メルセデス・ベンツCEOはAMG Oneの開発許可に後悔？当時を振り返り「プロジェクトにYESと言ったとき、私はきっと酔っ払っていたに違いないと思います」

｜ メルセデスMAG Oneの発表は2017年、発売予定は2019年。ただし今に至るまで1台も生産されず ｜

おそらくは今年中に生産開始、そして2週間以内に何らかの情報提供があるというが

さて、メルセデス・ベンツはF1マシン直系の技術を用いた限定275台のハイパーカー「AMG One」の発売に向けて目下鋭意開発中。

2017年に計画が立ち上がり、当初の計画では2019年の発売を目指していたものの、「F1のエンジンとハイブリッドシステムを公道用のクルマに積む」ことが非常に難しく、様々な困難をクリアできずにいるという状態で、つまるところ1台も生産がなされていないわけですね。

その困難の理由は幾つかありますが、一つは技術的なもので、「常時高回転を使用し、ノンストップでサーキットを走る」ことを前提に作られたパワートレインを、「そのほとんどを低回転で、しかもストップ＆ゴーの多い公道での走行用に」アレンジすることが不可能に近いとも言われています。

実際のところ、ニュルブルクリンクでの走行中、はたまた別のイベントにおいても「停止して再始動できない」メルセデスAMG Oneの姿がたびたび目撃され、その不安定さを感じさせるのも間違いのないところ。

そして排ガス規制の強化が目前に迫る

そしてもう一つの問題が「排ガス規制」。

2019年に発売できていればまだ問題はなかったものの、この数年で様々な規制が厳しくなり、施行を前倒しにした国や地域も出てきている状態では（早くとも発売が2023年になりそうなAMG Oneは）排ガス規制をクリアできない可能性が出てきます。

こういった状況にあるのがメルセデスAMG Oneではありますが、今回カーメディアの「AMG Oneはいったいいつになったら発売されるのか？」という質問に対し、メルセデス・ベンツCEO、オラ・ケレニウス氏は「そもそもこのプロジェクトを承認したこと自体が間違いであった」という旨のコメントを返してちょっとした話題に。

オラ・ケレニウスCEOが言うには「AMGのチームメンバー、そしてハイパフォーマンスパワートレインF1部門のメンバーが2017年に私のところに来て、”F1のパワートレインをロードカーに載せるという素晴らしいアイデアがあり、ぜひ実現したい”と言ったんです。なぜその時私がYESと言ったのかは議事録を見ないと思い出せないのですが、きっとその時酔っ払っていたんでしょうね」。

それでもメルセデスAMGはAMG Oneの発売をなんとしてでもやり遂げる

これはいささか衝撃的な発言で、つまりオラ・ケレニウスCEOはメルセデスAMG Oneの開発にゴーサインを出したことをひどく後悔しているということになり、しかしいまさら「すいませんでした。やれると思ってたんですが、頑張ってみても無理でした」と顧客に頭を下げ預かった保証金を返すわけにもゆかず、しかもメルセデスAMG Oneの購入者のみに高級権が与えられるメルセデスAMG GTプラックシリーズ P Oneエディションの納車も開始してしまったこと、AMG Oneを注文したオーナーに向けて様々なキャンペーンを開始していること（ウェルカムキットの送付やレーシンググローブの作成など）を考慮しても後には下がれない状態。

そしてオラ・ケレニウスCEOの弱気発言が見られる一方、AMG Oneについては今後2週間以内に何らかの発表を行うとも報じられており（ただしそれが何なのかはわからない）、2022年中に生産を開始するとされた直近のアナウンスを後押しするものとなるのかもしれません。

加えて、メルセデス・ベンツのマーケティング責任者であるベッティナ・フェッツァー氏によれば、AMG Oneの開発に関する「包み隠さぬ苦労話を語るドキュメンタリー」をどこかで公開する計画もあるといい、それを見れば、なぜここまで開発が遅れたのかという具体的なストーリーを知ることができるのかもしれませんね。

メルセデスAMG Oneがニュルブルクリンクを走る動画はこちら

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参照：Autocar, Auto Addiction