| メルセデス・ベンツはなかなか面白い戦略を採用するようだ |
このところ頻繁に目撃されるようになった新型メルセデス・ベンツSクラスのプロトタイプ。
それと同時にエレクトリック版である(と思われる)EQSの姿も見られるようになっています。
なお、メルセデス・ベンツは比較的早い時期からEVに注力しており、これまでにもスマート・エレクトリックドライブ、SLSエレクトリックドライブ、Bクラスエレクトリックドライブ、EQVといった電気自動車をリリース。
ただ、それらは外観をほぼそのままに、ドライブトレーンだけを「エレクトリック」へと入れ替えたもの。
そしていずれも(一部は限定モデルとしての発売ですが)商業的に成功したとはいえず、そのためかメルセデス・ベンツは最新EV「EQC」ではこれまでとは異なり、外観やインテリアも大きく既存モデルとの差別化を図った仕様を採用しています。
これはおそらく、「EVを購入する人は、エレクトリックパワートレーンを求めているのではなく、ガソリン車では実現し得ない世界観を求めている」と考えたためで、よってガソリン車とは異なるレベルの静粛性や、未来を感じさせるエクステリア/インテリアを与えてきたのでは、とぼくは推測しているわけですね。
EVはどうやってもガソリン車の1.5倍以上の価格となってしまい、その価格を出して「内外装が普通の」クルマを買いたくない、というのが消費者の偽らざる心境なのかもしれず(ぼくもそう)、であれば「1.5倍を納得させるにはどうするか」ということなのかもしれません。
新型メルセデス・ベンツSクラスとEQSとは根本的に異なるクルマ?
そこで新型Sクラスと新型EQSについて、どうやらこれも「GLC」と「EQC」同様、同クラスといえど大きく異る外観を持つことになりそうです。
今回、いつもニュルブルクリンク近郊でのスパイ動画を多数公開しているユーチューバー、wakoartが両者の比較を行った動画を公開していますが、見たところ完全に「別のクルマ」。
フロントを見るとSクラスに比較して先端が大きく絞られ、「EQ」シリーズ同様同様の「中央を起点につり上がった」グリル〜ヘッドライトへと継続するラインを持っています。
加えて、これもやはり「EQ」っぽい、滑らかな表面が与えられているようにも見えますね。
加えてドアミラーはドアスキンへと移され、ドアハンドルは「アイロン式」っぽいデザイン(新型Sクラスはフラッシュマウントのポップアップ式が採用されると思われる)。
そしてフロントからリアにかけては「ウェッジシェイプ」を持つようで、これも新型Sクラスとはかなり雰囲気が異なるところ。
こちらは先日発表された「ヴィジョンEQS」ですが、ここまで極端でなくとも、市販モデルの「EQS」はこれに近い雰囲気を持つことになるのかもしれません。
それに対する新型Sクラスはコンベンショナルな「セダン」という印象が強く、トラディショナルなグリルとヘッドライトを持つと思われ、ドアミラーはAピラーの付け根に。
サイドからトランクへと続くライン、ルーフラインも「いかにも王道サルーン」という感じです。
サルーンの顧客は多様化が進んでいる
なお、ロールスロイスのオーナーは「二極化」が進んでおり、従来の「60歳以上」のオーナーと、若くして成功した「20−30代」とに別れつつあると言われ、メルセデス・ベンツも「従来の顧客向け」としてのSクラス、「知的好奇心の強い、若くエネルギッシュな人々」向けのEQSとに分けるのかもしれず、これは非常に優れた、そして現代ならでは戦略だと考えています。
リアについては両者とも偽装が厚く、その詳細を知ることができませんが、やはりEQS(上)のほうがなめらかな構成を持ち、かつクーペっぽいデザインを持っているようです(そしておそらくハッチバック)。
そしてもちろん新型Sクラスは「王道サルーン」を地でゆくクルマであり、「通常のルーフ」にリアウインドウ、トランク形状を持つ模様。
VIA: walkoART