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BMW「EVであってもキドニーグリルを廃止する気はない。絶対にだ」。なぜそこまで巨大グリルに執着するのか

2020/04/09

| EVには異なる顔つきを採用するメルセデス・ベンツとは反対の戦略を採用 |

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「キドニーグリルを廃止する予定はない。それはエレクトリックビークルであっても、だ」。

これはBMWのデザイン部門を率いるドマゴフ・デュケック氏がAutoblogに対して示唆した内容ですが、同氏によれば、「現在、BMWは”コアプロダクト””Mモデル””iブランド(エレクトリック)”という3つのラインを持っている。それぞれ異なる目的と顧客のために存在しているわけだが、我々はこれら3つに異なるアイデンティティを与えようとは考えていない。Mモデル、iブランドともにコアプロダクトをサポートするものであって、いずれもBMWブランドを強固にするためのラインアップであるべきだ」。

つまり、3つのラインにはデザイン的共通性を持たせ、あくまでも「3つ揃って」BMWとしてのプレゼンスを高めてゆくということになりそうです。

BMWはキドニーグリルを「強化」中

現在BMWはいずれのモデルにおいてもキドニーグリルを巨大化させていますが、これは中国のような新興市場において、並み居るライバルに対して「目立つ」ため。

中国ではまだまだBMWの認知度が低く(というか、どの車がどのメーカーの製品であるかを見分けられる人が多くはない)、加えて一般に押し出しの強い顔つきが好まれると言われます。

よって、ひと目でそのクルマが「BMWである」と認識させ、かつ中国人に好まれるデザインを採用すると必然的に「巨大キドニーグリル」となるのは十分に理解ができるところ。

なお、BMWだけではなくレクサスやメルセデス・ベンツのグリルも大きくなる傾向にあるものの、しかしBMWだけが「グリル巨大化の速度、程度ともにほかを圧倒」。

この理由は謎ではあるものの、おそらくはBMWグループに属するロールスロイスの「大きなフロントグリル」が中国人に受けていることにヒントを得たのではないかと考えています。

すべては7シリーズからはじまった

なお、この巨大キドニーグリルが顕著になったのは、フェイスリフト版である現行7シリーズから。

これは「キドニーグリルを巨大化させるために」ボンネットの高さを5センチも高くするという手法を用いており、フェイスリフト(マイナーチェンジ)でここまでやってくるのは異例中の異例。

BMWのデザイナー「7シリーズの巨大グリルには理由があったのだ。誰もが好むデザインは難しい」。批判に耐えかねていることを告白

ただ、このときは「高級車には、それなりの押し出しの強いグリルが必要」と語っていて、コンパクトカーやスポーツモデルにまではこれを波及させないとコメントしてたものの、その後発表された「コンセプト4」には驚くべきサイズのキドニーグリルが装着されていて、BMWは「キドニーグリル巨大化に対する動かぬ決意」を見せています。

BMWのデザイナー「成功しているときこそ変わるのだ。我々は前に進む必要があり、巨大キドニーグリルは変革の象徴である」。BMWは一歩も引く気はないらしい

そして新型M3やM4、さらには4シリーズもこの「巨大グリル」を装着することになりそうです。

新型BMW 4シリーズのリーク画像が初登場!思っていたよりも(悪夢のように)大きく、「左右連結」キドニーグリルを採用しているようだ!

本来、エレクトリックモデルにキドニー”グリル”は不要だが

そして今回、BMWは「エレクトリックモデルにも巨大キドニーグリル」を示唆したということになりますが、本来エレクトリックモデルには「グリル不要」。

フロントグリルとは吸気のための開口部で、この開口部はエンジン冷却水を循環させるラジエターに風を当てて冷やすためのもの。

しかし(ガソリンやディーゼル)エンジンを持たないピュアエレクトリックモデルであればこういった冷却のための開口部を設ける必要はなく(バッテリーの冷却は必要)、さらには航続可能距離を伸ばすため、空気抵抗となるグリルは逆に排除したいところでもあります。

それでもBMWは「エレクトリックモデルにキドニーグリルを設ける」ということになりますが、その理由はもちろん上述の通り「ブランディング」。

もちろん「全閉」であったりシャッターを設けたり、と空気抵抗に配慮した構造が与えられることになるとは思われるものの、「エレクトリックモデル(EQ)には、通常ラインとはまた別のデザインを与える」方向で動いているメルセデス・ベンツとは大きく異る戦略を採用しているのは面白いところですね。

VIA: Autoblog

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