｜ ロールスロイスはEVよりも静かなのか？ ｜
「ロールスロイスは、EVよりも静かなのか？」という動画が公開に。
ロールスロイスの静かさには様々な伝説があり、「ボンネットの上にコインを立てて置来、その状態でエンジンをスタートさせてもコインが倒れない」といったものは有名。
「シルヴァーゴースト」についても、もとの名称は「40/50HP」であったものの、レース（スコティッシュ・2000マイル・リライアビリティ・トライアル）に参加したところ、あまりのエンジン音の静かさから「幽霊のようだ」と驚かれ、周囲から「シルヴァーゴースト」と呼ばれるようになった、とされています。※”シルバー”は当時のボディカラーに由来
清水草一氏によると、ロールスロイスの命名において「ゴースト」「セラフ」「スピリット」「ファントム」といった霊や魂に関するものが多いことについて、「幽霊のように静か（当時、車とはうるさくて静かさとは無縁であり、しかしロールスロイスは優れた静粛性を持っていた）」、「死とは無縁の”幽霊（すでに死んでいるので）”がロールスロイスの桁外れの耐久性を意味していた」とのこと。
やっぱりロールスロイスは静かだった
動画では両者において実際に走行し、その際の室内の騒音を計測。
これによると、スマート・エレクトリックドライブの騒音レベルは平均85.3デシベル。
対してロールスロイス・ファントムの騒音レベルは77.9デシベル。
つまり、エンジンを持たないエレクトリックカーであるスマート・エレクトリックドライブよりも、6.75リッターV12という巨大なガソリンエンジンを持つロールスロイスのほうが「静か」ということになり、これはこれで驚きの結果。
なおロールスロイスが「静か」なのは2つの理由があると考えていて、ひとつは「エンジンそのものが静か」。
各パーツの精度、組み立て精度が非常に高いためにノイズが少ない、ということですね。
そしてもう一つは「遮音性」。
これはエンジンの発する音や振動が室内に入るのを防ぐほか、ウインドウを分厚くして外部からの騒音侵入を防いだり、ロードノイズが入ってくるのを防いだり、ということになります。
同じく「静かなクルマ」として知られるのはベントレーですが、これはサイドウインドウ（ガラス）の厚さが普通のクルマの2倍位以上だったり（下の画像）、コンチネンタルGTだと、そのレースバージョン「GT3」の重量が標準モデルから944キロも軽くなっていることからも「クルマを静かにするには、それなりに重くなる（GT3では遮音材などをそれだけ省略できる余地があった）」ということもわかります。
つまり、スマート・エレクトリックドライブがいかに「騒音を発するエンジン」を持たなくとも、遮音を重視しない限りは車内が静かになることはない、ということ。
以前にBMW i3とランボルギーニ・ウラカンの騒音を比較したこともある
なお、ぼくも「EVは本当に静かなのか」と考え、BMW i3とランボルギーニ・ウラカンを実際に走行させ、車内の騒音を比較したことも。
これはおおよそ時速60キロ位で走行したときのデータですが、BMW i3の室内の騒音レベルは62.5デシベル。
対してランボルギーニ・ウラカンだと69.2デシベル。
「意外と変わらない」という印象ですが、BMW i3は軽量化のために防音や遮音が削られており、正直「周囲の音がやたら入ってくるクルマ」だったと記憶しています。※速度域が上がれば上がるほど、両者の差は接近する
EVはバッテリーの搭載で重量が重くなり、そして何より走行距離を伸ばす必要があるために軽量化が重視されることになりますが、そのために犠牲となるのが「快適性」だといえそう。
つまるところ、「EV（電気自動車）はエンジンがないので自身の発する音は静かだが、周りから音を拾うので静かではない」とぼくは考えていて、それはつまりクルマの設計思想の問題であり、EVのトッププライオリティは快適性ではない、ということ。
よって「静かなクルマ」に乗りたいと考えるのであれば、やはり「快適性」がトッププライオリティに掲げられて設計されたクルマに乗るより他はなさそうです。
それでは動画を見てみよう
こちらが実際に両者の騒音レベルをタストしてみた動画、「Can a Rolls Royce really be quieter than an Electric Car?!」。