| 同じ自動車メーカー、そして似た価格帯のクルマを売っているのにここまで差が出るとは |
日刊自動車新聞によると、日本の自動車メーカーの「新車販売一台あたり」利益が大きく減っている、とのこと。
これによると、2019年第1四半期の営業利益について、なんと日産は「一台売って1,300円の利益しかない」。
ちなみに前年同期は83,282円だったそうなので文字通り「大きく減少」していることになりますが、その理由としては研究開発費の増加だと報じています。
日産はこれまで、販売台数を稼ぐためにインセンティブを引き上げた大幅値引きを行ったり、大口(フリート)販売を強化してきたものの、こういった不健全と指摘された販売方法からはすでに脱却しつつある、とも記事では紹介。
かつて日産は「新車開発を行っておらず、自動車メーカーとして本来行うべきことをやってない」とも指摘されていて、しかしこれについても姿勢を改めたと見え、それが今回レポートされている「研究開発投資が増えて利益率が大幅悪化」というところにつながったようですね。
これまでの日産は「新車を出さず、同じクルマを延々と、割引を提示することで割安感を押し出して売っていた」ということになり、これでは将来が暗くなるのは間違いないところ。
なお、これはカルロス・ゴーン氏の方針だったわけですが、日産はカルロス・ゴーン氏逮捕以降に大きく方向を転換したと考えてよく、そこから「ニューモデルに力を入れ始めた」とも考えられます。※登場時期を考えると、逮捕以前に着手していたものも多い
やはり自動車メーカーが業績を伸ばすには「消費者が欲しいと思う魅力的な商品作り」が必要で、それを怠って目先の利益を追求したり、クルマを「消耗品」「事務用品」と同じような扱いをすべきではないと考えていますが、やっとこさ日産はそれに気づいたのかもしれません(というか、社内ではそういった機運があったものの、カルロス・ゴーン氏がそれを抑えつけていたか)。
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三菱、マツダも利益を大きく下げる
そして営業利益が下がったのは日産だけではなく、日産傘下の三菱も同様で、こちらは96,233円から13,087円へダウン。
販売台数は増えたものの、やはり将来に対する研究開発費の負担が大きいと報じられています。
そしてマツダは(スバルに倣い)インセンティブを抑えていながらも日本、米国、中国での販売が想定台数を下回って経費の割合が高くなって81,141円から19,830円へ。
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ホンダについては昨年の116,169円から91,067円へと低下し、これは今まで高い収益性を誇った米国やインドでの販売が落ち込んだこと、問題視されていた品質関連の経費が増加したことが影響。
スズキについては126,914円から73,984円へとダウンしていますが、これも「スズキにとってのドル箱」インド市場の落ち込みが響いたうえ、完成検査問題対応う費用、販売台数の減少が直撃することに。
一方、トヨタとスバルは前年を上回る
そして逆に前年よりも調子が良かったのがトヨタとスバル。
スバルについては前年の257,676円から350,576円に上昇していますが、これは前年、今年ともに驚くべきレベルにあり、もちろん日系自動車メーカーでは「トップ」。
以前から報じられている通り米国での販売が好調であり、インセンティブも抑えているので経費がかかっていないからだと報じられています。
なお、スバルはミニバンやコンパクトカーという「売れ筋だが競争もきつい」セグメントから撤退して我が道を進むラインアップを持ちますが、それが奏功したとも考えられます。
加えてスバルはエレクトリック分野など先端技術については「お金をかけて自社で開発することをせず、他社が開発した技術を分けてもらう」という割り切りも見せていて、これもまた経営戦略がうまくいった部分なのでしょうね。
トヨタは昨年比13,000円プラスの273,865円となり、こちらも高水準をキープしていますが、研究開発費削減が貢献した、とのこと。
なお、トヨタは社内、そして社外においても効率化を重視しており、GRスープラを見ても分かる通り、「自社より他社が得意なことは他社に委託する」という方針を採用しています(社内でも競業を禁止したり、グループ内でも”同じことを違うところで”しないようにした)。
ただ、一部では下請けいじめの声も聞かれ、実際にトヨタ系列企業は軒並み減益との報道もあるものの、まず「トヨタについてゆけば間違いない」のが現在の自動車業界なのかもしれません。
参考までに、車両本体価格の相違はあれど海外の自動車メーカーの「一台あたり利益」はこんな感じ。
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VIA:日刊自動車新聞