| 速く走るには「パワー」よりも、いかにタイヤをグリップさせるかが大事だということがよくわかる |
アウディRS3は一種のパラダイムシフトを起こしたと言っていい
さて、先日アウディRS3セダンがニュルブルクリンクを7分40秒748というタイムにて走行して世界を驚かせており、このタイムに貢献したのは”前後はもちろん、左右にもそれぞれ100%のトルクを分配できる”RSトルクスプリッターだとされています。
つまりはパワーの向上ではなくテクノロジーの進化によってタイムを短縮したということになりますが、このトルクスプリット4WDは過去にも何度かパラダイムシフトを起こしており、三菱のAYC(ランエボ)、日産のアテーサE-TS(GT-R)はその端的な例。
それまでは「サーキットを走るには重心を低く中央に集め、軽量化して足回りを固めるしかない」というのが鉄則で、しかしトルクスプリット4WDはアッサリこういった常識、そして物理の法則をすら捻じ曲げてしまうような芸当を見せてくれるわけですね。
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新型アウディRS3のタイムはブガッティ・ヴェイロンよりも速かった
そしてもうひとつ注目に値するのが、このアウディRS3セダンのニュルブルクリンクにおけるラップタイムが「2005年に、ブガッティ・ヴェイロンが記録したタイムより速い」ということ。
ブガッティ・ヴェイロンのタイムは7:40.00という数字ではあるものの、これは「旧計測方法」に従ったもので、現代の基準にあわせると7:44~7:45あたりになるんじゃないかと思われます。
なお、ブガッティ・ヴェイロンも4WDシステムを採用するものの、こちらはごく初期のハルデックス(電制多板クラッチで前後トルクをコントロールする)であり、アクティブに左右へとトルクを配分することはできない構造。
しかしアウディRS3の場合は左右にトルクを自在に配分できるため、たとえばコーナリング初期ではリア側、さらに外側のタイヤにトルクを分配し、出口ではフロントそして外側にトルクを振り分けて素早く脱出することが可能です。
さらにこのシステムは、慣性によってクルマが滑ったり流れたりするのを防ぐこともでき、従来であればそこが「コーナリングスピードの限界」であったものの、RSトルクスプリッターでは文字通り「限界を超える」ことが可能となったわけですね(アクティブなトルク配分によって慣性を超える動きができるようになった)。
アウディRS3に勝てないスーパーカーはこんなに多い
そしてざっとニュルブルクリンクのランキングを見てみると、名だたるスーパーカーといえどもニュルブルクリンクで新型アウディRS3に勝てないクルマは多い模様。
ここでブガッティ・ヴェイロンのほかにどんなクルマがあるのかを見てみたいと思いますが、新型アウディRS3セダンの「旧」計測方法である7分35秒522におよばないスーパーカー/スポーツカーとして、ざっとその名を上げてゆくと下記の通り。
アウディRS3セダンにタイムが及ばないスポーツカー/スーパーカー
- ポルシェ911ターボ(997/7分38秒/2006年)
- レクサスLFA(7分38秒/2010年)
- ランボルギーニ・ガヤルドLP570-4スーパーレッジェーラ(7分38秒/2010年)
- フェラーリ430スクーデリア(7分39秒/2007年)
- ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640(7分40秒/2006年)
- ポルシェ911GT3(997/7分40秒/2009年)
- メルセデス・ベンツSLRマクラーレン(7分40秒/2003年)
- フォードGT(7分40秒6/2018年)
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