■そのほか自動車関連/ネタなど■

米最高裁がトランプ関税を「違法」と判決。自動車業界は関税に対応する方向にて動いていたものの今後どうなる

トヨタ

| 自動車メーカー含む産業界はトランプ政権の行動に振り回されっぱなしである |

今回の違憲判決によって状況が「さらに悪化」する可能性も

米国連邦最高裁判所が2026年2月20日、トランプ政権が「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づいて課していた広範な関税を「違法」とする歴史的な判決を下したとの報道(賛成6、反対3)。

この判決が、自動車メーカーや今後の新車価格にどのような影響を与えるのか、現在わかっている情報をもとに考察してみましょう。

この記事の要約

  • 違憲判決: 最高裁は大統領がIEEPA(緊急権限法)を乱用して一方的に関税を課すことは議会の権限侵害であり、違法であると判断
  • 限定的な救済: 今回の判決はIEEPAに基づく関税(対カナダ・メキシコのフェンタニル対策関税など)のみが対象。232条(安全保障)や301条(不公正貿易)による自動車関税は依然として有効
  • 巨大な還付金: 自動車業界だけで約86億ドル(約1.3兆円)の関税を支払っており、還付を巡る長期的な法廷闘争が予想される
  • トランプ氏の反撃: 判決直後、トランプ大統領は「別の法的根拠(122条など)」を用いて新たな10%のグローバル関税を課すと即座に表明

なぜ「違法」とされたのか? 判決のポイント

今回の「違法」の根拠につき、最高裁のジョン・ロバーツ長官は、「IEEPAは大統領に無限の関税賦課権を与えるものではない」と明示しています。

トランプ政権は、カナダやメキシコからの薬物流入などを「国家緊急事態」とし、IEEPAを根拠に「相互関税(Reciprocal Tariffs)」を課してきましたが、最高裁は、「関税を課す権限は憲法上、議会に帰属する」とし、議会の承認なしに行われたこれらの関税措置は法的根拠を欠くと結論づけたわけですね。

5


自動車メーカーへの影響:喜ぶのはまだ早い?

今回の判決は「勝利」ではありますが、実務上の影響は複雑で・・・。

継続される関税と撤廃される関税

関税の種類根拠法現在のステータス主な対象
IEEPA関税IEEPA法違法・撤廃へカナダ、メキシコ、中国等への緊急関税
自動車・部品関税232条継続(有効)日本、欧州、韓国等からの輸入車 (15〜25%)
中国製EV関税301条継続(有効)中国製車両および特定部品
鋼鉄・アルミ関税232条継続(有効)原材料としての金属

つまるところ、アメリカに入るクルマのうち、「日本、欧州、韓国からの車両」「中国からのEV」はそのまま関税継続、しかしカナダとメキシコ、中国からの(おそらくEV以外)関税は撤廃ということになりそうです(ただし対象となる範囲はわからない)。

そして今回関税が撤廃される地域からのクルマについて、すでに一定期間は「関税を反映した価格で」消費者が購入してしまっていて、つまりその期間に購入した消費者は「高い価格でクルマを買ってしまった」ということに。

15

約1.3兆円の「還付」を巡る混乱

自動車メーカーは2025年10月までに、今回違法とされた関税を累計で約86億ドル支払っており・・・。

  • 還付の可能性: 理論上は返還されるべきだが、政府側は「還付手続きには数年の訴訟が必要」との姿勢を崩していない
  • 価格への反映: すでに販売された車両のコストはメーカーが吸収、または価格転嫁済みのため、消費者に直接返金される可能性は極めて低い

主要メーカーの公式反応

判決を受け、各社は慎重な姿勢を見せています。

  • トヨタ: 「今回の判決は232条に基づく既存の関税には影響しない。引き続き米国内での雇用と投資を維持しつつ、顧客にとっての購入しやすさ(Affordability)を追求する」とコメント
  • フォード: 「最高裁の決定の影響を精査中。米国の自動車セクターの競争力を高める政策について、政府・議会と協力し続ける」と述べるにとどめる
  • ステランティス: 米国自動車政策会議(AAPC)を通じ、現時点での個別コメントを控えている状態
20


関税戦争の「第2ラウンド」の始まり

最高裁の判決は大統領の独走にブレーキをかけた状態となりましたが、しかしトランプ大統領は判決後すぐに記者会見を開き、1974年通商法122条(国際収支是正)など、別の法律を根拠にした「10%のグローバル・ベースライン関税」の導入を宣言済み(いつから導入されるのかはわからない)。

自動車業界にとっては、一つの不透明感が解消された直後に新たな「関税の壁」が立ちはだかる形となっていて、つまり「藪蛇」状態となっており、今回の「違憲」判決によってむしろ状況が悪化したと考えることも可能です。

参考:「セクション122(1974年通商法122条)」とは?

トランプ氏が次の一手として言及したこの条文は、米国の国際収支(貿易赤字など)が著しく悪化した場合、大統領が最大150日間、最大15%の関税を課すことを認めるもので、議会の承認なしに「一時的」に発動できるため、最高裁判決を回避する強力な武器として注目されています。

合わせて読みたい、関連投稿

中国車
【逆転の発想】フォードCEOがトランプ政権へ提言。「中国車の米国進出には米国主導の合弁を義務化すればいい」

| 正直、これは「かなりいい案」だとも考えられる | フォードがトランプ政権に対し、かつて中国が外資メーカーに強いた「合弁事業(ジョイントベンチャー)」の仕組みを、今度は米国で中国メーカーに課すよう異 ...

続きを見る

メルセデス・ベンツ
トランプ政権がメルセデス・ベンツに「本社をドイツからアメリカへと移転させるよう」優遇措置とともに公式に打診。ベンツがこれを拒絶した真相とは

| メルセデス・ベンツにとっても「魅力的な」オファーであったと思われるが | この記事のポイント 前代未聞の誘惑: トランプ政権がメルセデスに「米国への本社移転」を公式に打診。 破格の条件: ルトニッ ...

続きを見る

【炎上覚悟のパフォーマンス】AI生成を疑うレベル。豊田章男会長が「トランプ支持」ファッションでイベントに登場、自動車業界に衝撃が走る
【炎上覚悟のパフォーマンス】AI生成を疑うレベル。豊田章男会長が「トランプ支持」ファッションでイベントに登場、自動車業界に衝撃が走る

Image:@USAmbJapan(X) | さすがは豊田章男会長、やることが違う | 米国への「100億ドル投資」発表直後におこなわれた異例の行動の真意とは メディアやテクノロジー企業が「政治的な波 ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

-■そのほか自動車関連/ネタなど■
-, , , ,