| 日産は「問題を先送りにしてきた」ツケを支払う必要があるのだろう |
そして今の日産には「利用すべき価値がない」のもまた事実である
さて、現在「緊急モード」に突入した日産。
今月はじめに開催された説明会では「全社員の約7%に相当する9,000人の削減、世界的な製造能力の20%圧縮、三菱自動車の株式売却、新モデルの発売延期」を発表していますが、今回は日産の幹部が「このままではあと12~14ヶ月しかもたない」と経済誌に対し語ることに。
さらに別の幹部は「これは厳しい戦いになる」「最終的には、日本とアメリカがキャッシュを生み出す必要がある」とコメントしたと報じられていますが、現在の状況は「相当に危機的なもの」だとも考えられます。
日産が急激にキャッシュを生み出せるとは考えられない
なお、日産はしばらく前から「新型車に投資を行わず」既存車種のリニューアルにてなんとかやり過ごし、さらには目先の販売を確保するために「値引き」「法人向けのフリート販売」を加速させるなど不健全な手法を用いてきたことが指摘されており、文字通りこれは「問題解決を先送りにするだけで、根本的な解決になっていない」という状況。
そしていつかは「新車開発と市場投入をおろそかにしてきた」ツケを支払わなくてはならないのですが、まさに「今がその時」であり、この1年で状況を改善しなければそのツケを払うことができないということなのだと思われます。
この状況は、昨年8月のカルロス・ゴーン元日産CEOの発言を思い出させ、当時(ホンダと日産の共同事業が発表された際に)ゴーン氏は「ホンダと日産がうまくいくとは思えない。ホンダによる日産と三菱の隠れた買収でしかうまくいかないだろう」と予測し、さらに遡ること2020年には「数年内に日産は倒産するだろう」とコメントしたことも。
これらについては、カルロス・ゴーン氏の「嫌味」あるいは「たわごと」のように捉える向きも少なくはなく、しかし今やそれが現実のものになろうとしているわけですね。
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いったい日産の「今後」はどうなるのか
そこで気になるのが日産の今後ですが、かつて46%の日産の株式を保有していたルノーは段階的にその株式を売却して40%しか持っておらず、かつこの割合はさらに減ってゆくと報じられ、よってルノーはもう日産に対してなんら価値を見出していないと考えてよく、よってルノーの助けは期待できそうにありません。
一方でホンダは日産と電気自動車の共同開発に向けた契約を結んでおり、ルノーが(自社が保有する)日産株をホンダへと売却してホンダが日産の主要株主となる可能性も否定できず、しかし両者が協業を発表した際の「仕方ない感」「いやいや提携する感」を見るに、ホンダとしても「日産を引き取るのは勘弁」といった可能性もありそうです。※ホンダとしても余裕があるわけではなく、日産を受け入れたところで技術や販売面においてなんらメリットがあるわけではない
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なお、ちょっと前には経済産業省が「日産とホンダとの行く末を案じて」両者の合併を進め、しかし両方とも「断固NO」という返事であったとされるので、この話からも「ホンダと日産との関係性がうまく行くとは思えない」ということについては想像が可能ですね。
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参照:Financial Times