| ランボルギーニLM002の生産台数はわずか328台、今後注目の値上がり株 |
この個体は日本のオーナーが所有していたこともあるようだ
さて、現在はポルシェはじめランボルギーニ、アストンマーティン、マセラティ、ロールス・ロイス、そしてフェラーリまでもがSUVを発売もしくは発表していますが、自動車史上「最初の」ラグジュアリーSUVと言われるのが今回オークションに出品されるランボルギーニLM002(1986年発売)です。
なお、このLM002はもともと軍用車として開発されており、それを民生用として発売したのもまたハマーH1(1992年)に先駆けての話であり、やはり時代の先駆者ともいうべき存在であったのかもしれません(メルセデス・ベンツGクラスは1979年に発売されているので、軍用車を民生用に、という点ではこちらのほうが早い)。
ランボルギーニLM002にはカウンタックのエンジンが積まれていた
1977年当時、ランボルギーニはあたらしい事業として米軍に納入するための軍用車の開発を行っており、実際に「チーター」を製作してプレゼンテーションを行うものの、残念ながら失敗に終わります(修理コストが高すぎたためだと言われるが実際のところはわからない)。
しかしながらランボルギーニはこのチーターの開発にかなりのお金を突っ込んでしまっていたので、ランボルギーニはこのプロジェクトをそのまま破棄することはできず、これを民生用として発売することを考えるわけですね。
ただ、チーターのパッケージングを引き継いで製作したコンセプトカー、LM001(1981年)はミドシップレイアウト(実際にはリアエンジンに近かったようだ)を採用していたためにハンドリングと室内空間に問題を抱えていたといい、そこでフロントエンジンへとレイアウトを変更して発売されたのがこのLM002。
デザインを担当したのは元マセラティのデザイナーであったジュリオ・アルフィエリで、フロントにはカウンタックのV型12気筒エンジンを搭載し、1982年にまずはLMAコンセプトとして登場しています。
その後1986年のブリュッセルモーターショーにてLM002として発売されることになりますが、市販モデルでは(LM001のミドシップから)フロントエンジンレイアウトに変更することによってハンドリングと重量配分を改善し、リアのキャビンスペースを確保して6人乗りのラグジュアリーなインテリアを与えることに。
中東の荒涼とした油田地帯を駆け巡るエネルギー企業の重役や首長、シークの足を想定し、単なるオフローダーとしてではなく、「高級な」オフローダーたることを標榜してピレリ特製によるランフラットタイヤ「スコーピオン」が装着され、現在のGPSナビゲーションシステムの先駆けとなるデバイスも搭載されています。
なお、このピレリ「スコーピオン」は非常にコストが高く、現在ではこのタイヤを入手することが非常に困難だという話も聞きますが、こうやって見ると「とんでもない」太さを持つこともわかりますね。
その車重とパワーを支えるためか、ホイールボルトはなんと「8本」。
LM002の発売までには8年を要する
内装を見てみると、フルレザーインテリア、エアコン、スモークウィンドウ、ハイファイオーディオといった快適装備を備えており、アメリカでは(当時、映画「ランボー」で有名になった)シルベスター・スタローンがLM002のオーナーとして知られていたことから「ランボー・ランボ」という愛称で親しまれることとなっています。
当時はラグジュアリーSUVというセグメントが存在せず、一般の人が街なかでこういったSUVに乗ることが一般的ではなかったため、このLM002は生産終了となる1993年までに約300台のみが生産されるにとどまりますが、その強烈なルックス、他に類を見ないコンセプトから今でも多くのファンを持っています。
そして非常に少ない生産台数、現在人気となっているラグジュアリーSUVの先駆的存在ということからこのLM002には大きな注目が集まっていて、今後大きくその価値を向上させるのでは、とも見られているようですね。
このランボルギーニLM002は日本で乗られていたことも
今回RMサザビーズ主催のオークションに登場するランボルギーニLM002は1991年に製造され、シャシーナンバー279を持っているといい、その履歴は不明ではあるものの、センターコンソールには「ジャパン・ランボルギーニ・オーナーズ・クラブ」のステッカーが見られ、日本人オーナーの手によって保管されていたことも伺えます。
わかっている範囲だと、2014年初頭、このLM002はクウェートを拠点とするコレクターによって購入され、2014年から2022年までの走行距離は8,875kmから8,931kmと、8年間でわずか56km(35マイル)しか増えていないことが(保管されている請求書から)確認されています。
定期的なオイル交換、スパークプラグの清掃、エアコンガスの充填に加え、2014年にはエキゾーストシステムの改造、外装を現在の色合いであるロッソに塗り直したという記録が残り、2020年3月には、クラッチの交換と新しいフライホイールの取り付けが行われています。
OZ製”Ruote”ホイールにはピレリ・スコーピオン・タイヤが装着されており、ツールキットや取扱説明書が付属しているほか、アイボリーレザーシートやブラウンカーペットの保存状態も良好で(たぶんシートは貼り替えられている)、ウッドベニアドアトリムやダッシュボード、パワーウィンドウ、ウインチコントロールなど豪華な内装も程度良好。
V12エンジンによるパワーと限りない多用途性、そしてフラッグシップの豪華さを併せ持つクルマとして、このLM002はスーパーカーコレクションの補完物となる資質を備えており、さらにこの個体は程度良好ということもあって多くの人の注目を集めることになりそうですね。
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