BMWが「もっともミステリアスなコンセプトカー」と呼ぶAVTコンセプトをアーカイブからサルベージ。まるで宇宙船のようなルックスを持つ未来的な一台

｜　いずれの自動車メーカーも「表に出したことがない」コンセプトカーを多数制作している　｜

しかしどのコンセプトカーも大なり小なり「未来につながる」部分があるようだ

さて、それぞれの自動車メーカーが様々なコンセプトカーを製作していることは既知の通りですが、コンセプトカーを制作する目的もまた様々で、単にデザインスタディのためであったり、機能を示すためのものであったり、そのメーカーの考え方を示すものであったり、その意義を市場に問うものなど多岐にわたります。

そして今回、BMWのチーフデザイナーであるドマゴイ・デュケック氏が自社のアーカイブを調査し、そこで掘り起こしたのが今回紹介する「AVTコンセプト」。

なお、同士は以前にもアーカイブから「Z3の初期デザイン」を拾い上げて自身のインスタグラムへと公開していますね。

BMW AVTコンセプトは「もっともミステリアスなコンセプトカーの一つ」

そしてドマゴイ・デュケック氏が語るには「AVTコンセプトはもっともミステリアスなBMWのコンセプトカーの一つ」。

このクルマが考案されたのは1981年だといい、「AVT」とはドイツ語で「Aerodynamischer Veruchsträger」を表し、日本語に訳すと「空力試験車両」。

当時BMWが設置した風洞実験施設で何ができるのかを試すために作られ、究極のエアロダイナミクスのみを追求することが目的であったので「ドライブトレーンを内蔵しない」いわばモックアップのみが存在する（もしくは存在した）とされています。

そのボディ形状は非常に独特で、エアロダイナミクスを追求したというだけあって（当然ながら）流線型を持ち、キドニーグリルは非常に小さく、ヘッドライトはリトラクタブル。

キャビンはバブル状のコンパクトなデザイン、そしてフロントホイールにはカバー、リアの頬イールハウスにはスパッツが取り付けられています。

なお、アクセントには珍しいオレンジ、そしてキャビンのサイドにはMカラーが付与されており、もしかするとM部門が携わったのかもしれません。

BMW AVTコンセプトは「当時の最先端」であったのだと思われる

ちょっと興味深いのはテールが「スパっと切り落とされた」コーダトロンカ形状を持つこと、そしてリアアンダーにはディフューザーが装備されないこと。

いつから「ディフューザー」が登場したのかは定かではないものの、この時代にはまだ（フロア下に空気を流してリアからガバっと抜くという）ディフューザーという考え方がなかったのかもしれません。

なお、サイドから見ると「かなり長い」クルマであることがわかり、雰囲気的にはその10年後に発表される「NAZCA（ナスカ）」「NAZCA C2」との強い関連性が見られる、と思います。

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参照：domagoj.dukec, Motor1