| メルセデス・ベンツは昔から買収による拡大に比較的熱心だった |
メルセデス・ベンツはテスラに対抗できるEVメーカーが喉から手が出るほど欲しいはずだ
さて、メルセデス・ベンツとリビアンが、欧州にて商用エレクトリックバンを生産する合弁会社の設立を視野に入れた覚書を締結したと発表。
両社は、中欧または東欧にあるメルセデスの既存拠点を活用し、電気自動車専用の全く新しい生産工場を建設する予定だとされ、この工場では、メルセデス・ベンツとリビアンの両社向け車両を生産する予定だと報じられています。
ちなみにリビアン(RIVIAN)とは米EVスタートアップであり、ピックアップトラックのR1Tを発売し、SUVボディのR1Sを発表済み。
北米ではテスラに唯一対抗できるEVメーカーだとも言われており、非常に注目度の高い会社です。
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リビアンにとっては欧州進出の足がかりに
上述の通りリビアンは北米では強い存在感を発揮しているものの、欧州やアジア、中東などその他の地域ではほぼ知名度がなく、それは販売拠点がなく、かつ生産台数についても「北米で手一杯」なため。
ただ、今回欧州にてメルセデス・ベンツとの共同といえど、そして商用車といえど「生産拠点ができること」でリビアンにとっては欧州に進出するための足がかりとなり、リビアンのCEOであるR.J.スカリンジ氏は「このプロジェクトでメルセデス・ベンツと提携できることをうれしく思っています。メルセデス・ベンツは世界で最も有名で尊敬されている自動車会社の1つです。私たちは、お客様だけでなく地球にも貢献する、真に驚くべきエレクトリックバンを共に生産できると信じています」。
そして新しい工場にて生産されるモデルのうち1台はメルセデス・ベンツのエレクトリック・バン・アーキテクチャであるVAN.EAをベースとし、もう1台はリビアンが計画しているエレクトリックバンの第2世代バージョンとなる「リビアン・ライトバン」プラットフォームをベースにした(少なくとも2台の)商用車。
メルセデス・ベンツはリビアンの「子会社化」も?
なお、メルセデス・ベンツとリビアンは両製品を同じラインで生産できるよう、設計を最適化するといい、両社は「合弁事業によるシナジー効果を高めるためのさらなる選択肢も検討する」としています。
この選択肢が何であるのかはわかりませんが、メルセデス・ベンツは投資した会社を買収もしくは事実上の子会社とすることもあり、たとえばAMGやアストンマーティンのように(リビアンを)支配下に置く可能性が出てくるのかもしれません(イキナリ買収するのはリスクが大きく、まずは今回の協業のようにお試し期間を設ける)。
メルセデス・ベンツ・バンの責任者であるマティアス・ガイゼン氏によると、「2025年以降、我々の新しいアーキテクチャであるVAN.EAに基づくすべてのバンは、電気自動車専用となります。この変革の一環として、強い技術力を持ち、非常にダイナミックで刺激的なパートナーであるリビアンと手を組むことになり、嬉しく思っています」とのこと。
なお、欧州はじめいくつかの国や地域においては2035年までにガソリンエンジン搭載車の販売が禁止されることになりますが、この対象に「商用車」は含まれておらず、つまり2035年以降であっても商用車ではガソリン・ディーゼル車の販売ができるため、そこまで急いで「商用車のエレクトリック化」を行う必要はないわけですが、リビアンとメルセデス・ベンツの両社は「エレクトリック・バンの生産を急速に拡大し、世界がよりクリーンな輸送手段に移行するのを支援する」という同じ野望を共有していると言い、両社が協力することによってコスト効率を高め、それによって一般向けの市販車においてもコストの引き下げを狙っているのかもしれません(もちろんメルセデス・ベンツはリビアンの技術を吸収したい)。
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