| カウンタック25thアニバーサリーを手がけたのはかのオラチオ・パガーニ |
現実的には「ほぼ新車」と言って差し支えない
さて、ランボルギーニはカウンタックを(1974年から1990年までの)長きにわたり生産していますが、その過程では様々な進化を遂げており、その中でも最終モデルに相当するのが今回オークションに出品されることになった「カウンタック25th アニバーサリー」。
これはランボルギーニの創業25周年を祝って1988年のイタリアGPにて発表されたモデルですが、先代に相当する5000QV(クワトロバルボーレ)のスタイルと性能を継承しつつ細部をアップデートし、快適性や洗練度を向上させたシリーズです。
カウンタック25th アニバーサリーの変更点は500にも及ぶ
なお、このカウンタック25th アニバーサリーにつき、アップデートの内容は約500点にも及ぶといいますが、やはり大きなところでは当時最先端であったコンポジット素材の初採用。
これは1987年にランボルギーニにて技術主任を務めていたオラチオ・パガーニ氏が試作した「カウンタック・エボルツィオーネ」からフィードバックを得たもので、カーボンファイバーやケブラーを取り入れた新素材です。
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参考までに、オラチオ・パガーニ氏はこの複合素材ならびにカーボンファイバーに確かな将来性を感じ取り、ランボルギーニ対してこれを積極活用するように進言するものの「コストの問題から」採用されず、そこでランボルギーニを辞してコンポジット素材のコンサルティング会社を設立したとも言われています(ほぼ同時期にアウトモビリ・ブガッティにてEB110(1991年)の開発に携わり、その際のチームメイトの一部とともに1992年にパガーニ・アウトモビリを設立したという経緯があるようだ)。
話をこのカウンタック25thアニバーサリーに戻すと、ノーズを高くしてエアインテークを改良しつつフロントブレーキへのエアフローを改善したほか、リアではバンパーが微妙に変化。
ドア後方のエアインテークは、従来のブラック仕上げからボディカラーに塗られた太いストレーキに変更され・・・。
通称「弁当箱」もデザインが変更に。
さらに、15インチのホイールは2ピースの鍛造となり、5000 QVに装着されていたホイールよりもさらにワイド化されています。
ちなみにこれは北米仕様の高額車両に装着が義務付けられた「5マイルバンパー」で、当時急激に高額車両がアメリカ国内で販売されるようになり、しかしこれらが事故を起こすと修理費用になるために保険会社が悲鳴をあげ、当局になんとかしてくれと泣きついたところ法制化されたのがこの5マイルバンパー。
そのネーミングは「5マイル以下の速度でぶつかっても修理が不要、もしくは軽微な修理で済むように」というところから来ていますが、もともとの車体設計に組み入れられたいなかったために各自動車メーカーとも「後付け」を余儀なくされ、よってこういった不似合いな外観をなしているわけですね。
搭載されるエンジンはもちろん5.2リッターV12 / 455馬力、そして基本性能はカウンタック5000QVと変わらず(0-100km/h加速は4.7秒)、最高速度も変わりなし(183.3マイル)。
製造されたのは1989年8月で、ボディカラーはメタリックブラック(PPG 224521)、最初の納入先は(5マイルバンパー装着からわかるとおり)米国です。
このランボルギーニ・カウンタック 25thアニバーサリーのインテリアはこうなっている
そしてこちらがカウンタック25thアニバーサリーのインテリアですが、いかにも当時のスーパーカーらしい「クリーム」レザーでカバーされています。
そして上述の通り大きく近代化されており、ウインドウ昇降は手動式から電動式へ、そしてシートも電動調整式へ。
さらにはステアリングホイールも新しいデザインへと変更され、エアコンの信頼性、そして効きも向上しています。
なお、このランボルギーニ・カウンタック25thアニバーサリーは、「世界で最も走行距離が少ないであろう」一台だと言われており、現時点で新車からの走行距離はわずか249kmにとどまります。
最初のオーナーが購入したのち、1990年2月5日には275,000ドルにてデトロイトに住む医師へと売却されており、その際の走行距離は138km。
そして2007年11月には、1990年から17年の間にわずか13kmしか走行していない状態で中古市場に登場し、2010年から2020年にかけ、オハイオ州のコレクターの手に渡って静態展示され、しかしその間も定期的に点検、始動、ごく短いドライブを経験しつつ機械部品の作動状態を維持していたと紹介されています。
その後、2020年1月には現在のオーナーがこのカウンタック25thアニバーサリーを購入したそうですが、相変わらず「新車同様」の状態が維持されており、オリジナルのピレリPゼロタイヤが装着され、オリジナルのマニュアル、販売資料、1990年の販売明細書が付属している、とのこと。
ランボルギーニ・カウンタックは、その性能もさることながら人々の度肝を抜くスタイリングにてランボルギーニの名を世界に知らしめたクルマであり、真の、そして究極のスーパーカーであることには誰も異論がないかと思います。
そしてこの個体は製造当時のオリジナル性を維持し、かつ新車同様のコンディションを持つことから非常に高い価値を持つと考えてよく、コレクター達による壮絶な争奪戦が繰り広げられることになりそうですね。
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