| レプリカといえど、溢れんばかりの情熱を持つコレクターが作るとこうなる |
むしろ本物のほうがレプリカに見えてくるという錯覚も
さて、これまでにも様々なフェラーリのレプリカが登場し、中には粗悪な品質のものから素晴らしい出来栄えを持つものまでが存在しますが、今回紹介するのもまたそういった「珠玉の出来を持つ」一台。
これのレプリカはフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーを模した一台で、DNAオートモーティブが発売する「2Fifty Cal」なるコンバージョンキットを組み込んだものだと紹介されており、おそらくは制作者であるオーナーが(本来のキットに加えて)たっぷり愛情を注ぎ、より「本物に近く」仕上げていることも見て取れます。
なぜこのレプリカはここまで情熱が注がれているのか
なお、レプリカというとついつい粗悪なコピー品ばかりを連想してしまいますが、アメリカでは「本物を持つ人が、(メカニズム的信頼性や価値が下がるという問題で)日常的にドライブできず、よって本物と同じ仕様のものを作ってドライブを楽しむ」という文化があり、クラシックフェラーリやポルシェ356などにそういった傾向が顕著であるように思います。
そしてこのオーナーさん(今回のオークションの出品者)もその例に漏れず、なんと「本物の」フェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーを所有しており、その時価はおおよそ25億円。
さらに今回の出品に際し、「いかにこのフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーのレプリカが、本物に近いか」を示すために2台を並べて撮影するというパフォーマンスも実行しています。
おそらく撮影場所はオーナーさんの自宅だと思われますが、ドーンと鎮座するフェラーリの跳ね馬が大迫力。
ちなみにこのフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーのベースはBMW Z3。
そしてこれを分解し・・・。
こうやって再構築してゆくわけですね。
ちなみにエンジンはコルベットZ06に積まれる7.0リッターLS7型V8エンジン(500馬力)へと換装され、とんでもない速さを誇るものと思われます。
このフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーのレプリカはどれくらい本物に近いのか?
そこでこのフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーのレプリカを見てゆくと、もう本当に「オリジナルと見分けがつかない」レベル。
プロポーションは「完璧」といって良いかと思いますが、オリジナルとの違いはフロントスクリーンの角度や形状がやや異なること、サイドウインドウに三角窓があることくらい。
ワイヤーメッシュホイールにも微妙な差異があるものの、これは「5穴をセンターロック風に見せるため」の工夫が盛り込まれているためで、むしろここまで似せたことに驚かされます。
テールランプ、トランクやフェンダーの形状、Ferrariエンブレムはもちろん、オープナーまでもがしっかり再現。
なんとワイパーまでをクロームにするというこだわりよう。
フロントグリルの「格子」もよく作り込まれており、下の方の「折返し」はすべて中央を向くように接合されています。
このあたりは「販売目的」のレプリカではとうてい(コストが掛かりすぎるので)注意が払われない部分だと考えられ、「自分の趣味のためだけに」つくられたレプリカだからこそ可能になるのかもしれません。
そして「いかに手をかけたか」は内装にこそよく現れており・・・。
使用されるレザーはヴィンテージ調。
こう見えてパワーシートも装備されます。
もちろんエアコンも装備され、しかしそれを持たないオリジナルのフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーと同じ外観を再現するため、エアコンの操作系はダッシュボード裏に隠すというこだわりよう。
オーディオも装備していて、しかしこれもグローブボックス内に隠されることに。
なお、蓋の内側にクッションを貼るなど、ここも制作者の愛情が感じられる部分です。
そしてオーディオの操作系は「灰皿」に見えるこのパーツの奥に隠されています(蓋を開けるとリモコンが納められている)。
ドアオープナーなども実車同様(もしかしたら、こう見えてパワーウインドウを装備するのかも)。
ステアリングホイールはもしかしたら当時物かもしれません。
一方でメーター内には(クラシカルに見せつつも)液晶パネルを確認でき、もともとのZ3の機能も残されているようですね。
もちろんカーペット類はすべて張り替えられ、スピーカーグリルも内装にマッチしたカラーへ。
さらに面白いのは、本物のフェラーリに付属するのと同じビルドブックまで作ってしまったことで、ここにこのレプリカの「誕生まで」が記録されています(しかもヴィンテージっぽく加工されている)。
そして付属するキーまでもが「フェラーリっぽい」付属品とともに提供されることに(キー本体がBMWのままなのがかえって面白い)。
25億円のフェラーリを持つコレクターが「オリジナルにかけるのと同じだけの愛情を」注いでレプリカを作るとこうなるという一つの見本であり、こういったレプリカであれば十分に存在する意義があるように思います。
ちなみにこのフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーのレプリカにつき、オークション終了まであと2日を残して20万ドル(つまり2900万円くらい)まで価格が上がっていますが、それでも「オリジナルの1/9くらいの価格」にとどまるのがまた恐ろしいところでもありますね。
あまりに本物っぽいフェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーのレプリカを紹介する動画はこちら
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