| 意外なことに、メルセデス・ベンツの車両はフェラーリよりも高い価格にて取引がなされている |
自動車史上もっとも高額で落札されたのはメルセデス・ベンツ300SLRウーレンハウトクーペの182億円
さて、ラスベガスにて開催されたオークションにて、ルイス・ハミルトンがはじめてメルセデスAMG ペトロナスF1チームで初優勝を飾った(2013年の)F1マシン、W04が1881万5000ドル(現在の為替レートにて約27億8000円)で落札され、近代F1ではもっとも高価にて落札された一台に。
なお、これまで「もっとも高価な」落札金額を誇っていたのはミハエル・シューマッハが6度目のタイトルを獲得したF1マシン「F2003-GA」ですが、その落札金額は1643万ドルだったので、大きく記録を塗り替えたということになりますね。
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参考までに、「近代」という枠を外し、F1の歴史全体を見た場合だと、もっとも高い金額で落札されたのは10年前のオークションに登場した1954年型メルセデス・ベンツW196R(ファン・マヌエル・ファンジオのドライブによる)で、これはなんと2960万ドルという値を付けています。
なぜメルセデスAMG ペトロナスF1 W04はここまで高値を付けたのか
近代のF1マシンにおいて、過去もっとも高価であったのは上述の通りフェラーリF2003-GAですが、1~4位までもがフェラーリのマシンで占められており、つまりは「フェラーリ圧勝」。
ところが今回、メルセデスAMG ペトロナスF1 W04が突如1位に躍り出ており、これはいかに7度のチャンピオンを核とした”サー”ルイス・ハミルトンがドライブしたマシンといえども驚きを禁じ得ない状態です。
実際のところ、予想においても「最高で1500万ドル」というエスティメイトであったので、今回は大方の予想を超えた落札金額となったわけですが、気になるのはやはり「なぜそこまで価格が上がったのか」。
その最大の理由は「このW04が、メルセデス・ベンツ、トト・ヴォルフ、あるいはルイス・ハミルトン自身が所有していない、現代の唯一のメルセデスF1車だから」だとされており、つまりほかのF1マシンはすべて上記3者によって所有されているということに。
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これが示すのは、「今後、メルセデスのF1マシンが売りに出されることはないであろう」という事実であり、F1マシンを個人コレクターに売却してきたフェラーリとは異なって(現在は個人向けのF1販売を停止している)、市場に出る「浮動車」が存在しないということを意味します。
こういった理由がこのW04の価値を押し上げていると考えてよく、さらには「当時レースを走ったままの2.4 リッター自然吸気V8エンジンがそのまま搭載され、完全に機能している」という付加価値がダメ押しとなった可能性もありそうです。
そして「もしも」メルセデス・ベンツ、トト・ヴォルフ、ルイス・ハミルトンのいずれかが、「もっとも成功した」シーズンである2014年、2018年、2019年、2020年を走ったF1マシンを競売にかけるようなことがあれば、今回のW04の記録を抜くことになるのかもしれません。
参考までに、(オープンホイールではない)オークションで取引されるロードカー/レーシングカーの「高額ランキング」上位に名を連ねるのもやはりフェラーリですが、その上をゆくのがメルセデス・ベンツであり、300SLR ウーレンハウト クーペは自動車史上最高額の1億3500万ユーロ(当時の為替レートにて182億円)にて落札されており、さすがは「自動車を発明したメルセデス・ベンツ」といったところですね。
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参照:RM Sotheby's