>メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)

新型メルセデス・ベンツCLAには吉利汽車が開発した中国製のエンジンが積まれるもよう。さらには中国の新興企業による自立運転システムも組み込まれ、中国企業は「サプライヤー」としても重要な位置に

新型メルセデス・ベンツCLAには吉利汽車が開発した中国製のエンジンが積まれるもよう。さらには中国の新興企業による自立運転システムも組み込まれ、中国企業は「サプライヤー」としても重要な位置に

Image:Mercedes-Benz

| もはや今の自動車業界は「中国を抜きにして」何も語ることはできない |

こうやって中国は様々な業界において支配力を強めてゆくのだろう

さて、メルセデス・ベンツと中国の吉利汽車(Geely=ジーリー)とは浅からぬ関係にあり、というのも吉利汽車CEO、李書福氏がメルセデス・ベンツの発行済株式10%を”個人的に”所有し同社の最大株主というポジションにあるため。

よって(メルセデス・ベンツと吉利汽車自体は公式に提携関係にはないものの)李書福氏がメルセデス・ベンツに及ぼす影響は小さくはなく、実際に今回報じられているのが「新型メルセデス・ベンツCLAは吉利汽車とホースとによって開発された2.0リッター4気筒エンジンを搭載する」ということ。※この「ホース」は、2024年5月31日に吉利汽車とルノーの50:50の共同出資会社として設立された”ホース・パワートレイン・リミテッド”を指している

なお、メルセデス・ベンツは数年前に「完全EVブランドにシフトする」という方針のもとガソリンエンジンに対する投資を最小化しており、新しくエンジンを開発するだけのリソースを失ってしまっているものと思われ、よってこの話は「けっこう信憑性が高い」のかもしれません。

メルセデス・ベンツが新型CLAのティーザー画像を公開。同社のデザイン変革速度は「スロー」であり、そのため新型車でも既視感が拭えない
メルセデス・ベンツが新型CLAのティーザー画像を公開。同社のデザイン変革速度は「スロー」であり、そのため新型車でも既視感が拭えない

Image:Mercedes-Benz | 新型メルセデス・ベンツはまず「ピュアエレクトリックカー」としての公開となりそうだ | 今後内燃機関搭載車が追加されるかどうかはわからない さて、メルセデス・ ...

続きを見る

その他にも新型メルセデス・ベンツCLAには「中国由来」の技術が搭載

参考までに、少し前だと「新型CLAに搭載されるエンジンはメルセデス・ベンツと吉利汽車との共同開発になる」と言われていたものの、それが今回「吉利汽車とホース」へと置き換わっており、よってメルセデス・ベンツは(この報道が真実であれば)ガソリンエンジンの開発からいよいよ引き上げるということなのかもしれません(あるいは、ここ最近の販売不振によって、”開発したくとも”投入する資金がないのかも)。

ベンツの買収に動いた中国吉利汽車。その第一号車は「メルセデス・ベンツEクラス」のまんまコピーだった・・・。

| メルセデス・ベンツは積年の夢 | 現在、大胆にもメルセデス・ベンツ(ダイムラー)の株式取得を進め、メルセデスをコントロールしようとしている中国の吉利汽車(Geely)。 今回中国のテレビ番組で過去 ...

続きを見る

報道によると、このエンジンは中国で製造され、しかし触媒コンバーターはドイツで取り付けられ、EUの定める排出ガス規制を満たすこととなり、そして以前の報道では、このエンジンはギアボックスに取り付けられた統合スターターモーターを使用した48Vマイルドハイブリッドシステムを採用すると言われていましたが、(開発元が変わったことにより)何らかの変更がなされた可能性も考えられます。※プラットフォームはMMAアーキテクチャ、電動化についてはマイルドハイブリッドとピュアエレクトリックパワートレインのみとなり、プラグインハイブリッドオプションはないとされる

そして更に驚かされるのは、このエンジン以外にも「新型メルセデス・ベンツCLAには中国由来の技術が搭載される」ということで、まずは中国のスタートアップ、”モメンタ”からデリバリーされた高度なインテリジェントドライビングソリューション(つまり自立運転)を搭載し、これにより新型CLAはメルセデス・ベンツの中で都市部での支援運転機能を持つ最初のモデルとなるのだそう。※モメンタは2016年に設立され、メルセデス・ベンツは2017年のシリーズB資金調達ラウンドに参加する形で同社に早期投資を行っている

参考までに、メルセデス・ベンツはかなり早い時期から自社にて自動運転システムを開発しており、しかしこれについても「新型CLAでは、自社開発ではなく中国企業が開発したもの」を実装するということに。

メルセデス・ベンツが「北京ではじめてレベル4自動運転のテスト許可を取得した国際自動車メーカーになった」と発表。ただしこの外観で実装されたらちょっと嫌だな
メルセデス・ベンツが「北京ではじめてレベル4自動運転のテスト許可を取得した国際自動車メーカーになった」と発表。ただしこの外観で実装されたらちょっと嫌だな

Mercedes-Benz | 「レベル4」は高度な自動運転レベルを意味し、上から2番目のレベルである | 中国市場では高度な「自動運転」の実装が強く求められる さて、メルセデス・ベンツが北京の指定都 ...

続きを見る

現在、フォルクスワーゲン、アウディ、ステランティス等が「中国企業の助けを借りて」新型車を開発すると報じられ、ルノーも中国へとEV開発拠点を移すと伝えられていますが、もはや中国は「販売」のみならず、開発あるいはサプライヤーとしても非常に重要な位置を占めるまでに成長したことがわかります。

アウディ
アウディが中国EVメーカーから技術とプラットフォームを購入する可能性が報じられる。自社での開発遅れが原因だと言われるが、まさか「立場の逆転」が起きるとは

| わずか1年前であったとしても、まさかEV先行メーカーであるアウディが中国メーカーから車体の提供を受けるとは考えられなかった | しかし、これが「紛れもない現実」であるのかも アウディがEVの開発ペ ...

続きを見る

合わせて読みたい、関連投稿

アストンマーティン「今後、中国の吉利汽車からシートやエアコン関連の供給を受ける」。開発速度向上とコスト削減を主眼に大きく方向性をシフト
アストンマーティン「今後、中国の吉利汽車からシートやエアコン関連の供給を受ける」。開発速度向上とコスト削減を主眼に大きく方向性をシフト

| ただしそれも「既存ラインアップを入れ替え終わるまで」のことだと思われる | 現在、アストンマーティンはそのラインアップを刷新することが最大の課題である さて、先日はニューモデル「DB12」を発表し ...

続きを見る

メルセデス・ベンツの筆頭株主、そしてロータスとボルボの親会社でもある中国の吉利汽車(Geely)がエンブレム変更を発表。「よりスマートに、より先進的に」
メルセデス・ベンツの筆頭株主、そしてロータスとボルボの親会社でもある中国の吉利汽車(Geely)がエンブレム変更を発表。「よりスマートに、より先進的に」

| 吉利汽車のエンブレムはもともとは「山」、そしてBMWのようなエンブレムから、現在の”グリル型”へ | この短期間でここまで成長してきたことが信じられない さて、そのCEOがメルセデス・ベンツの最大 ...

続きを見る

Geely(吉利汽車)
ベントレーを辞したチーフデザイナーが中国の吉利汽車へ移ったとの報道!吉利は1986年に冷蔵庫メーカーとしてスタートしたのち今やロータスやボルボを買収し、CEOはベンツの最大株主

| 誰がここまで吉利汽車が大きくなると想像しただろうか | さて、ベントレーを去ったと報道された(前)ベントレーのデザイン責任者、ステファン・シーラフ氏。25年ほどを(ベントレーが属する)フォルクスワ ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)
-, , , ,