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ベントレーがガソリン車全廃を「2033年に後ろ倒しにする」とコメント。メルセデス同様、現在の状況を鑑みてハイブリッドに注力し市場の動向に歩調を合わせる

ベントレー

| あと何年化すれば、「電動化ブームとはいったい何だったのか」というくらいの雰囲気になるのかも |

ベントレーは急速に電動化を進めただけに、「後戻り」も容易ではないだろう

さて、かなり早い時期に「電動化への移行」を表明し、それに向かって工場の生産設備を「内燃機関搭載車用からEV用へ」とトランスフォームしたことが報じられていたベントレー。※ベントレーにかかわらず、ロールス・ロイス、ミニ、ケータハム、ロータス、ロールス・ロイスなど英国の自動車メーカーは電動化への移行に積極的である

ただし所属するフォルクスワーゲングループ内でのエレクトリックパワートレーン制御用ソフトウエアの開発が遅れる等の問題があって現時点でもEVの発売ができず、最初のEVが登場するのは2026〜2027年だと言われます。※このソフトウエアの開発を担当するのはソフトウエア部門「カリアッド」で、開発の遅れの責任を取る形でトップが更迭されたり組織が幾度となく変更されている

ベントレー初となるEVの発売が2025年から2026年に後ろ倒し!ポルシェとアウディのEV発売計画も遅れており、どうやらソフトの開発が遅れているようだ
ベントレー初となるEVの発売が2025年から2026年に後ろ倒し!ポルシェとアウディのEV発売計画も遅れており、どうやらソフトの開発が進んでいないようだ

| ベントレーは「これは大きな問題ではない」というが | この時点での1年はとてつもなく大きな意味を持つ さて、ベントレーはフォルクスワーゲングループの中でもかなり速いペースで電動化を進め、いちはやく ...

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ベントレーは内燃機関の廃止を3年後ろ倒しにして2033年へ

ベントレーは2030年に内燃機関搭載車を廃止し、ラインナップをすべてEVへと入れ替えるという野心的な目標 ”ビヨンド100” を持っていますが、こういった問題もあって今回「ガソリン車の全廃を2030年から2033年に延期する」と正式にコメント。

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こういった「ガソリン車の延命」はフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツなどいくつかの自動車メーカーに続くもので、ベントレーCEO、エイドリアン・ホールマーク氏は「初のBEV(バッテリーEV=完全電気自動車)発売の遅れと周囲のあらゆる変化のため、われわれはハイブリッドへの投資を増やしている」と述べています。

われわれは2028年、2029年、2030年にハイブリッド車が減少すると予想していたが、現在は実際にハイブリッド車が成長し、継続する可能性があると予想している。これがBEV普及の遅れに対する(ベントレーの)保険となるでしょう。

そして「ハイブリッドを強化する」というのはフォードやGMが出した「修正戦略」と同様で、ハイブリッド一人勝ちと言われる現在の状況に対応するための路線変更ということに。

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツが「EV集中」戦略を転換し2030年以降もガソリン車を作り続けるとコメント。「2030年であっても、EV / PHEVの販売比率は50%にとどまるだろう」

| もはやEVの販売減速、ガソリン車の存続は誰の目にも明らかに | 今後さらに多くの自動車メーカーがメルセデス・ベンツ同様に「方針転換」を行うものと思われる さて、昨今は「EV離れ」「ハイブリッド / ...

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ベントレーではいくつかの戦略がうまく機能しなかった

なお、ベントレーはこれまでにもいくつかの大胆な方向性の変更を行っていますが、それらの一部は思惑通りに動いておらず、まずは「レザーの使用をやめる」という方向。

ベントレーはレザーの代わりににクラゲなど環境負荷の小さい原材料の使用、そしてツイードなどレザーに代わる素材の使用を推し進めようとしたものの、どうやらユーザーの反対にあったようで、結局は「レザーの使用」へと回帰しています。

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一時はレザーをやめると宣言したベントレー。やはり「高級車にレザーは不可欠」としてレザー回帰、ただしエコな手法でレザーを製造し新型車に採用
一時はレザーをやめると宣言したベントレー。やはり「高級車にレザーは不可欠」としてレザー回帰、ただしエコな手法でレザーを製造し新型車に採用

| ベントレーだけではなく、多くのプレミアムカーメーカーがレザーの重要性を認識 | 正しい方法で採取し、正しい方法でなめすことができれば、レザーもけして「悪」ではないと思う さて、ベントレーがモントレ ...

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実際のところ、ロールス・ロイスもレザー以外の内装素材を用意しているものの、「それらの需要はない」とコメントしているので、高級車にレザーは必須なのかもしれません。

ロールスロイス
ロールスロイスCEO「レザー以外の内装も用意しているが、今までにそういったオーダーを受けたことはない。レザーが高級素材として求められるのには理由がある」

| やっぱり今のところはレザーを超える高級な張り材は無いのかもしれない | 結局ベントレーも「脱レザー」ができずにレザーに回帰 現在世界中がエコでサステナブルな方向へと動いており、そして何かと槍玉に挙 ...

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そしてもうひとつの例が今回取り上げた「電動化」で、ベントレーは上述の通り早い時期、具体的には2017年にピュアエレクトリックカーへの計画を発表しており、しかし2019年にはEVの方向性に迷いが生じたとされ、その後EVの発売が遅れに遅れて現在に至るわけですが、上述の通りすでに「工場内をEV向けに改装し、人員の配置転換も行ってしまった」状況だと伝えられ、しかしこのままEV路線まっしぐらに進むこともできず、しかし「後戻りする」にもかなりの労力を擁するということに。

つまりこれらについて、ベントレーの決定は「あまりに早すぎた」「それに顧客や世の中、技術がついてこなかった」ということとなるのかもしれず、運が悪かったというか間が悪かったとしか言いようがないのかも(そしていくばくかの判断ミスも)。

こういった状況が2023年の販売不振を招いたとも考えられ、ベントレーCEOとしては「これ以上の失態は許されず」、たとえコストをかけたとしても現在の消費者の動向にあわせた判断を行うよりほかはないのだと思われます。

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参照:Autocar

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