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英レーシングエンジンビルダーがポルシェ911の空冷フラットシックス用シリンダーヘッドを発売。なんと12,000rpmまで回転数がUPし「別世界のフィーリング」に

2023/10/08

英レーシングエンジンビルダーがポルシェ911の空冷フラットシックス用シリンダーヘッドを発売。なんと12,000rpmまで回転数がUPし「別世界のフィーリング」に

| その精度は「F1品質」、価格は約543万円 |

いずれどこかのレストモッダーがこのキットを装着したポルシェ911を発売しそうだ

さて、英国のスウィンドン・パワートレーンが964/993世代のポルシェ911に積まれる空冷フラットエンジンを対象にした「許容回転数12,000rpmを可能にする」シリンダーヘッドキットを発売。

もともとがモータースポーツに特化し、レーシングチームにパーツやユニットを供給しているという性質上、一般消費者には耳馴染みのない会社ですが、同社のトップページには以下の通り簡単な説明が掲載されています。

トップクラスのモータースポーツで培った経験を生かし、当社の専任エンジニアチームは、さまざまな推進アプリケーション向けに最先端の設計とシミュレーションを行っています。EV用の高電圧システムの設計とパッケージングから、完全な内燃エンジンの設計と解析まで、パワートレインの設計とシミュレーションならスウィンドンにお任せください。

スウィンドン・パワートレイン製「ポルシェ911用シリンダーヘッドキット」はこんな製品

そこで今回、スウィンドン・パワートレインが発表したポルシェ964および993世代の911向け24バルブシリンダーヘッドキットを見てみると、このキットはシリンダーごとに再設計された4バルブ鋳造を採用し、ピークフローはインレットで40%、エグゾーストで60%改善され、その結果としてもちろんパワーとトルクが向上することになりますが、どれほどの向上が見込めるのかは説明がなされていない状態です(セットアップによって数値が左右されるからなのもしれない)。

Porsche-Engine (1)

さらにこのシリンダーヘッドは3.5kgの軽量化を実現し、12,000rpmまでの回転域を可能にしたと説明されていて、各シリンダーヘッドはA356グレードのアルミニウムから鋳造されたのちにCNC加工されており、これを含むM64コンプリートキットには、スプリング、キャップコレット、シム、フィンガーフォロワー、シャフト付きのチタン製インレットバルブとエキゾーストバルブ、新しいカムシャフト、カムカバー、タイミングドライブが含まれています。※カスタムピストン、新しいインレットポート、特注カムプロファイルも用意できるようだ

なお、M64シリンダーヘッドキットの価格は29,950ポンドに設定されており、これは現在の為替レートだと約543万円なので、安い買い物ではないもよう(それでも、得られる対価は非常に大きい)。

Porsche-Engine (3)

このキットを組み込むことでポルシェ911の空冷エンジンは「一変」

スウィンドン・パワートレインのマネージングディレクターであるラファエル・カイエ氏は、「(ポルシェの)工場出荷時のシリンダーヘッドは、伝統的なポルシェ空冷フラット6エンジンのポテンシャル解放を妨げていました。そこで我々は、F1公差基準に準拠したCNC機械加工と最新の革新的素材を使用してシリンダーヘッドを作成し、この空冷エンジンを一変させます。改良されたブリージングと回転能力は、これまでにない911を体験する可能性を解き放ちます」とコメント。

Porsche-Engine (4)

スウィンドン・パワートレインについて補足しておくと、同社は1971年に設立され、当初は1970年代から1980年代前半に使用されたF1エンジンのメンテナンスを担当していたものの、その後他のモータースポーツシリーズにも進出しており、現在はヒュンダイに英国ツーリングカー選手権チームのエンジンを供給するといった「本気の」エンジニアリングカンパニー。

おそらくはこのキットを組み込んだポルシェ911のフィーリングは(同社の言う通り)それまでとは一変するものとなるのは間違いなさそうで、数あるポルシェのレストモッドを行うショップのいずれかがこのキットを組み込んだカスタム911を発表するかもしれませんね。

Porsche-Engine (5)

なお、現代では素材や設計、製造についていくつかのブレイクスルーが成し遂げられ、以前には不可能だったこと、思いつかなかったこと、やりたくてもできなかったことが可能となっており、そういった素材や技術を使用することで過去の製品をより良いものとできるチャンスが存在しているのだと認識しています。

その意味において、まさに「温故知新」により、かつての製品をそのまま復元するのではなく、過去のエンジニアが実現できなかったことを(最新のテクノロジーや理論によって)具現化することができる時代にいるのかもしれません。

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参照:Swindon powertrain

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