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【伝説のセピアブラウン】ポルシェ一筋50年、あるオーナーが愛し続けたポルシェとモータースポーツの半世紀

【伝説のセピアブラウン】ポルシェ一筋50年、あるオーナーが愛し続けたポルシェとモータースポーツの半世紀

Image:Porsche

| ハリウッドからポルシェへ──夢を叶えた若者の物語 |

ポルシェにとってのボディカラーは「オーナーが夢を実現する手段のひとつ」である

さて、ポルシェはこれまでにも様々なオーナーのライフスタイルを紹介していますが、今回は「セピアブラウン」なる珍しいボディカラーにこだわるリチャード・レイミストさんの物語。

彼は「セピアブラウン」という”ちょっとめずらしい”ボディカラーにこだわったコレクションを持っていて、このセピアブラウンは1970〜71年に特別色、1972〜73年に標準色として提供されたレアカラー。

総生産数1,283台のうち477台がタルガが占めるそうですが、リチャード・レイミストさんはいまもこの911タルガを大切に所有しています。

当時、「セピアブラウン」は不人気カラーのひとつだった

1971年、高校を卒業したばかりのリチャード・レイミストさんは夢を追ってハリウッドへ。

映画のポストプロダクション業界で働き、2年後には夢の愛車「1973年型ポルシェ 911 T タルガ(セピアブラウン)」を手に入れます。

「一目惚れでした。セピアブラウンなんて当時のロサンゼルスでは全然人気なかったけど、目立てたし、今では理解してくれる人が増えたよ」と語るリチャード・レイミストさん。

モータースポーツへの情熱が再燃

その後サンディエゴへ移住し、(この辺の事情はわからないものの)この911タルガはガレージに眠ること5年。

そんな中、パートナーのポーラさんが「また走らせようよ」と後押しし、リチャード・レイミストさんはモディファイに着手することに。

ここではRSタイプのステンレス製オーバーフェンダー、スポーツステアリング、ワイドタイヤ、そして1986年製3.2Lエンジンへの換装が行われ、アマチュアレース仕様へと進化を遂げることになりますが、さらにはPCA(ポルシェクラブ・オブ・アメリカ)に加入し、サンディエゴ周辺のタイムトライアルやオートクロスへと参戦を開始したのだそう。

セカンドカーで本格参戦!RSR、カップカーへとステップアップ

1993年、リチャード・レイミストさんはさらなる挑戦のため1973年型911クーペを購入してRSR仕様にコンバート。

翌年には、ファクトリー製の「911 カレラ RSR 3.8(964)」を購入し、全米のPCAクラブレースに参戦し、1995年にはついにプロの舞台へ。

41歳にしてデイトナ24時間レースに「911カップ」で出場し、74台中27位で完走するという成績を収めます。

「アマチュアとしては最高の経験だった。本当に火がついた瞬間だったよ」

チームオーナーとしてIMSAへ挑戦

その勢いで彼は自身のチーム「Team A.R.E」を設立。1995年にはIMSA GT選手権に3戦出場し、ラグナ・セカで3位表彰台、翌年にはデイトナでクラス2位、総合6位という快挙を達成。

「この時が“俺の15分の名声”の始まりだった」と笑います。

やがてチーム運営の多忙さからドライバーを引退。チーム代表として、2000年までIMSAで活躍したそうですが、現在は現役を退いているようですね。

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フロリダでの新たな人生と2輪への情熱

引退後はフロリダへ移住し、他のポルシェプライベーターを支援。

さらに、自転車ショップの運営やレースにも40年間にわたり挑戦。2輪と4輪、どちらも情熱を注いだ人生を送っていますが、彼のポルシェ愛は今も健在で、ガレージには、1973年型911 Tタルガの他に2023年式 911 タルガ4 GTS(992)、2024年式 718 スパイダーRSも収められ、これらのボディカラーはいずれもセピアブラウン(このカラーは現在、「Paint to Sample(PTS)」プログラムで特注可能)。

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さらに2022年製の718 スパイダー、1973年型911を2台、914も保有しており、すべて実走行可能なコンディションへと整えられています。

ポルシェ人生は続く──4台目の“セピア”が到着予定

そしてなんと、リチャード・レイミストさんは「ポルシェからケイマン GT4 RS」の受注が承認されたとも語り・・・。

「今年の夏、4台目のセピアブラウンがやってくるんだ!」

その魅力に取り憑かれたレイミストとセピアブラウンの関係は、これからも続くことになりそうですね。

「セピアブラウン」という一見地味な色に人生を重ねてポルシェとともに50年、リチャード・レイミストさんのストーリーは、単なるカーライフではなく、“生き方”そのものです。

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参照:Porsche, Richard Raimist

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  • この記事を書いた人

JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

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