| フェラーリはこの499P開発のためにF1、そしてGTレースにおけるノウハウを集結させている |
そのルックスは意外とスマートだった
さて、フェラーリが予告通り2023年シーズンのFIA世界耐久選手権ル・マンハイパーカークラス(LMH)に参戦するレーシングカーを公開。
このレーシングカーはフェラーリ499Pと命名されており、50年ぶりに耐久レースのトップカテゴリに参戦することとなります。
フェラーリはかつて9度の総合優勝を(ル・マンにて)獲得しているものの、1965年以降は優勝から遠ざかっていて、しかし今回は「プロトタイプを使用した50年ぶりのレース」にて優勝を目指すことになり、そのため車体には「50」のナンバリングが(決意表明として)用いられているのだと思われます。
フェラーリ499Pのデビューは2023年3月のセブリング
このフェラーリ499Pのデビューは2023年3月のセブリング1000マイルだといい、そのカラーリングはフェラーリのモータースポーツの歴史に基づく「レッド」、そしてフェラーリのエンブレムにも採用される、(本社所在地である)モデナ市の象徴である「イエロー」。
なお、近年のフェラーリはあまりイエローを全面に押し出す例が多くはなく、しかし2022年のイタリアGPあたりから急激にイエローの存在感を強めているようですね。
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フロントはここ最近のフェラーリの市販モデルに共通する薄型LEDヘッドライトを採用し、そこにカーボン製スプリッターを組み合わせていますが、F1のハイノーズを連想させるスタイルでもあり、フロア下には積極的にエアを取り込む構造を持っているように見えます。
フェラーリ499Pの駆動方式は4WD
このフェラーリ499Pは、フェラーリが耐久レースへのコミットメントを示すマニフェストだとされ、ル・マンハイパーカークラスの技術規則と要件に適合するため最大出力500kW、最低重量1,030kgを実現。
開発にあたっては、フェラーリにおける技術的、専門的、人的資源を最大限に活用し、アントネッロ・コレッタ氏が指揮を執るアティヴィタ・スポルティブGTと、スポーツカーおよびGTレーシングカーのエンジニアリングと開発を担当するフェルディナンド・カニッツォ氏による技術部門の監督によって進められた、と紹介されています。
搭載されるガソリンエンジンは296GT3と共通の構造を持ちつつも、この499Pのために最適化されることで軽量に仕上げられており、エレクトリックモーターと900Vバッテリーとの組み合わせによってシステム合計500kW(680馬力)を発生し、後輪はガソリンエンジンにて、前輪はエレクトリックモーターにて駆動されます。
なお、ガソリンエンジン単体では300kW、ERS(エレクトリック・リカバリー・システム)が200kWを発生する、とのこと。
フェラーリはル・マン24時間レース参戦に際してLMDh規定を使用していないため、マルチマチック、ダラーラ、オレカ、リジェといった指定コンストラクターの設計するシャシーを使用せず、自前にて車体を開発していますが、ここはポルシェやランボルギーニのル・マン・レーサーとは大きく異る部分でもありますね。
サスペンションはプッシュロッド式ダブルウィッシュボーン、ブレーキには「ブレーキ・バイ・ワイヤ」を採用しており、その他あらゆる部分にフェラーリがこれまでF1やGTレースで培ったノウハウが注ぎ込まれており、ある意味ではフェラーリのモータースポーツにおける集大成と言えるかもしれません。
なお、アメリカではドラッグレースのように「一発の速さ」を競う例も少なくはなく、しかし欧州のレースでは「耐久性」が重要視され、シリーズ通じて、もしくは長い距離や24時間という時間を通じ、「最後まで戦い抜き、しか、もトップに立っている」者が高く評価されるという風習も。
フェラーリは今年のF1で示したように「スプリントでの速さ」はあるものの耐久性、戦略という点ではやや疑問が残り、しかし耐久性と戦略が優れていなければまず勝つことができない耐久レースシリーズにおいてどう戦うのかは興味のあるところです。
なお、F1と同じようにエアロダイナミクスが追求されているものの、その効率性の達成の手段はF1マシンとはかなり異なるようで、F1マシンに比較するとエアロパーツはかなりスマートに見えますね(とくにリアウイングなど)。
フェラーリ499Pのプロモーション動画はこちら
参照:Ferrari