| EV時代には、あらゆる面でこれまでとは異なる考え方が要求される |
その意味では、EV化は各自動車メーカーに大きな進歩をもたらすのかもしれない
さて、BMWは新型7シリーズ、そしてそのピュアエレクトリック版であるi7の開発を進めていますが、今回「卓越したドライビングプレジャーと、クラス最高レベルの快適性」を両立するため、ミュンヘンの研究・革新センターにて行ったテストの風景と内容を公開しています。
BMWいわく「高級セダンの快適性のレベルは、乗員から気になる音をどの程度遠ざけることができるかによって大きく左右される」と指摘しており、これらのテストの多くは騒音に焦点を当てたもの。
実際のところ高級車に対して「静かさ」を求める顧客は非常に多いようで、レクサスが大きく認知度を上げたのも初代LS(日本ではセルシオ)の卓越した静粛性によるものですし、BMWグループに属するロールスロイスのウリ文句の一つも「外界とは切り離された、静寂に包まれた室内」だということからも「静かな室内」の需要がわかりますね。
BMWはノイズを特定して除去
なお、車内を静かに保つため、BMWのエンジニアは音響テストの一環として、さまざまな潜在的なノイズソースを調べることからはじまり、まずはエンジニアがテストドライブ中に発見した刺激的なノイズを登録し、ラボで再現することで「ノイズ発生源を特定し、選択的に除去」することができた、と述べています。
ちなみにですが、「EVはガソリンエンジンがないのでノイ図や振動はもともとないんじゃないの」と思ってしまうものの、走行中のノイズや振動については、ロードノイズによるものが大きく、タイヤやホイールの振動、サスペンション系やシャシーそのものの微細な振動から来ることが多いとされています。
加えてEVはバッテリーの消耗を抑えるために軽量化がなされることが多く、吸音や制振にかかわる素材の使用が抑えられることがあり、さらにはガラスさえも薄くされることがあるので、車外からの音を(たとえ静止状態でも)拾いやすくなっています。
実際のところ、かつてBMW i3に乗っていた身からすれば、「実際に走行してみると、BMW i3とランボルギーニ・ウラカンの騒音レベルはそう変わらない」ことにも驚かされ、数値的なものだとBMW i3では(時速60キロ位で)60デシベル、ランボルギーニ・ウラカンだと63デシベル。
ただし今回のBMW i7はi3とは異なり「高級車」なので、こういったノイズレベルでは許されず、とことん静かさを追求することになりますが、制振や吸音を強化すると車体重量が増し、そうなると満充電あたりの航続可能距離が短くなるのでバッテリーを増やし、そうなると価格が高くなったり運動性能が低下するといったジレンマに陥りそう。
加えて、車内が静かになればなるほど、これまで気にならなかった音が気になるのだと思われ、たとえば内装のビビリやきしみはもちろん、スイッチの操作音、ウインカーレバーなどの操作音やウインカー作動音、パワーシートの作動音、エアコンの送風音などもこれに該当することになるかと思われます。
具体的にはこういった対策を行った
そこで今回のBMWのように徹底的にノイズの発生源を究明し解決してゆくということになりそうですが、いくつか挙げられた例だと電気駆動ユニットには音響の最適化、電気モーターには「新開発のノイズカプセル化」を施し、タイヤについては剛性を高めるとともに、騒音や振動を最小限に抑えるために、内部にフォームアブソーバーを搭載したと紹介されています。
その他、「アコースティックライトウェイトコンストラクションと共に開発された革新的な素材 」を使用したサウンドインシュレーションを使用していますが、これは重量増加を最小限に抑えつつ吸音効果を最大化する素材なのだそう。
これらはピラー、シート、ルーフライナー、リアシェルフに使用され、加えてウインドウには「コンフォートグレージング」、ドア、シル、ホイールアーチトリムには「フリースエレメントを採用し、転がり音を低減」しているようですね。
さらに「静かさ」へのこだわりはエクステリアデザインそのものにも及び、i7には「クリアカットボディ表面、フラッシュサーフェスドアハンドル、”空力的に最適化された”ドアミラー、”ほぼ完全に閉じられた”アンダーボディパネルが装備され、空力的に音響が改善されているもよう。
こういったBMWの努力の甲斐あって、i7のオーナーは運転中も静かにくつろぐことができ、映画音楽家として知られるハンス・ジマーとの共同開発による「エモーショナルでパワフルな」BMWアイコニックサウンド・エレクトリックを車内で楽しむことが可能となるわけですね。
BMWがサウンドテストを行う様子を紹介した動画はこちら
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参照:DPCcars