| ただしスバルとレクサスの「高価格維持」の理由はまったく異なる |
さて、米調査会社、ALGが「新車からもっとも価値が下がらないクルマ」の調査を行い、ブランドとしては「スバル」「レクサス」の2つがいちばん高い価値を維持し続けている、という結果を発表しています。
なお、この2つについては全く異なる理由にて「中古市場にて高い価値」を誇っているのだと思われますが、ぼくが考えるに、まずスバルの価値が高い理由としては、「もともと性能や機能に比較して、新車のときから(他社の車に比較して)割安で、その相対的な割安感は中古車になっても変わらず、かつ「モノが乗って走破性の高い4WD」という実用性がこの相場形成に役立っているのでは、というもの。
スバルはもともと大きく手を広げることは考えていない
スバルはもともと「シェア1%戦略」を採用しており、しかもその会社の性質上、新規投資ができなかった会社。
よって「今あるものでいかに安くクルマを作り、魅力的に見せるか」ということを考えてきた会社で、そのためトランスミッションやエンジンも20年以上同じものを使わざるを得なかったという経緯も(ネガティブな意味ではなく、そこにはエンジニアたちの努力、マーケティング上の工夫ほか、”必要は発明の母”てきな発想の転換がある)。
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そして社長自らが「シェア1%で十分」と言い切り、そのためにミニバンやコンパクトカーといった「市場規模は大きいが、競争が厳しく企業が疲弊する」セグメントからは思い切って撤退。
これは他の会社ではなかなかできない英断であり、ここはスバルの素晴らしいところだと考えています。
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その後スバルは「シンメトリー4WD」「アイサイト」を中心とした戦略に転じ、徹底してそれらを周知させることでその地位を固め、得意分野だけにフォーカスすることで成長を続けてきたという経緯があるわけですね。
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つまりは鶏口牛後というか、小さな市場で圧倒的王者になったのがスバルということで、そしてその「小さい市場」の支持者は常にいて、その需要に支えられるのがスバル車の「高い価値」だと考えています(ぼくはスバルの経営判断、経営手法が大好きだ。スバル車を買ったことはないけれど)。※トヨタ・ランドクルーザー、スズキ・ジムニーもこれに似ているかもしれない
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生態学的に言うと、閉鎖環境にて生き残るため独自に進化(適応)した生物たちに相当するかもしれず、ガラパゴスやオーストラリアの生態系に似ており、逆にそういった地域では他の生物が生き残るのは厳しい、といった環境ですね。
業種は違いますが、「アダルト産業」もそのひとつで、メジャーになるわけではないものの、必ず需要はあるという産業でもあります。
レクサスの高い価値はまた別の努力によって作られる
そしてこれと真逆なのが「レクサス」。
レクサスは高級セダンやSUVといったセグメントを中心に展開しており、いわばこれはスバルとは逆の「メインストリーム」。
メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWといった競合ひしめく中へ自らその身を投じているということになります。
そしてレクサスは新参者なので、これらライバルに勝つために考えたのが「価値の高さ」。
中古車を自社で買取り、高い価格で販売することによって「レクサスは高い」というイメージを形成してきたわけですね。
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アウディがプレミアム化を図るにあたってまず行ったのも中古相場のテコ入れで、現在のランボルギーニの成長も「高い中古相場」に支えられていると言えるかもしれません(一方、中古相場が低めで推移するマクラーレン、アストンマーティンは厳しい状況が続く)。
話をレクサスに戻すと、生態学的に見れば、レクサスは「農耕を行い、自分たちが生きて行けるフィールドを開拓した」ということもでき、「特定環境のみに対応する」スバルとは完全に異なるスタンスを持っているということもわかります。
極言すれば、スバルは「生き残りのために特定環境に特化した結果、その存在が特別なものとなり、あとから価値がついてきた」、レクサスは「はじめから高い価値を目指して展開を行い、自ら価値の創造に努めてきた」と言えるのかもしれません。
参考までに、生態学的には「特定環境に対応して生き残る」「農耕によって生活環境をトランスフォームして生き残る」のほか、イナゴや遊牧民のように「食料があり、生きて行ける環境を求め、食い尽くしながら移動する」という方法もあり、これには「中国車」が該当するんだろうな、とも考えています。
各自動車ブランド「残存価値(値下がりしない率)」の調査結果はこうなっている
そこで今回ALGの公開した「高い価値を誇るブランド」「高い価値を誇るクルマ」を紹介したいと思いますが、上述の通り、もっとも高い価値を維持し続けるのは「スバル(一般車)」と「レクサス(プレミアムカー)」。
そのほか、セグメント別だと下記のとおりです。※それにしても、北米での自動車の分類の細かさには驚かされる
セグメント別、値下がりしないクルマ
コンパクト・・・スバル・インプレッサ
コンパクトユーティリティ・・・スバル・フォレスター
フルサイズ・・・ダッジ・チャージャー
フルサイズ商業バン・・・メルセデス・ベンツ スプリンター
フルサイズユーティリティ・・・シボレー・タホ
大衆EV・・・キア・ニーロEV
マイクロユーティリティ・・・マツダCX-3
ミッドサイズ・・・ヒュンダイ ソナタ
ミッドサイズピックアップ・・・トヨタ タコマ
ミッドサイズユーティリティ(2列シート)・・・ホンダ パイロット
ミッドサイズユーティリティ(3列シート)・・・トヨタ ハイランダー
ミニバン・・・ホンダ オデッセイ
オフロードユーティリティ・・・ジープ ラングラー
プレミアムコンパクト・・・BMW 2シリーズ
プレミアムコンパクトユーティリティ・・・ポルシェ マカン
プレミアムEV・・・テスラ モデルY
プレミアムエグゼクティブ・・・レクサスLS
プレミアムミッドサイズユーティリティ(2列シート)・・・レクサスRX
プレミアムミッドサイズユーティリティ(3列シート)・・・ランドローバー・ディスカバリー
プレミアムスポーツカー・・・シボレー コルベット
プレミアムサブコンパクトユーティリティー・・・アウディQ3
スポーツカー・・・スバルWRX
サブコンパクト・・・ミニクーパー
サブコンパクトユーティリティ・・・スバル クロストレック
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参照: ALG