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フェラーリCEOが来たるピュアエレクトリックハイパーカーについて語る。「サウンドは非常にリアルです。小手先でごまかすことは我々フェラーリの流儀ではありません」

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| 現在のフェラーリではハイブリッド比率がなんと43%にまで上昇している |

フェラーリは電動化に対してどんな取り組みを行ってきたのか

さて、フェラーリが「The Official Ferrari Magazine」にて、電動化に関するコンテンツを公開。

フェラーリはスポーツカーメーカーとしては比較的早い時期から電動化に取り組んでいますが、2023年第2四半期の決算報告ではなんと「ハイブリッド比率が43%に達した(前年同期比の2倍)」ことも明かされています。

加えて、現在のフェラーリCEO、ベネデット・ビーニャ氏は自動車業界、とくにスポーツカーメーカーでは非常に珍しい「自動車業界以外の出身」であり、その出自はエレクトロニクス関連。

かつ、上層部を同じ業界の人たちで固めるなど、他の自動車メーカーとはずいぶん異なる動きを見せています。

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フェラーリ初のBEVは「フェラーリの伝統を維持」

そして今回、(上述の通り)フェラーリ自らがその電動化に関するコンテンツを公開しているのですが、まずここで示されたのはベネデット・ビーニャCEOの「フェラーリ初となるピュアエレクトリックスポーツカーは、フェラーリの伝統に根付く、そしてモータースポーツ活動から得た技術を反映した一台となるでしょう」という言葉。

加えて同氏は「私が着任した初日からこのプロジェクトに取り掛かっており、私の持つ技術的な知識や経験、そしてネットワークと、フェラーリがこれまで培ってきた、すばらしい活動内容とを融合させることに歓びを感じています」とも語っていて、つまり2021年末に「フェラーリ初のエレクトリックスーパーカー」プロジェクトがスタートしたということもわかります。

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ただ、現時点で同氏はこれ以上の言及を避けており、つまりフェラーリのエレクトリックスーパーカー、もしくはエレクトリックハイパーカーがどのようなクルマとなるのか具体的には明かされておらず、しかしそのヒントは「43%までに達した」ハイブリッドモデルに隠されているのかもしれません。

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フェラーリは2030年までにカーボンニュートラルを実現

フェラーリは現在「2030年までにカーボンニュートラルを実現する」という目標を掲げており、2026年までには電動化車両(BEVとハイブリッド)の構成比率を60%にまで引き上げるという計画を持っています。

そしてこの計画を推進するために現在新しい(電動化車両に特化した)施設を建設している最中となっていますが、ここではエレクトリックモーター、バッテリーパック、インバーターなど、EVの主要コンポーネントを製造する予定だとされています。

つまりフェラーリは(構成パーツはサプライヤーから供給を受けることになると思われるものの)電動化時代になったとしてもパワートレーンを自らの手で組み立てるということを意味し、これは「軽量化、パフォーマンス、ドライビングエクスペリエンス」に重点を置いているからにほかなりません。

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フェラーリは296GTB/296GTS開発の際に「ファン・トゥ・ドライブ」を掲げており、しかしエンジニアが「感覚」としてではなく「客観的な数値」としてこれを共有し開発するため、具体的に(ファン・トゥ・ドライブを実現する)5つの指標へと分解し、数値化することで開発目標を達成しています(その5つとは「1.ハンドル操作に対する反応、ハンドル操作に対するリアアクスルの反応、ひいては扱いやすさを決定する横加速度」「2.アクセルペダルに対する反応の速さと滑らかさを示す縦加速度」「3.変速時間やギアチェンジのフィーリング」「4.ブレーキペダルの踏み込み量と反応」「5.車室内の音の大きさや質感、回転数の上昇に伴うエンジン音の変化」だとされる)。

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そしてフェラーリは、こういった「ファン・トゥ・ドライブ」を実現するに際し、「ハンドメイドのバッテリーパックをシャシーに組み込むこと」が必要不可欠だと捉えているわけですね。

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フェラーリは電動化時代にどうやって「ファン・トゥ・ドライブ」を実現するのか

そこで気になるのが、「フェラーリは電動化時代にどうやってファン・トゥ・ドライブを実現するのか」ということ。

上述の5つの指標の中には「車室内の音の大きさや質感、回転数の上昇に伴うエンジン音の変化」といった、電動化車両では再現が難しい項目も含まれており、しかし「サウンド」はフェラーリを語る上で欠かせない、そして重要な要素の一つです。

これについてはフェラーリ自身も認めるところであり、よって現在フェラーリでは「エンジニアたちが、ガソリンエンジンにも匹敵する、エモーショナルなサウンドを創出することに取り組んでいる」とされ、かつこのサウンドは「非常にリアルなものです。小手先でごまかすことは我々フェラーリの流儀ではないのです」とも。

なお、フェラーリはピュアエレクトリックスポーツに採用するものと思われる、「ドライブトレーンから発生するノイズを増幅してドライバーに届ける」という特許を出願しており、様々な方法に挑戦しているということもわかります。

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フェラーリはレーシングカーとロードカーとの間で高い共通性を持たせている

そしてサウンド同様に重要なのが「モータースポーツから(市販車へ)の技術的フィードバック」。

フェラーリはそもそもモータースポーツこそが本業で、この活動を続けるために市販車を作って販売し資金を作っている会社だと捉えていますが、その市販車に「モータースポーツ由来の技術」を導入することでファンに対する訴求力を高めています。

それは「ルックス」というデザイン面に始まり、F355で導入したグラウンドエフェクトであったり、その後のセミオートマチックトランスミッション(F1)であったりするわけですが、近年のトピックだとやはり2013年に登場したラフェラーリに採用されたKERS(運動エネルギー回収システム)。

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そしてこのシステムを一歩前進させたのが(2020年の)SF90ストラダーレに積まれるハイブリッドシステムで、これによって「1,000馬力、0-100km/h加速2.5秒」といった、純粋なガソリン車では達成が難しい領域にまで踏み込むことが可能となっています。

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さらにはこのシステムと同様の考え方を採用したル・マン・ハイパーカー、499Pが「50年ぶりに復帰したル・マン」にて見事優勝を飾ったのは記憶に新しいところ(これは市販車からレーシングカーへの技術の”逆輸入”といった珍しい例かもしれない)。

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ただしフェラーリはさらに新しい可能性を追求し、2022年に発売された296GTBではエレクトリックモーター単体での活動領域を拡大しており、これによってフェラーリのエンジニアはガソリンエンジン以外の動力源を積極的に活用して車両全体のパフォーマンスを引き上げることに成功しています(システム合計で830馬力を発生する)。

そしてこの296GTBに搭載されるV6エンジンは「エレクトリックモーターとの併用ありき」で設計されているものと思われ(GT3車両では単体で機能していますが)、これによって車両全体をコンパクトに作ることが可能になったほか、TMA(トランジション・マネージャー・アクチュエータ)なるデバイスの投入によってエレクトリックモーターとガソリンエンジンのパワーをシームレスに連結し、状況によって各々から必要な特性を引き出せるようになっています。

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フェラーリはこれを「2つの世界の完璧な調和」と呼びますが、こうやってフェラーリの電動化の歴史を見ていると、電動化は単なる「アドオン」ではなく車両の設計思想そのものに組み込まれているということがわかり、ガソリンエンジン単体ではできなかったことが「電動化によって可能になった」ということがわかるかと思います。

そう考えるならば、これから登場するであろう新しいハイブリッドモデル、そしてピュアエレクトリックハイパーカーについても「新しい領域へと」足を踏み入れることは間違いなく、当然ながら「いままでに出来なかったことができるフェラーリ」となりそうですね(さらにサウンドについても、ガソリンエンジン以上のものを作り出してくる可能性が期待できる)。

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参照:Ferrari

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