>スウェーデンの自動車メーカー

ケーニグセグCC850に搭載される「MT機能内蔵のAT」のクラッチは本物?どうやらシフトレバーともども実際のMTと同様の機構を持ちフェイクではないようだ【動画】

2022/09/06

ケーニグセグCC850に搭載される「MT機能内蔵のAT」のクラッチは本物?どうやらシフトレバーともども実際のMTと同様の機構を持ちフェイクではないようだ【動画】

| このケーニグセグ「エンゲージ・シフト・システム」はMT信奉者への光明となるかも |

その構造はとんでもなく複雑であったようだ

さて、ケーニグセグはつい先日、最初の市販車である「CC8」へのオマージュである「CC850」を発表し、そしてあまりの人気っぷりに増産を決定したほどですが、このクルマがもっとも注目されている理由は「オートマチック・トランスミッション内にマニュアル・トランスミッション」を持つということ。

ベースとなるのはジェスコに積まれるライトスピード9速ATですが、これにMT操作機能(エンゲージ・シフト・システム)を加え、しかしMTだと「6速」として機能するというロジックです(ただし、ドライブモードによって使用するギアが異なり、すべてのドライブモードを使用すれば、9速全てを使用することになるらしい)。

ケーニグセグが世界最速・世界最強のマニュアル車「CC850」を発表!20年前に発売したCC8へのオマージュ、出力は1385馬力
ケーニグセグが世界最速・世界最強のマニュアル車「CC850」を発表!20年前に発売したCC8へのオマージュ、出力は1385馬力

| さすがにこの出力のクルマをマニュアル・トランスミッションにて操作するのはちょっと恐ろしい | ケーニグセグ創業者50歳の折に50台のみが限定販売 さて、ケーニグセグは20年前に最初の市販車「CC8 ...

続きを見る

一時は「フェイク」だとも言われたが

このCC850に搭載されるマニュアル・トランスミッションはクラッチを備え、ケーニグセグによれば「通常のMTと同じ理論で作動する」とされていたものの、一部では「フェイク」だとも言われていて、つまりクラッチは飾りであって、よくある「ATにMTのロジックを持たせた」トランスミッションのように、スイッチによる変速であるとも報じられていたわけですね。

そこで我らがエンジニアリング・エクスプレインドの出番と相成るわけですが、かんたんに結論から言うと、ケーニグセグCC850が有するトランスミッションは「完全なる本物のマニュアル・トランスミッション」。

ケーニグセグ・ライトスピード・トランスミッションは非常に複雑な構造を持っている

なお、通常のマニュアル・トランスミッションは2本のシャフトと1つのクラッチを持ちますが、ケーニグセグのライトスピード・トランスミッションは3本のメインシャフトと各ギアごとのクラッチパックを持っていて、まずはクラッチを踏むと1本めのシャフトに連続されたクラチパックがすべて開き、そしてギアを入れるとエンジンからのダイレクトドライブシャフトとギアシャフトが接続され、ドライバーがクラッチペダルを離すと、2本目のギアシャフト上のどのクラッチパックを作動させるべきかを知らせる信号をコンピューターへと送ることに。

2022-09-05 14.38.10

つまりクラッチを踏むと「クラッチが切り離されてパワー伝達が切断され」「シフトレバーによって自分でギアを選び(ただし、マニュアルシフト上の1速であったとしてもドライブモードによっては、それが9速のうちの1速なのかもしれないし、2速かもしれない)」、そしてクラッチペダルを離せばクラッチが繋がるというわけですね。

よって、クラッチを踏まずにシフトレバーを動かしても変速はできず、変速してもクラッチペダルを離さないと動力は伝達されないということになり、つまり「ロジックだけではなく、物理的に」本物のマニュアル・トランスミッションである理由がここにあります(さらに、シフトチェンジの際にエンジン回転数が不十分であればエンストも起こりうる)。

2022-09-05 14.41.28

つまりはとてつもなく複雑な構造を持っているということになりますが、こういったトランスミッションを作ってしまうこと、実際に市販車に投入してしまうところはさすがケーニグセグ。

そしておそらくは(複雑ながらも)軽量に収まっているはずで、相変わらずケーニグセグはぼくらを驚かせてくれる、ということになりそうです。

コスト次第では今後のひとつの「ソリューション」に

なお、ケーニグセグがCCC850にてこのトランスミッションを投入してきた意味は大きく、というのもこれまでにも様々な「フェイク」トランスミッションが製作されてきたものの、それらは文字通りフェイクであって「本物ではない」ため。

そしてマニュアル・トランスミッションを欲している人々が(ぼくも含め)こういったフェイクMTに満足できるはずはなく、むしろ「偽物」認定するんじゃないかと考えています。

やるやんシボレー。新型コルベットではクラッチを「スイッチ化」してまでMTを継続?

シボレーはマニュアル・トランスミッションに関する特許も出願 最近になって立て続けに登録されるシボレーの特許。 主にはミドシップ化される新型コルベットに採用されるものだと考えられているものの、今回は「マ ...

続きを見る

さらに「偽物MT」にオプション価格を支払うとは考えられず、よってどうやってもフェイクは本物を超えるどころか、代わりにもならなんじゃないかと考えているわけですね。

ただ、このケーニグセグCC850のトランスミッションは紛れもない「本物」であり、多くの人にとってその価値を認めさせるだろうとも考えています。

koenigsegg-cc850-manual-transmission

トヨタのマニュアル・トランスミッション
トヨタがEV向けの「フェイク」マニュアル・トランスミッションの特許を申請!疑似タコメーターを備え変速時の「トルク抜け」も再現するようだ

| おそらくはシフトショックも再現してくるだろう | こういった考えは多くの自動車メーカーが持つものの、ここまで本気で取り組むのはトヨタだけだろう さて、マニュアル・トランスミッションに対しては多くの ...

続きを見る

よって他の自動車メーカーもフェイクではなく、このエンゲージ・シフト・システムのように「本物」MT機能を持つATを開発し実装する可能性も考えられ、しかし問題はその「コスト」。

ケーニグセグのようなハイパーカーでは許されるコストが「一般の」クルマでは許されない可能性も高く、このシステムが普及するかどうかはそのコストにかかっているのかもしれません。

合わせて読みたい、マニュアル・トランスミッション関連投稿

ホンダ・シビックが目標月販台数の3倍を受注!最も多い購入層は20代、MT比率はなんと35%超。いったい何が起きているのか・・・。
ホンダ・シビックが目標月販台数の3倍を受注!最も多い購入層は20代、MT比率はなんと35%超。いったい何が起きているのか・・・。

| 20代が購入している理由は不明だが、マニュアル・トランスミッション選好の傾向が拡大しているのは間違いない | 新型シビックの注目度がここまで高いとは思わなかった さて、ホンダが11代目となる「新型 ...

続きを見る

米ではトヨタ86の”わずか”33%がMT。なお日本では86の60%、BRZの74%がMT。S660やロードスターのMT比率は?

| 調べてみたら以外な数字が出てきたぞ | トヨタが北米市場において、「86のマニュアル・トランスミッションの販売比率は1/3」と公開。これはCarbuzzが報じたもので、トヨタ86のMT比率は33% ...

続きを見る

トヨタはGRスープラのマニュアル・トランスミッション比率をわずか25%に見積もっている!しかし「MTという選択肢を提供することが重要なのです」
トヨタはGRスープラのマニュアル・トランスミッション比率をわずか25%に見積もっている!しかし「MTという選択肢を提供することが重要なのです」

| 実際のところ、これよりもずっと多く売れるかもしれないし、すっと少ないかもしれない | おそらく、日本では北米よりも多くの人がマニュアル・トランスミッションを選びそうだ さて、先日GRスープラにマニ ...

続きを見る

参照:engineeringexplained

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Cirqua_Recommend / 1845256

->スウェーデンの自動車メーカー
-, , , ,