>BMW(ビー・エム・ダブリュー)

BMWのCEOが「EUが決定したガソリンエンジン販売禁止」案への反対を表明。次世代EV発売を目前にこのコメントを出すということは「かなり苦しい」のか

BMW

| もともとドイツでは「2035年のガソリン車販売禁止令」に対する反発が強かったが |

今後一層この動きが強まることは間違いない

さて、2023年初頭に欧州連合(EU)は厳しい排出規制を採決し、事実上”内燃機関を搭載した新車の販売を禁止”としましたが、これは当時、電気自動車(EV)の開発が加速していたこと、需要の増加が見込まれていたことを背景としたものです。

そして当時はほとんどすべての自動車メーカーがこの決定に賛同し、こぞってラインアップを「ピュアエレクトリック」へと入れ替えるべく行動しガソリンエンジンを廃止する動きへと向かい、実際にいくつかの自動車メーカーはガソリンエンジンの開発を停止したり、ガソリン車の製造ラインを電気自動車目ようにコンバートするという動きを見せていたわけですね。

ただし状況は短期間で変わってしまう

しかしながらその後はロシアのウクライナ侵攻、世界的なインフレ、安価な中国製EVの登場によって「欧州の自動車メーカーのEV」がすっかり売れなくなってしまい、いくつかの自動車メーカーはEUの「ガソリン車販売禁止」という決定を撤回するように要望を出していたのですが、今回BMWもその一員へと加わり「ガソリン車販売禁止措置の撤廃を求める」動きを強めるようになったという報道がなされています。※とくにBMWは次世代EV「ノイエクラッセ」の導入を進めており、その発売を前にしてこのコメントを出していることが興味深い

そしてこの動きは今回開催されたパリ・モーターショーにおいて強調されており、BMWのCEOオリバー・ツィプセ氏は「禁止が続く場合、メーカーの存続可能性に深刻な懸念が生じること」「中国がEV向けバッテリーの主要供給国であるため、このままEVシフトを進めれば(関係が良好でない中での)中国の協力が必要になること」に触れ、ヨーロッパ全体でEVに対する悲観的な見方が広がっているとも語り、実際に2020年代初頭の最初の購入者の波以降、多くのブランドでEVの販売が大幅に減少していることを指摘しています。

「2035年の100%BEV販売という目標を修正することで、包括的なCO2削減パッケージの一環として、欧州自動車メーカーが中国に依存しなくて済むようになるでしょう。成功を維持するためには、政策枠組みの中で、特定の技術に依存しない道筋が不可欠です。」

L1005382

上述のとおり、オリバー・ツィプセ氏の懸念は彼一人だけのものではなく、同氏が懸念を示す前(具体的には欧州連合の2023年の提案に署名がなされる前)から、ドイツ政府は禁止に反対する7カ国の連盟を主導しており、しかしドイツ政府とEUは最終的に合意に達することで「合成燃料やカーボンニュートラル燃料を使用すれば内燃機関搭載車でも存続できる」という例外を設けたわけですね。

それでもどんどん加速する「EV離れ」を経験するにつけ、自動車メーカーからの(EUの決定に対する)反対の声は高まる一方で、2024年1月にはポルシェCFO、ルッツ・メシュケ氏がガソリン車禁止時期を遅らせるか、この決定を撤廃することを期待すると述べ、ポルシェ属するフォルクスワーゲングループ傘下のブランドは(フォルクスワーゲンをはじめ、アウディ、ベントレーなど)続々と新しい内燃機関の開発を進める方向へと動いており、現在だとその動きはフィアットなどドイツの自動車メーカー以外にも拡大週。

実際のところイタリアの環境・エネルギー安全保障大臣ギルバート・ピケット・フラティンは「(ガソリン車販売の)禁止は変更されるべきだ」と発言しており、今後同様の考え方は自動車メーカーの販売を守るという枠を超え、雇用の確保という国家的な視点からもなされるよういなるのかもしれません。

トヨタ・ランドクルーザー
豊田章男会長「未来がEV一本になれば数百万の雇用が失われる」。かつては戯言と捉えらえていたが、今では多くの自動車メーカーの支持を集めるのかも

| 豊田章男会長は「消費者目線」を持った数少ない自動車メーカーのCEOであるとも考えられる | 今後はトヨタに賛同する自動車メーカーのCEOも登場するだろう さて、トヨタ自動車会長、そして創業家の一員 ...

続きを見る

合わせて読みたい、関連投稿

ベントレー
ベントレーは全ラインアップを電動化へと入れ替えるかわりに「ハイブリッドを核にした緩やかな電動化」へ。「高級車市場では誰もがEVを拒否しています」

| 現在の自動車業界では普及価格帯から高級車市場に至るまで「すべての計画」を再考する必要性に迫られている | なぜか英国ブランドはいずれも「電動化」に対して熱心に取り組んでいる さて、ミニ、ロールス・ ...

続きを見る

ポルシェCEO自ら「2030年まで、あるいはそれ以降もV8エンジンを用意する」と宣言。現行カイエンは新型の第四世代(EV版)に加え2030年まで併売されることにも言及
ポルシェCEO自ら「2030年まで、あるいはそれ以降もV8エンジンを用意する」と宣言。現行カイエンは新型の第四世代(EV版)に加え2030年まで併売されることにも言及

| ポルシェはEV偏重戦略を転換し、マルチパワートレーン戦略を展開するようだ | V8ツインターボエンジンは環境規制に対応すべく今後も進化してゆくことに さて、ポルシェは先に行った決算発表にて「ガソリ ...

続きを見る

メルセデス・ベンツがガソリン版Gクラスの販売終了方針を撤回し「求める人がいる限り、ガソリン、とくにV8エンジン搭載Gクラスの販売を継続します」
メルセデス・ベンツがガソリン版Gクラスの販売終了方針を撤回し「求める人がいる限り、ガソリン、とくにV8エンジン搭載Gクラスの販売を継続します」

Mercedes-Benz | メルセデス・ベンツはいまGクラスの販売を失うことは絶対にできない | かつては生産効率に優れないとして整理対象車種であったが、現在では稼ぎ頭のひとつに さて、メルセデス ...

続きを見る

参照:Reuters

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->BMW(ビー・エム・ダブリュー)
-, , , ,