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マツダが「ロータリーエンジン+ハイブリッド4WD」の特許を出願!軽量コンパクト、おそらくは安価なシステム構成を持ち、手が届くスポーツカーに搭載される?

2023/05/17

マツダが「ロータリーエンジン+ハイブリッド4WD」の特許を出願!軽量コンパクト、おそらくは安価なシステム構成を持ち、手が届くスポーツカーに搭載される?

| ここへ来て、各社から「ハイブリッドスポーツ」に関する様々な特許が出願されており、いずれも固有の思想があって面白い |

この特許は一見複雑に見えるが、車両全体としては既存コンポーネントを代用できる可能性があり、全体としては軽量シンプルに仕上がりそう

さて、マツダはこれまでにもスーパースポーツ含む様々なスポーツカーの特許を出願していますが、今回は2021年6月に出願され、2023年5月9日に公開となった”ハイブリッドスポーツ”の特許がネット上を賑わせています。

今回の特許の骨子としては「フロントに前輪駆動用のエレクトリックモーターを二つ内蔵」「ロータリーエンジン搭載」「その後ろにもう一つのエレクトリックモーターを搭載」「それらを可変電圧にて制御する」というもの。

なお、昨年に公開された「インホイールモーター+3ローター・ロータリー」に関連する特許と近いように見え、しかし今回の特許はモーターの種類やバッテリーの制御について一段踏み込んだものであるように見えます。

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マツダが新しく出願した特許はこんな内容を持っている

そこで今回マツダが新しく出願した特許を見てみると、赤い四角で囲んである部分がエレクトリックモーターで、前輪に2つ(1個あたり17kW/23馬力)のインダクションモーターを装着し、エンジンのすぐ後ろには25kW/36馬力を発生する永久磁石同期モーターが取り付けられていることが明記されています。※合計で82馬力を発生することになる

なお、ガソリンエンジンについては今回の特許の主たる内容ではないので深く言及されてはいませんが、「エンジンはロータリーであり、車体前部に配置されています」と明言されています。

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ハイブリッドカーにおいて異なる種類のエレクトリックモーターの組み合わせを見るのは珍しいことですが、これらインダクションモーターと永久磁石同期モーターは異なるトルク特性を持っており、なによりフロントホイールに装着されるインダクションモーターは軽量であるこという特徴を持ち、17kW程度の出力であれば、2.7kgくらいに収まる可能性があると言われています。

そしてここで重要なのは、この「インホイール(インダクション)モーターは、ブレーキとしても機能する」ということで、これを従来の油圧ブレーキと置き換えることができれば、フロントのバネ下重量を(従来のクルマに比較して)削減できる可能性すら見えてきます(今回の特許ではそこにまで言及されていない)。

もしこれが可能になれば、マツダは「重量を増加させることなく(ただしバッテリーやインバーターの重量は増加する)」全輪駆動ハイブリッドカーを実現させることができ、それは他社に対する大きなアドバンテージとなるのかもしれません。

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参考までに、こちらが以前にマツダが出願した特許図面ですが、こちらでは主に「駆動システム」についての説明がなされており、今回出願された特許はここから一歩進み、ハイブリッドシステムをどう制御するか、という領域に入っているようですね(赤い四角はやはりエレクトリックモーター。前回の特許ではモーターの種類や制御について触れられていない)。

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マツダの特許では二重電圧バッテリーシステムを使用

そして今回の特許で新しく登場したのが「二重電圧バッテリー」。

こちらも「インホイール(インダクション)モーター」同様、重量に配慮した電圧システムだと考えられ、しかし今回公開された特許では、他社では見たことのないような独自の可変電圧システムを使用しており、まず48ボルトのモジュール4つ(青い四角)を運転席後ろのフロア下に搭載していることが記されています。

巡航中など大きな、そして瞬間的な出力が不要な場合、これらのシステムは通常の48ボルトバッテリーとして機能し、「省電力状態での」ハイブリッドとして機能しますが、加速時などピーク電力が要求されるとなれば、この可変電圧システムはMOSFETと呼ばれる電気スイッチにて、瞬時に2組のバッテリーセルを96ボルトとなるよう直列に再構成することに。

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一見すると複雑に見えるものの、電力電子学的見地からすると、おそらくは安価、かつ軽量であるだけでなく、組み立てとメンテナンスも著しく安全になる可能性が高く(60ボルトを境界として安全性に対する時術的要件が変わってくると言われる)、マツダとしては、よりシンプルに、そしてより安価なコストで、さらに安全にハイブリッドシステムを実現するための特許を考えたと解釈することができそうです。

ぼくとしては、特に注目すべきと考えているのが「油圧ブレーキをインホイールモーターに置き換える可能性がある」こと、そして「可変電圧システムを使用してシステム構成をコンパクトにしている」こと」。

これらは「重量をそれほど気にしなくてもいい」SUVやサルーンには不要なものであり、逆にスポーツカーの最優先条件でもある軽量性を達成するには非常に有効な手段です。

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しかしながら、1,000馬力級のスーパースポーツ、あるいはハイパーカーにとってはやや不足がある内容かもしれず、しかし300-400馬力くらいのスポーツカーであれば十分にこれで対応できるものと思われ、マツダは(ロードスターのエンジンをいたずらに排気量アップしないのと同様に)ハイブリッドスポーツにおいてもむやみに高出力化や、それにともなう機構や制御の複雑化、何より重量増を避け、そして”バランス”をもっとも重要視しているであろうことが理解できる特許だと思われます。

なお、電動化シフトがはじまってしばらく時間が経過していますが、そのぶん各社とも様々なノウハウを蓄積しており、今回のマツダのように、自社のポジション、そして思想にマッチしたハイブリッドシステムを考案する時代に突入したことは面白い、と考えています(同じハイブリッドであっても、求める方向性によって、そのシステム構成、制御が一様ではなくなった。つまりどれが正解であるという手法が存在しない)。

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参照:US Patent and Trademark OfficeThe Drive, Motor1

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