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上場がアダに!アストンマーティンをF1チームオーナーが買収との報道。なお現在同チームからはその息子がドライバーとして出走中

2019/12/06

| アストンマーティンの株価が1/3以下に下がり、株式の買い集め=会社自体の購入が検討されるレベルに |

Autocarによると、60歳になるビジネスマンのローレンス・ストロール氏なる人物がアストンマーティンの買収を計画している、とのこと。
なんでも同氏はラルフローレン、トミー・ヒルフィガー、ピエール・カルダン、マイケル・コースなどのファッションブランドに投資を行い財を成した人物だそうですが、現時点では同氏そしてアストンマーティンからのコメントは得られておらず、その動機や敵対的買収であるかどうかは不明です。

なお、ローレンス・ストロール氏は「レーシング・ポイントF1チーム」のオーナーであり、これは旧フォース・インディア、現スポーツペサ・レーシング・ポイントF1チーム」。
ちなみに同チームのドライバー、ランス・ストロール選手は、今回話題となったローレンス・ストロール氏の実子です。
加えてローレンス・ストロール氏は世界有数のカーコレクターとも言われ、とくにフェラーリでは「もっとも価値の高いコレクションを持つコレクターの一人」だと言われます。

アストンマーティン自らがF1に参戦する可能性も

この内容を考えるに、同氏はアストンマーティンを手中に収め、今後は自身の「趣味と実益を兼ねた」展開を行うのだと考えられますが、もしそうなると現在アストンマーティンとパートナシップにあるレッドブル、そしてレーシング・ポイントという、F1における2つのチームに関わることに。
おそらく両者は利害関係が絡むので、このあたり色々な問題が出そうですが、ローレンス・ストロール氏は息子のランス・ストロール選手を強力にバックアップしており、フォース・インディアを買収したのも「息子のため」のようなものだと考えられるので(ランス・ストロール選手がウィリアムズに在籍していたころも、豊富な資金力を背景に、同選手のみのため、異例の大規模テストを行っている)、今後モータースポーツにおいても大きな変動が出てくるのかも。

ただ、これらは「もしローレンス・ストロール氏がアストンマーティンを買収したとしたら」という前提なので、今のところはナントモです。

アストンマーティンはこれまでも幾多の経営元を転々としている

ちなみにアストンマーティンはこれまでにも所有者がいくつか変わっていて、初代つまり創業者はロバート・バムフォードとライオネル・マーティン(1913年)。
その後ライオネル・マーティンが会社を去るもアウグストゥス・チェーザレ・ベルテッリが加入(1926年)。
そして1947年にはイギリスの実業家であるデビッド・ブラウンがアストンマーティンを買収し、この頃に動詞の頭文字「DB」を車名に冠する習慣が出来上がっています。

ただし、その後デビッド・ブラウンの本業が危機になったためにアストンマーティンは投資グループである「カンパニー・デペロップメント」にわずか100ポンドで売却(1972年)。
ただしここではアストンマーティンブランドを立て直すことはできず、1975年に投資家グループとアストンマーティンのオーナーによる救済ファンドの手に渡っています。

さらに1981年にはイギリス人のビジネスマンであるヴィクター・ガーントレットに売却され、1987年にはフォードへ、そして2007年にはデビッド・リチャーズ(プロドライブ)と中東(クウェート)投資家グループがアストンマーティンを購入。
そして2012年にはイタリアのインベスティンダストリアル社が37.5%の株式を購入して経営に参画することになり、2018年末に株式上場(IPO)を果たした、というのがこれまでの流れです。

株式上場はメリットだけではない

なお、アストンマーティンは上場前に高い評価を受けており、アンディ・パーマーCEOも「フェラーリと同じくらいの価値がある」とも(ぼくもそう思ってた)。
しかし上場した際の株価はIPO価格の19ポンドを割る18.10ポンドで終了し、その後も株価はずっと下がり続け、現在は5ポンド前後。
つまり株価がかなり安い状況にあるということになり、この株を買い集めれば「アストン・マーティンという会社そのものを手に入れることができる」わけですね。※一方のフェラーリは、上場後に3倍くらいにまで株価が上昇

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フェラーリの株価は現在最高値付近。アストンマーティン、ポルシェの株価はどう?その展望は?

株式を公開すると、一般には(会社が持っていた株式を市場に売りに出すので)会社にお金が入ったり、株主が大儲けするといったイメージもあり、実際にアストンマーティンも一定の資金を手にしたとは思われるものの、その後株式が安くなってしまったために発行済株式の時価総額も小さくなって会社ごと買われやすい状況、つまり「買収の危険性にさらされている」ということになります。

なお、ランボルギーニは現在「フェラーリ以上の評価」を受けていると報道されていますが、こういった買収リスクを避けてか「上場は行わない」、と明言していますね。

VWが「ランボルギーニ売却」を即刻、かつ公式否定。ランボルギーニの販売台数はVWグループ内でわずか1/933、しかし時価総額だと1/8を占める”優良ブランド”

そのほか「上場の弊害」というとメルセデス・ベンツ(ダイムラー)もその一例であり、中国の吉利汽車CEOが「個人で」ダイムラー株を買い集めて筆頭株主に。
さらには中国におけるメルセデス・ベンツのパートナーもダイムラー株を買い集めており、今後メルセデス・ベンツの意思決定は「中国側に左右される」という可能性が大きくなってきています。

こういった事例もあり、「上場を選ばない」大企業も多く存在する、というワケですね。

筆頭株主に続き、メルセデス・ベンツ第三の株主も中国企業(北京汽車)に。このままだとメルセデスは中国企業に買収されそう

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