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「行動を起こさねば何も変わらない」。アーティストのメッセージが印象的な「10年間カスタムし続けた」VWシロッコ

2019/06/21

| 芸術家の、芸術に対するアンチテーゼがここに表現されている |

カリフォルニアより、なんともカリフォルニアっぽいカスタムが施されたフォルクスワーゲン・シロッコ(1980年モデル)が登場。
このシロッコのオーナーはカリフォルニアにてホイールメーカーを営むジェイソン・ウイップル氏で、シロッコのカスタムには「10年を費やした」とのこと。

見たところフロントマスクの変更やオーバーフェンダー追加がなされているようですが、その内容を見てみましょう。

いたずらにパワーは追求しない、環境に優しいシロッコ

まず、エンジンは2リッター4気筒、自然吸気。
見た目に反して地味なエンジンということになりそうですが(西海岸のカスタムであればスーパーチャージャーやNOSが追加されていそう)、これは180馬力を発生。

なお、もともとシロッコに積まれるオリジナルのエンジンは1.1リッターもしくは1.5リッター、1.6リッター、1.7リッターで、もっとも高出力なエンジンでも82馬力であったことを考えると、180馬力であっても大幅なパワーアップを果たしている、ということになります。

ちなみにタワーバーはビレット加工によるゴッツいものが入っていますね。

VW-Scirocco-8

そしてインテリアはほぼストリップされ、スパルコ製のシート、レーシングハーネスが追加。
後部座席は取り払われてロールケージが組まれています。

VW-Scirocco-3

今回のシロッコのカスタムにおいて、もっとも特徴的なのはそのグラフィック。
これはイギリスのグラフィックアーティスト、ニコライ・スカルター氏の作品だそう。

当初、シロッコのオーナーであるジェイソン・ウイップル氏は、彼のスケートボードをニコライ・スカルター氏にペイントしてもらおうとコンタクトを取ったそうですが、シロッコの存在を知ったニコライ・スカルター氏は「いっそのこと、シロッコにペイントしたらどうだい?」と提案。
もちろんジェイソン・ウイップル氏がこれを拒否しようはずもなく、ここにこの魅力的なシロッコが誕生した、というのがコトの成り行きのようですね。

VW-Scirocco-2

ニコライ・スカルター氏いわく、このシロッコのグラフィックは2つのメッセージから成り立っている、と言います。
「ひとつは、インスタグラム上にアートが氾濫し、もはや本や美術館を通じてアートが提供されなくなったことに対するフラストレーションだ。これはぼやけた文字で表現されている。そしてもうひとつは、人々が他人や環境に対して気を使うべきだということだ」。

VW-Scirocco-4

ボディには、明るいカリフォルニア、サーフ文化を思わせるカラーが用いられており、施される文字は「WHERE DID IT ALL GO WRONG」「THINGS WON'T CHANGE UNTIL WE DO」「THE FUTURE IS OUR FAULT」。

これらには色々な意味があると思われ、ニコライ・スカルターのメッセージをあわせて考えると、どんどん悪くなってゆく世の中や、そうしているのは個々の行動であること、そして何らかの行動を起こさねば何も変わらないこと(逆に何かをしたら悪い方にも変化が及ぶこと)を伝えたいようにも思われます。

VW-Scirocco-5

なお、「H&R(サスペンション)」や「SPARCO(シート)」のフォントは本来のそのメーカーのものではなく「サーフっぽいもの(TOWN & COUNTRYみたいな)。

VW-Scirocco-6

なお、ジェイソン・ウイップル氏はこのフォルクスワーゲン・シロッコを「ミリオンダラー・シロッコ(百万ドルのシロッコ)」と呼んでおり、それは同氏がここまでかけた時間やお金、ニコライ・スカルター氏によるペイントを表したもので、同時にそれだけのお金を積まれても売らない、という意思表示なのかもしれませんね。

VW-Scirocco-7

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