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新型GT-R、日産自身も「どうなるか分からない」。パワートレーンも発売時期も未定のまま―幹部が語る“曖昧な現状”とは

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| 日産GT-Rの未来は依然として不透明 |

そもそも日産が存続できるかどうかも不透明である

世界的なEV需要の変動、貿易障壁、中国勢の台頭など、多くの自動車メーカーが厳しい状況に直面していますが、日産はそれ以上に財務的な難しさを抱えている、という状況。

そんな中、長年ブランドの象徴であり続けるGT-Rの次世代モデルについても、「いまだ方向性が固まっていないようだ」、と報じられています。

Nissan-Hyper-Force-Concept (7)

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日産GT-R
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優先すべきは“生き残り”。GT-Rは急いで決める車ではない

まず英Autocarのインタビューに応じた日産のチーフ・パフォーマンス・オフィサー、ギヨーム・カルティエ氏は、次期GT-Rについて以下のようにコメント。

「我々はさまざまなルートを検討している」

パワートレーンなのか、車両のキャラクターなのか、さらには市場での位置づけなのか――。

どの領域を指しているのかすら曖昧なほど、次期GT-Rの開発は右往左往しているのだとも考えられますが、カルティエ氏は、GT-Rは“ニッチかつ低ボリューム”のモデルであるため、決断を急ぐ必要はないとも語っています。

日産
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実際のところ、日産にとって最優先すべきは「まず主力モデルの立て直し」。

GT-Rも日産にとって重要なクルマであることは間違いなく、しかし「利益よりブランド価値をつくるクルマ」は今の状況だと後回しにされても不思議ではなく、とはいえ、ここ数年の幹部の発言から考えると、次期GT-Rが完全に白紙というわけではなさそうです

日産
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Nissan-Hyper-Force-Concept (4)

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■ 新型GT-Rは「登場する」。しかもハイブリッドの可能性濃厚

ブランド新CEOのイヴァン・エスピノーサ氏は数ヶ月前、

「GT-Rは開発中」

と明言済み。

さらに北米日産の副社長でプロダクト担当のポンズ・パンディクチラ氏も、

「2030年までに登場する」
「パワートレーンはターボV6+何らかのハイブリッド」

と示唆しています。

ただし、その“ハイブリッド”がマイルドHVなのか、プラグインハイbリッドなのかは検討中だとされ、その理由は明確で、

「現状のEV技術では、GT-Rが求める長時間の高負荷走行に耐えられない」

というものです。

加えて、欧州の「2035年ガソリン車販売禁止」の行方が不透明であること、(後述の)全固体電池(ソリッドステートバッテリー)の実用化についても確定的ではないという事情も絡んでいるのかもしれません。

Nissan-Hyper-Force-Concept (2)

Image:NISSAN

■ 全固体電池は使われるのか?

数年前、日産は以下の理由から全固体電池が次期GT-Rに搭載する可能性を示唆しており・・・。

  • エネルギー密度が高い
  • バッテリーを小型・軽量化できる
  • スーパーカーに最適

さらに2028年に全固体電池採用のEVを発売すると日産は述べており、GT-Rがハイブリッド化されたとしても、その補助電源として全固体電池が使われる可能性が残ります(ただ、全固体電池には、”技術”以外にも”コスト”という課題が残る)。

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■ ハイパーフォースのようなEV化は遠のいた?

昨年公開されたHyper Force(ハイパーフォース)コンセプトは、完全に電動化されたGT-R像として大きな話題となりましたが、現状ではフルEV版GT-Rは優先度が低いと見られおり、その「ハードル」となっているのは以下の要素だとも。

  • EV技術の成熟待ち
  • コストの高さ
  • スーパーカー特有の連続高負荷走行への対応
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日産上層部が「2030年までに、新型R36 GT-Rは全固体電池を搭載し、ハイパーフォースコンセプトの進化版として登場する」可能性を示唆
日産上層部が「2030年までに、新型R36 GT-Rは全固体電池を搭載し、ハイパーフォースコンセプトの進化版として登場する」可能性を示唆

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まとめ:GT-Rの未来は揺れているが、消えたわけではない

現状をまとめると――

  • 次期GT-Rは開発中だが方向性が定まっていない
  • ハイブリッド化(V6+電動化)が最有力
  • 登場は2030年頃が濃厚
  • 全固体電池技術が鍵を握る可能性あり
  • フルEV化は当面先送りされる見通し
Nissan-Hyper-Force-Concept (3)

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「R36」がどんな姿になるかはまだ霧の中ですが、日産の象徴である限り、この名が簡単には消えることはないとも考えられ、とくに現在の日産は「ヘリテージ」を重視しているところから見ても、「過去の資産が未来を作る」と認識しているのは間違いなさそう。

GT-Rはなぜ「ゴジラ」と呼ばれるようになったのか?「1990年のレースでの圧倒的な支配力」に端を発し、R35によって世界に広められて現在に至る
GT-Rはなぜ「ゴジラ」と呼ばれるようになったのか?「1990年のレースでの圧倒的な支配力」に端を発し、R35によって世界に広められて現在に至る

| その例を見ない破壊力はまさに「ゴジラ」と呼ぶにふさわしい | 最初にGT-Rを「ゴジラ」と呼んだカーメディアには敬意を表したい さて、近代の日産GT-Rは「ゴジラ」なるニックネームで呼ばれることで ...

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となると「GT-R」という日産最大のヘリテージをここで捨ててしまうことは考えにくく、よって過去を活用しつつも今後の日産を示す存在、そして「未来へと続く道」としてどこかのタイミングで”必ず”GT-Rが登場するものと思われます。

日産R35 GT-R
次期日産GT-Rはどんなクルマに?GT-Rはいつの世もスポーツカー界にパラダイムシフトを起こさせてきた存在であり、次期モデルもそうあるべきだと思う

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Nissan-Hyper-Force-Concept (5)

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ただ、「既存技術を組み合わせて」想像の範囲内にとどまるスポーツカーをして「GT-R」だと言われてもぼくらとしては困惑するばかりであり、登場がたとえ先になったとしても、R32 GT-RやR35 GT-Rのように「圧倒的なパフォーマンスによる支配力」を見せつける存在として、想像を超えるテクノロジーとコンセプトをもって世に送り出して欲しい、と願わんばかりです。

日産が次期GT-Rについて語る。「何かが変わっても、本質はGT-Rであることに変わりはない」。なお現行GT-Rには歴代モデルを意識した特別仕様が追加されるもよう
日産が次期GT-Rについて語る。「何かが変わっても、本質がGT-Rであることは変わらない」。なお現行GT-Rには歴代モデルを意識した特別仕様が追加されるもよう

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NIssan (1)

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日産上級役員が次期GT-R(R36)についてコメント。「ええ、新しいGT-Rにはゴジラ的要素が盛り込まれます。GT-Rは美しさのコンテストで勝つための車ではありません」
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参照:Autocar

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