
| すべての指標が「前年割れ」だった2026年第一四半期に比較して業績が大きく改善 |
メルセデス・ベンツが示す逆風下の攻勢とは
メルセデス・ベンツ・グループ(Mercedes-Benz Group AG)が2026年第2四半期(4月〜6月)の業績を発表し、中国市場での激しい価格競争や世界的なマクロ経済の逆風を受けつつも、欧州を中心に完全電気自動車(BEV)の販売が前年同期比51%増と急成長したことが明らかに。
新型EVやV8モデルを含む過去最大規模の新車ラッシュと徹底したコスト削減(Next Level Performance)で着実な底力を示しているという状況ではありますが、ここで主要業績データの詳細、EVシフトの進捗、今後の注目の新型車、防衛・安全分野への新規参入まで、今回発表された内容を見てみましょう。
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【驚異のEV受注107%増】メルセデス・ベンツが2026年第1四半期の決算を発表、ドイツ勢ではいち早く「中国市場の不振」「中国依存」から脱出か
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この記事の要約
- BEV(電気自動車)が激増:メルセデス・ベンツ・カーズのBEV販売台数は前年同期比51%増の52,852台と急伸。特に欧州では87%増と爆発的に成長。
- 売上と利益の状況:グループ売上高は321億ユーロ、グループEBIT(利払い・税引き前利益)は15億ユーロを確保。金融サービス(Mercedes-Benz Financial Services)やバン部門が好業績を牽引。
- コスト削減の徹底:固定費約25%削減(2019年比)をベースに全社的な生産性向上策を強化。一般管理費14%減、R&D費用12%減と効率化を達成。
- 新型車ラッシュ:新型「CLA」「GLB」に加え、EV版「GLC」「Cクラス」、V8エンジン搭載の「マイバッハ GLS」やAMGモデルなど40種以上の新型車プログラムが進行中。
メルセデス・ベンツ・グループ 2026年第2四半期 決算内容
2026年第2四半期(Q2)および上半期(Q1-Q2)におけるメルセデス・ベンツ・グループ全体の主要財務データは以下のとおりとなっていて・・・。

グループ全体 業績サマリー
| 項目 | 2026年 Q2 | 2025年 Q2 | 前年同期比 | 2026年 H1 (Q1-Q2) | 2025年 H1 (Q1-Q2) | 前年同期比 |
| 売上高 | 320 億 6,100 万ユーロ | 331 億 5,300 万ユーロ | -3.3% | 636 億 6,300 万ユーロ | 663 億 7,700 万ユーロ | -4.1% |
| グループEBIT(営業利益) | 15 億 4,700 万ユーロ | 12 億 7,300 万ユーロ | +21.5% | 34 億 5,100 万ユーロ | 35 億 6,200 万ユーロ | -3.1% |
| 調整後グループEBIT | 23 億ユーロ | 20 億ユーロ | +15.0% | - | - | - |
| 当期純利益 | 10 億 8,600 万ユーロ | 9 億 5,700 万ユーロ | +13.5% | 25 億 1,900 万ユーロ | 26 億 8,800 万ユーロ | -6.3% |
| 産業事業フリーキャッシュフロー | 11 億 200 万ユーロ | 18 億 6,500 万ユーロ | -40.9% | 29 億 5,900 万ユーロ | 42 億 2,200 万ユーロ | -29.9% |
| 1株当たり利益(EPS) | 1.14 ユーロ | 0.95 ユーロ | +20.0% | 2.63 ユーロ | 2.69 ユーロ | -2.2% |
部門別(乗用車・バン・金融)詳細スペック
| 部門 | 2026年 Q2 販売台数 | 前年同期比 | 2026年 Q2 売上高 | 2026年 Q2 調整後EBIT | 調整後売上高利益率(RoS / RoE) |
| 乗用車(Cars) | 417,765 台(うちBEV: 52,852台) | -7.9%(BEV: +50.9%) | 229 億 8,700 万ユーロ | 9 億 900 万ユーロ | 4.0% (RoS) |
| バン(Vans) | 94,075 台(うちeVan: 10,062台) | +0.7%(eVan: +46.4%) | 44 億 5,500 万ユーロ | 4 億 5,400 万ユーロ | 10.2% (RoS) |
| 金融サービス(Financial Services) | - | - | 61 億 8,000 万ユーロ | 4 億 9,200 万ユーロ | 15.3% (RoE) |
部門別の詳細解説:激化する中国市場と欧州・北米での好調さ
乗用車部門(Mercedes-Benz Cars):中国の減速とEVの力強い伸長
乗用車部門の総販売台数は417,765台(前年同期比7.9%減)となり、最大の要因は地場EVメーカーとの競争激化や需要低迷が続く中国市場での「30%減」。
一方で中国以外の地域はきわめて力強い伸びを示していて、欧州市場では販売台数が4%増加、北米では10%増加を記録したほか、特に電気自動車(BEV)の需要が高まっており、欧州でのBEV販売は前年同期比87%増を記録することに。※全体のTop-End(最高級)モデル比率は13.9%となって通期目標(14〜15%)の範囲内で推移しており、利益率の上昇にも貢献している

また、中国における持分法適用投資に関連する減損損失7億400万ユーロを計上したため、報告上のEBITは4,900万ユーロとなりましたが、これはキャッシュアウトを伴わない一律の処理であり、調整後EBITは9億900万ユーロ(利益率4.0%)を維持しています。
まだまだ先の話にはなるかもしれませんが、このまま「中国以外の」地域での販売を伸ばしてゆくことができたならば、ここからさらに中国での販売が減少したとしても「中国の落ち込みを」ほか地域の販売によってカバーすることが可能となるのかもしれませんね。
バン部門(Mercedes-Benz Vans):二桁の利益率をキープ
商用車・ミニバンを担うバン部門は、北米(+23%)や欧州(+5%)の強い需要に支えられ、調整後売上高利益率(RoS)で10.2%と二桁の高水準を継続。
電動バン(eVan)の販売も46.4%増(10,062台)と非常に絶好調で、今後はここに「新型VLE」の販売が乗ってくるということに。
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金融サービス(Mercedes-Benz Financial Services):大幅増益
ポートフォリオマージンの改善とコスト効率化により、調整後EBITは前年同期比約70%増の4億9200万ユーロへと大幅に拡大し、自己資本利益率(RoE)は15.3%に達しています。
2025〜2027年で40モデル以上。注目の新車とハンガリー工場の拡張
メルセデス・ベンツは現在、同社の歴史上最大規模となる「2025年〜2027年で40モデル以上」の製品投入プログラムを敢行中で・・・。

今後の主な新型車ラインアップとハイライト
- 新型「CLA」「GLB」:市場投入が開始され、販売に大きく貢献中。
- 新型電気自動車「GLC」「Cクラス」:注文受付が開始され、特にEV版Cクラスはハンガリーのケチケメート工場にて生産がスタート。
- 新型電気自動車「GLA」:2026年7月末に世界初公開および受注を開始。
- V8エンジン搭載ハイパフォーマンスモデル:
- 「メルセデス・マイバッハ GLS 680」
- 「メルセデスAMG GLE 63 S 4MATIC+(SUV / クーペ)」
- 「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC+」
- 「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」新バージョン
ハンガリー・ケチケメート(Kecskemét)工場の拡張
2026年7月、メルセデスはハンガリーのケチケメート工場へ約10億ユーロの投資を行い、敷地面積を2倍に拡大したと発表。
この工場はガソリン・プラグインハイブリッド・電気自動車を同一ラインで柔軟に生産できる最新鋭の設備を備えており、新型「電気自動車 Cクラス」のグローバル拠点としても稼働を開始しています。
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メルセデス・ベンツが時給9,400円のドイツから時給3,000円のハンガリーへ製造の移管を加速。ちなみにトヨタの国内工場の時給は約1,500円である
Life in the FAST LANE. | この衝撃のコスト差であれば「ドイツ脱出」もやむをえない | 一方でポルシェはドイツ製にこだわる メルセデス・ベンツが本国ドイツでの生産体制を縮小し、人 ...
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新規事業:Gクラスやスプリンターを活用した「防衛・安全保障」分野への本格参入
今回の発表で大きな注目を集めたのが、セキュリティおよび防衛(Security & Defense)分野における取り組みの強化です。
メルセデス・ベンツは45年以上にわたり「Gクラス」「スプリンター」「ヴィトー」などをベースにした警備・救護・防衛用車両を提供してきた実績があり、世界的な安全保障環境の変化を受け、同社はこの分野への本格参入を今回公式に表明することに。
第一歩として、ミュンヘンを拠点とする防衛テック企業「TYTAN」と基本合意書(MoU)を締結し、以下の具体的な用途開発を進めています。
- Gクラスをベースにしたドローン防衛・運用システム
- スプリンターをベースにした移動式ドローンキャリア&指揮車両ユニット
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長年培われた圧倒的な耐久性と悪路走破性を持つベース車両に対し、最新の防衛テクノロジーを融合させることで「新たな事業の柱」として成長させる狙いを持っていると説明されていますが、ポルシェも先日「軍事分野に参入する」と発表しており、この分野は「成長セグメント」なのかもしれませんね。

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ポルシェ、防衛産業への投資を発表。もともとポルシェは「ナチス」と深い関係性があり、その後軍需からは距離を置いたものの「背に腹は替えられない」?
| ポルシェ・グループが新たな投資分野へ | フォルクスワーゲン・グループとポルシェの株式を保有するポルシェSE(ポルシェ-ピエヒ家、つまり創業者一族が運営する持株会社)が、投資ポートフォリオを防衛セ ...
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2026年通期見通しの修正と今後の展望
上半期の業績および市場環境の変化を踏まえ、メルセデス・ベンツは2026年通期の見通し(ガイダンス)を一部改定しており・・・。
- 電動車(xEV)比率:新型BEVの投入加速に伴い、従来の「21%〜23%」から「23%〜25%」へ上方修正。
- 金融サービスのRoE:従来の「10%〜12%」から「12%〜14%」へ上方修正。
- 乗用車販売台数・グループ売上高:中国市場の継続的な苦戦を考慮し、従来の「前年並み」から「前年をわずかに下回る」へと慎重な見通しへ修正。※つまり中国での直近の販売はまだまだ下がりそう
会長のオーラ・ケレニウス(Ola Källenius)氏は、「厳しい市場環境ではあるものの、第2四半期も計画通り進展した。新車に対する顧客の反応は非常に良く、下半期もさらに魅力的な新型車を届けると同時に、コスト構造と生産性の改善に全力を尽くす」とコメントしています。
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BMW、メルセデス、アウディディーラーが中国で絶体絶命。赤字比率50%超、相次ぐ閉店と「1,000万円級」の大幅値引きの連続、まさに「天国から地獄」へ
| 正直、ここまで来ると「撤退」も考えねばならないレベルである | ジャーマンスリーは中国に「してやられた」のかもしれない 欧州の高級車ブランド(BMW、メルセデス・ベンツ、アウディなど)にとって、中 ...
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結論:変化を恐れず進化するラグジュアリーの絶対王者
中国市場での苦戦やEVシフトの過渡期における調整など、自動車業界は今まさに激動の時代を迎えています。
しかしメルセデス・ベンツは、過度な安売りを行うことなく、徹底したコスト管理(Next Level Performance)で利益率を確保しつつ、40モデル以上に及ぶ怒涛の新車ラッシュと最新工場への投資を続けているという状況。
さらに自動運転技術(2026年末までにドイツ国内でポイント・ツー・ポイント高度運転支援を導入予定)や防衛分野への参入といった新しい取り組みも加速させており、伝統と革新を高いレベルで両立させるメルセデス・ベンツの次なる一手に注目が集まるところでもありますね。
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参照:Mersedes-Benz











