| どう考えてもこのクルマで利益を出せるとは考えにくく、夢のままで潰える可能性も |
ボクとしてはトヨタの介入によって実現することを期待している
さて、マツダはこれまでにも様々な「ロータリエンジンを搭載するFRスポーツカー」の特許を公開してきましたが、今回日欧にてまたしてもロータリーエンジンを積む4WDスポーツらしきモデルのパテントが出願されているもよう。
そして出願されている図面と内容を見るに、「後輪を駆動するための(3ローター)ロータリーエンジン搭載」「トランスアクスルレイアウト」「トランスミッションにエレクトリックモーター装着」「48Vハイブリッド」「前輪のハブにエレクトリックモーターを装着」という一風変わったハイブリッドシステムを持っています。
マツダは4WDを採用したかった?
なお、ロータリエンジンは環境規制に適合させることが非常に難しく、現在の規制、これから導入される規制を考慮するに、ハイブリッド化せねば到底ロータリーエンジンを(車輪を駆動する)動力源としたクルマを発売できないのは自明の理。
よって、今回の特許に見られるように、リアに設置されたトランスミッションへとエレクトリックモーターを装着することにより、エレクトリックモーターを駆動力として活用し、これによって燃費を向上させる(CO2排出量を減少させる)ものと思われます。
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この方法は(エンジンレイアウトこそ異なれど)マクラーレン・アルトゥーラ、フェラーリ296GTBと同様ということになりますが、そこで気になるのがフロントのエレクトリックモーター2つ。
見たところではハブに取り付けられており、これはかなり異例。
フロントにエレクトリックモーターを装着するスポーツカーだとホンダNSX、フェラーリSF90ストラダーレ/スパイダー、ポルシェ918スパイダーなどがあり、しかしこれらでは車体側にエレクトリックモーターが取り付けられ、その理由はもちろん「エンジンがリアにあるから(そのためフロントにモーターを設置するための場所が確保でき、ロールセンターを適正化できる)」。※下の画像はポルシェ918スパイダーと同じシステムを使用したランボルギーニLPI910-4アステリオンのシステム構造
しかしながら、このマツダの新型車の場合はフロントにエンジンがあるのでそうはゆかず、よってハブにエレクトリックモーターを取り付けることになったのだと思いますが、この方法だとバネ下重量がかさんでしまい、もちろんコストも高くなり、車体重量も増えてしまいます。
つまり、燃費削減のみを考えるのであれば、リアに「それなりのパワーを持つ」エレクトリックモーターを取り付けるというマクラーレン・アルトゥーラ、フェラーリ296GTB同様の手法で事足りるはずで、もちろんそのほうが安価に車両を販売することが可能となるわけですが、しかしそれでもフロントにエレクトリックモーターを取り付けるということは「そうする理由がある」ということになり、マツダは「FR以上のパフォーマンスを求め、その解がフロントにエレクトリックモーターを搭載し4WD化すること」だったのかもしれません。
なお、これに関する特許もすでに出願がなされています。
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そして、わざわざコストをかけ、(マツダの嫌う)重量増加を許容してまでフロントにモーターを積むということは、このフロントモーターは「かなりの(それらの代償を補ってあまりあるほどの)パワー」を持つと考えて良さそうですね。
参考までに、トランスミッションについては新型自動変速機の特許が出願されているので、これを採用する可能性があるのでは、と見ています(特開2019-143708/143707/143706)。
ロータリーエンジンは「3ローター」
そしてもうひとつ驚かされるのは「3ロータリー」エンジンを搭載していること。
ロータリーエンジンは「輪切りにしたロールケーキ」のようなもので、これを並べることで2ローター、3ローター、4ローターといった感じで増殖させることができるのですが、RX-7(FD3S)は2ローターが採用しており、そして3ローターはユーノス・コスモ以来作られておらず、4ローターを採用していたのはレーシングカーのマツダ787B(下の画像は787Bに積まれる4ローター)。
そして今回特許が出願されたロータリーエンジンを見るに、3つのハウジングを並べた3ロータリーエンジンを採用するということがわかり、こちらも当然ながらエレクトリックモーターよりも大きな出力を持つのは間違いなく(リアアクスル側のトルクを大きくしないと後輪駆動の意味がない)、よってシステム合計ではかなりのパワーを記録することになりそうですね。
ユーロ7が施行されようとしている現在、マツダにとって「ロータリーエンジンを使用するスポーツカー」の発売はおそらくこれが最後になるだろう、と考えており、マツダがかつてコメントしたように、マツダの社内では「時間との戦い」が繰り広げられているのかもしれません。
その車体構造は「スーパーカー」
そして今回「この新型スポーツカーがどういった車体構造を採用するのか」不明ではあるものの、これまでに届け出られた特許を見るに、車体構造はモノコック、そしてフロントにはサブフレームを用いたスペースフレーム、サスペンションにはダブルウィッシュボーンを採用する可能性がありそう(これらの特許は、ひとつのクルマに関連するものと考えていいと思う)。
この構造はランボルギーニ・ウラカンなどのスーパースポーツが採用するもので、逆に「ふつうの乗用車でこれを採用する例は(ぼくの知る範囲では)存在せず」、よってマツダの新型スポーツカーは「スーパースポーツ同様」の構造を持つということになりますね。
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そしてリアに関する構造も別途特許として出願されていて、これを見るにその形状は「RX ヴィジョン コンセプト」にそっくり。
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もちろんこれらの特許がすなわち「新型スーパースポーツの発売」「RX ヴィジョン コンセプトの実現」を表すものではないと認識しているものの、もし実現できれば「国産スポーツカー史上類を見ない」レイアウトを持ち、おそらくは突出したパフォーマンスを見せるもんと思われ、どうしても発売への期待が高まってしまいます(ただ、ほぼすべてが新設計となり、コストの掛かるハイブリッドコンポーネントが必要なので、相当に高価なクルマになるのは間違いない)。
なお、これが実現するにしても、マツダが独力でこれを成し遂げるほどの資金を持っているとは考えにくく、よってどこかでトヨタが関与する可能性も推測しています。
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参照:Autoevolution