツ、BMW、アウディといった「ドイツ御三家」に顕著。

これのメリットとしてはブランド価値の増強といったものがあり、新興メーカー(今だと中国の自動車メーカー)にとってはその価値を形成するのに役立ちますし、老舗自動車メーカーにとってはその地位を確固たるものへと押し上げることに役立つのだと思います。

反面、「モデル間で区別がつかない」ようになるのも間違い無く、正直言うとサルーンに関しては画像だけ、もしくはパッと単体だけ見たときではメルセデス・ベンツ、BMWにおいて「何クラスか/何シリーズか」を判別するのが非常に難しくなっています。
これ自体は弊害ではありませんが、もしかするとEクラスを買おうとした人が「パッと見は似ているので」Cクラスを買う、という感じでより安価かつ利益の薄いモデルに流れる可能性があります。

加えて、そのデザインテイストが好きでない人はそのメーカーの車を買わなくなる、ということも起こりかねません。
例えば、CクラスとEクラスのデザインを全く違うものにしておけば、Cクラスが好きだがそうでもない、もしくはその逆という人が出るかもしれず、モデル間の住み分けができますし(Cが好きだからCを買う、Eが好きだからEを買う)、より広い嗜好の人々を拾えます(デザイン路線が一本だと、それを外した時のダメージが大きい)。

メルセデス・ベンツだとGクラスと他の「G系」デザインが異なるからこそ幅広いファンを獲得できているのであり、これらを統一してしまうと「同じような嗜好を持つ」人々を自社のラインナップの中で振り分けてしまう(カニバリズムが生じる)だけなんじゃないか、とも。

さらには、いずれはその世代のデザイン言語も切り替わることになり、メルセデス・ベンツやBMW、アウディのようにラインアップが多いメーカーの場合、全部切り替わる頃には「また別の新しいデザイン言語を持つモデルが登場」することになると思うのですね。

そう考えると、ぼく的には「同一世代間のデザイン統一(金太郎飴化)」はさほど有用ではなく、むしろ「世代を超えて通用するデザイン/アイコン」を確立することが重要であり、それは例えばBMWのキドニーグリルであり、フェラーリの各モデルが持つディティールであったり、ランボルギーニの持つシザースドアや(ガンディーニによる)フェンダーのカッティングであったり、ということなんじゃないかと考えています。

もちろんそれらの確立は容易なことではなく、だからこそ歴史のあるブランドは価値があるのでしょうね。

なおこれはアパレルやファッションブランドでも同じで、ルイ・ヴィトンだとモノグラムやダミエ、シャネルだとおなじみのロゴやキルティングといったもので、それらがあるからこそ、商品展開の幅を広げても「そのブランドだ」と認識されるのだと思います。

現在は新興国の成長によって世界中に購買層が広がっており、かつ国によっても嗜好は異なるので、やはりより広い嗜好を拾うべくデザインの幅はあった方が良いと考えていて、上述のルイ・ヴィトンだと「金太郎飴」的に同じデザインのバッグを大小揃えるのではなく、違うデザインのバッグを揃えないと顧客の幅を拡大するのは難しいだろう、ということです(実際にルイ・ヴィトンは相当にそのデザインを拡大)。

自動車に話を戻すと、ボルボがこの「マトリョーシカ・デザイン」については否定的な見解を示しており、「サイズ違いの靴を作るつもりはない」としていますね。

VIA:Motor1

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