| 意外なことだが、フェラーリは「快適系」に関する多くの特許を出願している |
そしてフェラーリの考え方は「いつもドライバーを中心に」据えている
さて、様々な特許を出願することで知られるフェラーリですが、今回は「ジョイスティック」でクルマを操作するという特許を出願したことが明らかに。
なお、フェラーリは以前にもジョイスティックでクルマを操るというパテントを出願していますが、その際の内容は従来のクルマの操作系を完全にジョイスティックへと置き換えるというもので、しかし今回の申請内容は「従来の操作方法(ステアリングホイール)の補完」という位置づけです。
今回のフェラーリの特許申請はどういった内容を持っているのか
そこで今回フェラーリが出願した「ジョイスティック」に関する申請内容を見てみると、まずその目的は「よりクルマを速く走らせるため」ではなく「長距離を楽に移動するため」。
欧州では各国が「陸続き」なので、クルマに乗って国をまたがり移動する人も少なくはないといい(フェラーリのオーナーであれば、レジャーにせよビジネスにせよそういった例は意外と多いのかも)、その場合は長時間高速道路を走ることになります。
そしてその場合、従来のステアリングホイールを使用して長距離を移動すると「不快」になったり「退屈」になったりするといい、しかしリラックスできるようにシートバックを倒すとステアリングホイールに手が届かなくなる場合も。
それを解決するのがこのジョイスティックであり、長距離を移動する場合で、信号や渋滞などがない場合、ドライバーはシートを倒して(と言ってもミドシップモデルであればシートを倒すのには限界があり、よって特許図面のようにフロントエンジン車に限定されるものと思われる)ジョイスティックを使用し”ゆったり”操作を行うということに。
フェラーリのジョイスティックでは「加速、減速、旋回」をコントロール可能
なお、フェラーリはあくまでも「基本は従来の”ペダルとステアリングホイール”」として捉え、このジョイスティックは「それらを頻繁に操作する必要がない場合」に利用するもので、そしてその場合は加速と原則、そして車両の旋回をコントロールできるように考慮されています。
おそらくは利用できる環境も制限(一定の条件を満たさないと使用できない)され、かつ微妙な挙動の制御には不向きだと思われるので、このシステムの実装には様々な課題が残るとは思われるものの、ブレーキやステアリング操作までもが「バイワイヤ」化(つまりクルマを動かす全ての操作がバイワイヤ化)された際に、そして細かい制御が可能なエレクトリックモーターを有するピュアエレクトリックカー時代になれば「非常に有用」なのかもしれませんね。
なお、ジョイスティックでクルマを操作するというコンセプトはけっこう前からああって、ルイジ・コラーニは「ミウラ・コンセプト」にて今回のフェラーリのような「シートバックを倒した」姿勢で乗車しジョイスティックでクルマをコントロールすることを提案。
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メルセデス・ベンツも従来の操作系を完全にジョイスティックに置き換えたコンセプトカーを発表したことがあり、この際の実験では「従来のクルマの操作方法に慣れた人はうまくクルマを扱えなかったが、若い世代であればすぐに馴染むことが出来た」と報じられており、もし「最初に乗ったクルマがジョイスティック操作であったならば」なんら違和感なくジョイスティックに馴染めるのかも。
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そして最近だとキャルティ(トヨタがカリフォルニアに設けているデザイン拠点)がジョイスティックで操作する月面探査車を公開しており、こういった用途のクルマであればジョイスティックの方が向いているのだと考えられます(高速で走ったり交差点を曲がったり駐車場に停めるわけではなく、かつ省スペース化や軽量化、少パーツ化が要求される)。
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参照:CARBUZZ