| 思ったよりもずいぶん過激な仕様で発表 |
ランボルギーニがついに「ウラカンSTO」を公開。
STOとは「スーパートロフェオ・オモロガータ」の略であり、「スーパートロフェオ」とはランボルギーニのモータスポーツ部門が開催するウラカンのワンメイクレースを指しています。
そしてこのスーパートロフェオ用レース車両については、数々のFIA公認レースにて輝かしい戦績をあげているウラカンGT3 EVOと多くを共有しており、これらの「公道走行のホモロゲーションを取得したモデル(つまり公道バージョン)」がこのウラカンSTOというわけですね。
ランボルギーニ・ウラカンSTOは後輪駆動
今回発表されたランボルギーニ・ウラカンSTOのエンジンは5.2リッターV10、640馬力。
つまりウラカンEVOと同じエンジンということになりそうですが、駆動方式は4WDから後輪へと改められ、これはレース用のスーパートロフェオEVO、ウラカンGT3 EVOの駆動方式が(レギュレーション上)後輪であることに由来するものと思われます。
0-100km/h加速は3.0秒、0-200km/h加速9.0秒、最高速度は310km/hというスペックなので「ずばぬけて速い」というわけではなく、しかしこれはダウンフォースを重視したためなのかもしれません。
ボディサイズは全長4,549ミリ、全幅1,945ミリ、全高1,220ミリ(シュノーケルぶんだけ高くなっている)、ホイールベースは2,620ミリ。
前後重量配分は41:59に設定されています。
ウラカンSTOはまさに競技用車両の公道版
ランボルギーニはこのウラカンSTOについて「デイトナ24時間レースにて3年連続でタイトルを獲得したウラカンGT3 EVO直系」だと語っており、サーキットにて磨きあげられた性能に加え、美しさを併せ持つ究極のスーパーカーである、とも。
もちろんレースからフィードバックを受けた数々のデバイスも盛り込まれ、日常使いができながらも「レーシングドライバーと同等の経験を、合法に、そして公道上にて体験できる」と述べています。
ランボルギーニ・ウラカンSTOの多くは新設計
なお、ヘッドライトがウラカンEVO/ウラカンEVO RWDと同じなので「ウラカンEVO/EVO RWDの外観をちょっとイジっただけじゃないの」と考えてしまいますが、レーシングカーに採用される素材や技術、デザインをそのまま反映してその多くを新設計。
これはランボルギーニのモータースポーツ部門であるスクアドラ・コルセ、そしてランボルギーニのデザイン部門”チェントロ・スティーレ”との共同作業によって行われたと紹介されており、近年のランボルギーニの特徴である「市販車とモータースポーツ車両との結びつきの深さ」を感じさせます。
なお、ウラカンSTOのフロントフードは「バンパー、フェンダー、ボンネット」が一体化した”一枚モノ”。
もちろん軽量性を意識した構造で、モータースポーツにインスパイアされたデザインということになります。
こんな感じで(かつてのミウラ同様)ガバっと開きますが、もしフロントをぶつけると「この1枚をまるごと交換する必要」が出てくるため、とんでもない出費を強いられそう。
ちなみにウラカンEVO/ウラカンEVO RWDにはちょっとしたバッグが収まるくらいの「フロントトランク」があるものの、このウラカンSTOにはおそらく「それがない」ということになりるのかも。
ただ、仮に「あった」としても、収納物を出し入れするたびにガバっとフロントフードを開くことになり、周囲の人を驚かせることになりそうですね。※動画を見ると、ちょっとだけ収納スペースがあるようにも見える
なお、この構造を採用することでフロントのエアフローを改善でき、センターの大型ラジエターによってクーリング性能も向上。
さらにはホイールハウス内からエアを抜くためのルーバーも設けられます(内圧を低下させることでダウンフォースを向上させることができる)。
ちなみにタイヤはピレリではなくブリジストン製(ポテンザ)が採用され、「公道寄り」と「サーキット寄り」の二種類から選択可能。※前後20インチ
ブレーキは新型「CCM-R」で、これはこれは従来のカーボンセラミックブレーキ(CCB)に比較して高熱に耐えることができ、60%耐ストレス性が高く、25%ストッピングパワーが向上し、7%制動距離が短縮されている、とのこと。
そのほか、見ての通りトラック(トレッド)は広げられ、さらにサスペンションとブッシュ、そしてアンチロールバーは締め上げられることになり、エンジン出力はウラカンEVOと同じ640馬力ながらも、レスポンスそしてサウンドが改善され、変速スピードも向上しているとアナウンスされています。
なお、ウラカンEVOに搭載されている後輪ステアリングも継続され、しかしこれはウラカンEVO RWDでは選択できないので、「後輪駆動モデルとして初めてリアホイールステアリングを装着したランボルギーニ」ということになりそうですね。
リアセクションにはNACAダクトとシュノーケル、シャークフィン
そしてウラカンSTOのリアフェンダー上にはNACAダクトが設けられ、ここからエンジンの「吸気」を行いますが、吸気経路を短縮することでロスが30%低減された、とのこと。
ルーフ上にはシュノーケルが設置され、これはエンジンとエキゾーストシステムを冷却するためのエアを取り込むようですね。
さらにリアフード上には、近年のランボルギーニが好んで用いる「シャークフィン」が設けられており、これはコーナリング時のスタビリティを向上させるとともに、リアウイングへと効率的に風を導き、エアロダイナミクスを最適化する役割を担うそうです。
なお、リアウイングは当然ながら角度調整式。
そこに記載されるのはランボルギーニの伝統に則ってイタリア語が用いられています。
「モータースポーツ由来」のクルマだけあってアクティブエアロデバイスは搭載されていないようですね。
ランボルギーニによると、ウラカン・ペルフォルマンテとの比較にて、エアフローは37%効率化し、ダウンフォースは53%増加した、とのこと。
ランボルギーニ・ウラカンSTOは軽量化にも抜かりはない
そしてスポーツカーとしての重要な要素である「軽量化」についても抜かりはなく、実際にボディパネルの75%はカーボンファイバー。
リアフェンダーについては航空宇宙技術を取り入れた、カーボンファイバーを中心とする「サンドウィッチ」構造を取り入れており、カーボンファイバー使用量が(従来の同じ強度を持つカーボン製パネルに比較して)25%削減できた模様。
さらにマグネシウムホイールの使用、軽量ガラスの使用(ウラカン・ペルフォルマンテよりも20%軽い)といった数々の対策の結果、車体重量は1,339kgにとどまり、これはウラカン・ペルフォルマンテよりも43kg軽い数字となっています。
ランボルギーニ・ウラカンSTOのインテリアはこうなっている
そしてこちらがウラカンSTOのインテリア。
外観の過激さに比較すると「まだロードカーに近い」という印象です(ただしアクラポヴィッチ製チタンロールバーや4点式ハーネスなど、ものものしい雰囲気を出している。シートの後ろは”ヘルメットホルダー”が備わる)。
ステアリングホイールはバックスキン、そしておなじみドライブモード「ANIMA」も。
ただしこのANIMAはウラカンSTO専用に調整され「PIOGGIA」「TROFEO」「STO」という3つのモードで構成され、PIOGGIAはウエットコンディション向けに調整されたモードとなりトラクションコントロール、後輪ステアリング、ABSやトルクベクタリングがウエット向けに。
TROFEOモードではドライコンディション向けの設定となり、タイムアタックに適したモードということになります。
STOモードは「運転を楽しむ」ための設定だとされ、おそらくはテールスライドも可能な「ドリフト許容」モードなのだと思われます。
ウラカンSTOのインテリアには、エクステリア同様にカーボンファイバーが多用され、フロアマットすらも(部分的に)カーボンファイバー。※カーペットは除去されているらしい
そのほかシートシェル、エアコン吹出口もカーボン製となり、センターコンソールほかの張り材には「カーボンスキン」が用いられています。
うランボルギーニ・ウラカンSTOの価格はこうなっている
このウラカンSTOについて、特に限定とはアナウンスされていないため、なんと「普通に」買える模様(何らかの制限はあるかもしれない)。
納車は2021年春から、そして価格は下記の通りに設定されていますが、これだけの変更内容を持つことを鑑みるに、「割とお買い得なんじゃないか」という気もしてきます。
ランボルギーニ・ウラカンSTOの価格設定
・ヨーロッパ・・・249,412ユーロ(税抜き)
・イギリス・・・216,677ポンド(税抜き)
・USA・・・327,838ドル(税抜き)
・中国・・・3,900,000元(税込み)
・日本・・・37,500,000円(税抜き)
ランボルギーニ・ウラカンSTOの動画も公開済み
そしてこちらはウラカンSTOの関連動画。
参照:Lamborghini