BMWがエレクトリックモーターの制御に関する新技術を特許出願！パフォーマンスを失わずに航続距離を確保する「新型デフ」装備、これはなかなか面白そう

｜　各社ともEVのパフォーマンスと効率とを両立させる様々な技術を開発中、ここへきて各メーカーの「色」が出てきたようだ　｜

意外と自動車メーカーによって技術の「差」が出るかもしれない

さて、電動化時代に突入し、各社ともそのバッテリーやエレクトリックモーターの活用方法について様々な特許を出願中。

先日はマクラーレンから「3モーターを1アクスルに内蔵する」という珍しい特許が出願されていますが、今回はBMWが世界知的所有権機関に対し、「ひとつのアクスルに複数のエレクトリックモーターを装着し、それぞれのモーターを個別に制御する特許」を出願したことが判明しています。

BMWは航続距離を犠牲にせずに出力を確保

今回の出願について、BMWは「パフォーマンス向上のため、ひとつのアクスルに複数モーターを搭載しても、シングルモーター同様の効率性を達成することができる」と主張。

多くのEVでは、車軸に対し1つもしくは2つのエレクトリックモーターを装着していますが、1つの場合は消費電力が小さいので航続距離が長くなる傾向があり、2つの場合は出力が大きくなるので運動性能が向上し、さらには強力なトルクベクタリングも可能となるものの、バッテリーの消耗が激しくなることも。

しかしBMWは今回の特許にて「パフォーマンスを重視すると航続距離を妥協せねばならないという難問を解決する」方法を示しています。

あらゆる走行条件下で2つのエレクトリックモーターのすべてのパワーが必要なわけではなく、そしてBMWは走行中にこういった非効率な駆動を抑制するため、「スライディング・スリーブ、磁気カップリング、クロー・カップリング」なる技術を使用して必要に応じてこれらのモーターを結合・解除し、実際には（必要に応じ）2つのうちの1つだけが車軸を駆動するような方法を提案しています。

なお、この新しい特許を持つエレクトリックアクスルはピュアエレクトリックカーにも、そしてハイブリッド車にも使用ができるようで、フロントをガソリンエンジンにて駆動してリアアクスルをエレクトリックモーターにて駆動するという用途のほか、前後ともエレクトリックアクスルを装着して「エレクトリック4WD」とすることも可能です。

そして面白いのは、「これまでのピュアエレクトリック4WDモデルでは、効率化を重視するならば、（走行中に）フロントもしくはリアアクスルへの電力供給を停止し、FWDもしくはRWDとしていたが、それではドライビングダイナミクスが損なわれる」と指摘していること。

BMWは省電力と高いドライビングダイナミクスを両立

じゃあBMWはどうするのかということですが、上述のとおり、ひとつの車軸に内蔵するモーターを結合して「1つ」として仮想運用することができるため、低負荷時の効率重視走行において、仮に「クワッドモーター」であっても、フロントに仮想にて1つ、リアも仮想にて1つという「2モーター」駆動が可能となり、しかしこの状態でも4WDということになるので、ドライビングダイナミクスを（クワッドモーター時ほどではないにせよ）高いレベルにて確保でき、同時に電力の消費を抑えることが可能となるわけですね。

BMWはちょっと前に「クワッドモーター搭載のハイパーMカー」プロトタイプを公開しており、おそらくはこの市販モデルに対して今回出願された特許技術が採用されることになるものと捉えて良さそう。

そしてここ最近になり、各社ともエレクトリックモーターの制御に対して経験を積んできたためか、今までにないようなソリューションを持つ（これまでの常識では考えられないような）特許が多数出願されていて、今後のEVに対しても期待が持てるんじゃないか、とも考えています。

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参照：CARBUZZ