| 1966年、フォードがはじめてフェラーリを破ったクルマ |
自動車の歴史上、「もっとも価値が高い」とされるクルマのうち一台が競売に登場予定。
これは「フォードGT40」となりますが、1966年にル・マンにて1-2-3フィニッシュを成し遂げたうちの一台。
カーナンバーは「5番」で、3位にてフィニッシュした個体となりますが、そうなると「1位と2位のフォードGT40はどこにあるのか」が気になりますね(1位のフォードGT40をドライブしていたのはマクラーレン創業者、ブルース・マクラーレン)。
今でもけっこういい順位で完走できそう
このフォードGT40のドライバーはロニー・バックナム、ディック・ハッチャーソンで348周を周回(2018年のル・マン優勝車、トヨタTS050は388周を周回。348周は今年のル・マンだと15位くらい)。※当時は2名で24時間を走っており、相当に負担が大きかったものと思われる
フォードGT40は1964年から参戦していますが、1966年に初優勝を飾り、1967年にも総合優勝。
しかしながらレギュレーションの変更によってこの年限りでフォードはル・マンを撤退しています。
この個体は1967年にデイトナへと参戦し、それ以降は第一線を退いてコレクターの手へ。
2003年にはレストアを受けて当時の姿(画像のとおりのゴールド)へと復元され、その後はグッドウッドやペブルビーチ、ヴィラ・デステなどに登場している、とされています。
予想では14億円ほどの落札価格になろうとかと言われていますが、近年のクラシックカー相場の上昇度合いを見るに、「もっと上」の価格がつく可能性が高そう。
フォードGT40はこんなクルマ
フォードGT40は、フォードが「打倒フェラーリ」を掲げて開発したレーシングカー。
「フォードGT40」と呼ばれるものの正式名称は「フォードGT」で、「40」はその車高が40インチだったたため(約1メートル)。
エンジンは7リッターV8、出力は458馬力。
全長は4293ミリ、全幅は1778ミリ、と現代の基準からするに驚くほどコンパクトなクルマで、車体重量もわずか908キロと記録されています(スズキ・スイフト・スポーツの一番軽いグレードでも990キロ)。
なお時を遡ること1963年、フォードはモータースポーツを通じてブランドイメージを向上させようと目論み、フェラーリの買収を画策。
フェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリとの交渉は順調に進み(この頃、フェラーリは経営難に陥っていた)、しかしなぜか売却寸前にエンツォが翻意して交渉が決裂した、と言われます(翻意した理由は明らかになっていない。つまりエンツォ没した今となっては永遠の謎)。
これにフォードが怒ったのかどうかはわかりませんが、その1年後にフォードGTが誕生し、さらに2年後にはフェラーリをルマンにおいて破るという成果を挙げています。
そういった経緯もあって「フェラーリを王座から引きずり下ろしたクルマ」としても知られており、高い歴史的価値を持つわけですね。
VIA:RM Thotheby's