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| まさか再び「直6」に脚光が当たる日が来ようとは |
特にマツダが「直6エンジン」をリリースしたことには驚かされたが
多くのメーカーが「V6」へと移行し、一時はBMWの専売特許のようにも思われていた「直列6気筒エンジン」。
しかし今、マツダ、メルセデス・ベンツ、ステランティスといった名だたるメーカーがこぞってこの形式を復活させています。
2026年現在、なぜ自動車業界は再び「直6」に魅せられているのか。その裏には、単なるノスタルジーではない、驚くほど合理的な理由があるようです。
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この記事のポイント(30秒でわかる要約)
- 完全バランス: V6には真似できない「振動ゼロ」の滑らかさと、官能的なサウンド
- モジュラー設計: 直列4気筒と部品を共有できるため、開発・生産コストを劇的に削減可能
- V8の代替: ターボ技術の進化により、燃費の悪いV8に代わる「500馬力超」の主力ユニットへ昇格
- ISGの恩恵: マイルドハイブリッド技術(ISG)で補機類を電動化した結果、直6最大の弱点だった「エンジンの長さ」を克服
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かつて「絶滅寸前」だった直6が、なぜ再び主役に?
1990年代から2000年代にかけ、多くのメーカーは直列6気筒を捨て、コンパクトなV6へと乗り換えています。
その理由は単純で、直6は「長すぎて衝突安全の確保が難しい」「フロントエンジン・前輪駆動(FWD)に積めない」という致命的な欠点があったから。
しかし数年前からその常識が覆されており、メルセデス・ベンツの「M256」、マツダの「CX-90/CX-70」に積まれる「e-SKYACTIV G 3.3」、そしてジープやダッジが採用する「ハリケーン」エンジンなど、市場は空前の「直6ブーム」に沸いている、というのが現在の状況です。
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直列6気筒 vs V6:徹底比較
なぜV6ではなく直列6気筒が「正解」とされるようになったのか。
まず、そのメカニズムの違いをまとめてみると以下の通りです。
| 比較項目 | 直列6気筒 (I6) | V型6気筒 (V6) |
| 振動の少なさ | 完璧(二次振動まで理論上ゼロ) | 振動あり(バランサーシャフトが必要) |
| 構造の複雑さ | シンプル(ヘッド・カムが1系統) | 複雑(ヘッド・カムが2系統必要) |
| 拡張性 | 高い(直3・直4と部品共有可能) | 低い(V8等と一部共有のみ) |
| ターボ配置 | スペースが広く、効率的に配置可能 | 狭いVバンク内に押し込む必要がある |
| 主な弱点 | エンジンが長く、衝突安全に工夫が必要 | 横置き(FF)には向くが、バランスが悪い |
Image:Mercedes-Benz
決定打となった「モジュラー設計」
そして直6復活の理由について考察してみると、現代のエンジン開発において最も重要なのは御存知の通り「共通化」。
直列6気筒は多くの車種で使われる「直列4気筒」に2気筒を付け足す形で再設計でき、ピストンやコンロッド、バルブ類を共通化できるため、メーカーにとってはV6を別に作るよりも遥かにコスト効率が優れるという現実があるわけですね。
最新技術「ISG」が直6の弱点を消し去った
直6の最大の課題だった「長さ」を解決したのは、意外にも「電動化」。
従来、エンジンの前方にはエアコンコンプレッサーやオルタネーターを回すための「ベルト」が必要で、それらを駆動するための補機類(プーリーなど)がエンジンの全長をさらに伸ばしていたという構造的事実も。
しかし、最新の直6はISG(統合スターター・ジェネレーター)を採用し、これらをすべて電動化。
ベルト類を廃止することで、エンジンの全長を大幅に短縮することに成功しており、これによってかつては不可能だった「直6を積みながら、高い衝突安全基準をクリアする」ことが可能となっています。
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代表的な「新世代・直6エンジン」たち
現在、注目を集めている主な直6ユニットたちは以下の通りですが、文字通り「次世代の主役」といった面々です。
- BMW「B58 / S58」: 直6の守護神。スープラにも搭載されるB58は「世界最高のエンジン」の一つと称される
- マツダ「e-SKYACTIV G 3.3」: 直6=高級セダンに積まれるものという常識を覆し、圧倒的な滑らかさをSUVにもたらした
- ステランティス「Hurricane」: ダッジ・チャージャー等に搭載。V8「HEMI」に代わる、500馬力オーバーの怪力ユニット
- メルセデス「M256」: 電動スーパーチャージャーとISGを組み合わせ、V8に匹敵するレスポンスを実現
Image:BMW
結論:EV移行期における「最後の贅沢」
メーカーが多額の投資をして直6を復活させているのは、EVへの完全移行にはまだ時間がかかると判断したから。
その「繋ぎ」の期間、ユーザーが求める「プレミアムな質感(振動のなさ)」と「V8級のパワー」、そして「厳しい環境規制」のすべてを満たせる唯一の解が直列6気筒だったということになりますが、あと暫くの間、ぼくらにはこれらを楽しむ猶予が残されています。
Image:Mercedes-Benz
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参照:CARBUZZ

















