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| 真の「Mの走り」を追求する開発思想とは |
スペック競争に一石を投じる、BMW M部門が下した「意外な決断」
1,000馬力や2,000馬力を誇るハイパーEVが次々と誕生し、「馬力こそすべて」のようになりつつある現代のEV市場。
そんなハイパワー競争が過熱するなか、BMWのモータースポーツ・高性能モデル部門である「BMW M」が次世代の電気自動車版「M3」において非常に冷静で現実的なアプローチをとることが判明したというのが今回のニュース。
BMW M部門のCEOであるフランク・ファン・ミール(Frank van Meel)氏によると、まず次世代EVプラットフォーム(ノイエクラッセ)を用いて1,000馬力を遥かに超えるモンスターEVを作ることは「技術的には十分可能(過去の実証車で約1,341馬力を達成済み)」。※実際のところ、1,300馬力にも対応できると以前に公言されている
しかし同氏は「あえてそれを行わない」と明言し、それはスペック上の数値を追い求めることよりもBMW Mが長年培ってきた「駆けぬける歓び」や「サーキットでの高い熱耐久性」、そして「走りのバランス」を重視した開発を進めているから。
ここではなぜBMWが安易な1,000馬力越えを拒むのか、そして期待されるEV版M3の真の実力について考えを巡らせてみましょう。

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【この記事の要約(3つのポイント)】
- 1000馬力オーバーはあえて封印:技術的には1,300馬力超(1,341hp)の出力も可能だが、市販モデルでは無理なハイパワー化を避け、900馬力未満に抑える見通し。
- 「数値」よりも「トータルバランス」を重視:過剰なパワーは冷却(熱管理)の複雑化や電費悪化、操縦性の低下を招くため、Mブランドとして「操る楽しさと耐久性」を最優先。
- 4モーター搭載でRWD(後輪駆動)切替も可能:各輪独立の4モーターシステムを採用。強力な全輪駆動から、クラシックな後輪駆動(FR風)へ瞬時に切り替えられる制御技術を搭載。
詳細:なぜ過剰な馬力を避けるのか?熱管理・重量・操縦性の壁
パワーを容易に引き出せるエレクトリックモーターの特性上、1,000馬力級のEVを作るのはガソリン車ほど難しくはなく、しかしファン・ミールCEOは、(興味深いことに)過度なハイパワー化には市販車として無視できない多くの「代償」が伴うと指摘しています。
最大の課題は熱管理(サーマルマネジメント)で、1,000馬力以上の出力を維持しようとすると発熱量が激増し、バッテリーやモーターを冷やすための大型冷却システムが必要に。

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これによって車両重量が重くなり、さらには電費(効率)が著しく悪化するという悪循環に陥ってしまい、そのうえサーキットで数周全開走行をしただけで熱による出力制限(セーブモード)がかかってしまうことになってしまっては「M」としての名が廃れてしまいます。
そのため、開発中のEV版M3は現行の最高峰ガソリンモデル「M3 CS」(543馬力)を余裕で凌駕するスペック(900馬力未満と予想される)に抑えつつ、ドライバーがいつでも意のままに操れるコントロール性と熱耐性を突き詰める方向で調整されている、と報じられているわけですね。
なお、パワートレインには4つのタイヤを個別に独立制御する「4モーターシステム(クアッドモーター)」を採用することがすでに明かされており、フロント軸の駆動を完全に切り離す機能を備えることで「圧倒的なグリップを誇る4WD走行からBMW伝統のテールスライドを楽しめる完全なRWD(後輪駆動)走行へ」とドライバーの好みに応じて駆動輪を自由に切り替えることが可能です。
車種概要・スペックおよび市場での位置付け
次世代電気自動車版『BMW M3』の現在判明している概要と予測スペックは以下の通り。
【スペック・概要表】EV版 BMW M3(開発中モデル)
| 項目 | 予測・公表スペック |
| パワートレイン | クアッドモーター(各輪独立 4モーター制御) |
| 駆動方式 | 4WD(フロント切り離しによる完全RWDモード搭載) |
| 最高出力(予想) | 700〜900馬力未満(現行M3 CSの543hpを大きく上回る) |
| コンセプト技術 | 「Vision Driving Experience」(過去の実験車両で1,341hpを実証済み) |
| プラットフォーム | 800V高電圧システム採用「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」ベース |
| 販売予定 | ガソリンエンジン版M3(直6ターボ)も並行して継続販売予定 |
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「EV時代のドライビングプレジャー」
ここ最近のハイパフォーマンスカー市場において関心が高まっているのが「EVのパワー競争の終焉」と「運動性能への原点回帰」。
これまでのハイパフォーマンスカーというと新興EVメーカーを中心に「0-100km/h加速が2秒以下」「1,000馬力オーバー」といったスペックマーケティングが主流となっており、しかし直線加速が速いだけの”重たい”EVはコーナリングでの爽快感や限界域でのフィーリング、そもそも感情面での高揚感に欠けるという声が多く上がっているのもまた事実。
BMW Mが今回示したスタンスは「数値上の最高出力競争をあえて降り、ミリ秒単位でトルク配分を行う4モーター制御でコーナリング性能を極める」「見せかけだけの数値ではなく、実際に運転した際の楽しさを追求する」という新しい評価軸の提示です。
さらにEV版が登場しても直列6気筒エンジンを積む純ガソリン版のM3も廃止せず並行販売される予定であり、ユーザーの好みに応じて選択できる点もBMWらしい柔軟な戦略だと言えるのかもしれません。
なお、現在の「パワーウォーズ」は中国の新興EVメーカーが仕掛けたものだと認識していますが、新興メーカーは「数字」以外に頼るものはなく、しかしBMWだとすでにその「走り」の評価が確立されており、よってBMWは「数字に頼らず」その本質を究めることできるということなのだとも思われます。

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結論:数字ではなく「走り」で勝負する、次世代M3の登場に期待
ただスペックの数値を誇るのではなく、「走らせてどれだけ楽しいか」「サーキットで連続して攻め続けられるか」という実用的なパフォーマンスを第一に掲げるBMW M部門。
1,000馬力という大台をあえて追いかけない姿勢は一見すると控えめに映るかもしれません。しかし4モーターによる精密な駆動制御やRWDへの即座の切り替えなど、真のクルマ好き(エンスージアスト)が求める走りのエキスはしっかりと詰め込まれているであろうクルマが新型M3(エレクトリック)。
単なる「速い家電」としてのEVではなく、ドライバーの五感を刺激する「本物のスポーツカー」としてEV版M3がどのような走りを見せてくれるのか、今後控える正式発表から目が離せない、といったところでもありますね。
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