
| ランボルギーニが打ち立てた最新のデザインマニフェスト「フェノーメノ」 |
ランボルギーニの未来を示す存在として生を受ける
さて、ランボルギーニは「少量生産モデル」としてフェノーメノを発表していますが、このフェノーメノは同社のデザインディレクター、ミッチャ・ボルカート氏が加入した後、同氏が一からデザインを行った「初の」限定シリーズです(アヴェンタドール、ウラカンは前任者の作品)。
そして今回、そのミッチャ・ボルカート氏自らが「この特別なモデルに込められた哲学と、ランボルギーニの未来を左右する革新的なディテール」を解説する動画が公開されており、これを見るに「この一台は、単なる新しいスーパーカーではなく、伝説のDNAを受け継ぎながら、デザインとパフォーマンスを最高レベルで融合させた走る芸術品」であることがわかります。
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ランボルギーニのデザインDNA:遠くから認識できる「宇宙船」のようなシルエット
まずミッチャ・ボルカート氏は、サンタアガタ・ボロニェーゼにあるランボルギーニのデザインセンターが20周年を迎える中で、フェノーメノが彼らにとっての「マニフェスト(宣言)」であるとコメント [00:23]。
ランボルギーニのデザインには遠くからでも一目で認識できる「揺るぎないDNA」が存在し、彼はこのフェノーメノを「紛れもないランボルギーニのDNA継承者である」とも。
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1. 唯一無二の「彫刻」とシルエット
ランボルギーニのクルマにおける最大の特徴は側面のプロファイルを見ただけでそれとわかる「彫刻的(Sculpture)造形」で、それを再現するためのシルエットが最も重要であると [00:32]語り、さらに彼らのクルマは「常に宇宙船(spaceship)」のように見える必要がある」[00:46]。※同氏はかねてより「我々がデザインするのは宇宙船である」とも述べている
2. 傾斜したサイドウィンドウ
さらに同氏は「リアビューやフロントビューから見たときに、サイドウィンドウの強い傾斜(インクリネーション)があること。これらは、ランボルギーニデザインの最も重要な要素であり、原則です」 [00:51]と述べていますが、ランボルギーニでは”サイドウインドウとボディの比率”が厳密に定められている、と前任のデザイナーも語っていますね。
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フェノーメノを形作る革新的なディテール
フェノーメノはこれらのコアなDNAを受け継ぎながら、パフォーマンスとデザインを緻密に統合した存在であり、ランボルギーニの「闘牛(Fighting Bull)」精神は以下のようなパートにて細部に宿りつつも”視覚化”されることに。
1. 獰猛な挑戦者:「シャークノーズ」とY字形DRL
ランボルギーニのデザインは、常に「シャークノーズ(Shark Nose)」から始まるとボルカート氏は言います [01:06]。
- シャークノーズの加速感: フロントの造形には大きな加速感が表現 [01:12]。
- デザインとパフォーマンスの融合: フロントでは揚力(リフト)を減らすためにエアインテークが組み込まれており、デザインと性能とが直結 [01:19]。
- Y字形のホーン: DRL(デイタイム・ランニング・ライト)にはランボルギーニのアイデンティティともいえるY字形が採用 [01:32]。フェノーメノのそれは、「闘牛の角(horns of our fighting bull)」のように見え、3次元的な形状となっている [01:39]。
- 幅の強調: フロント全体は車幅を強調するようにデザインされており、圧倒的な存在感を放つ [01:50]。
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2. 鍛え上げられたアスリートの肉体:サイドとホイール
フェノーメノのサイドデザインは、まるでジムから出てきた「アスリート(athlete)」の肉体を思わせる形状を使用しており [02:10], [03:34]、それは以下のように顕著に現れています。
- 「スピーディ・ヘキサゴン」ホイール: フロントには21インチ、リアには22インチのホイールを装着し、停止状態でも躍動感を感じさせる「スピーディ・ヘキサゴン」と呼ばれる六角形パターンを採用 [02:24], [03:41]
- エアアウトレット: フロントブレーキによって発生した熱気を逃がすためのブレード(翼)状エアアウトレットなど、機能パーツも車体デザインのいち部として統合される [02:32]。
- Y字形NACAダクト: カウンタック以来の伝統であるNACAエアインテークがフェノーメノではボディサイドにY字形の流れとして表現 [02:57]。下側のテクニカルな部分がカーボンファイバーで構成され、スピード感を強調している [03:07]。
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3. 圧倒的な存在感:ロングテールとV12
そしてランボルギーニを最も美しく見せるのは”常にリアビュー” [03:57]。
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- ロングテール: フェノーメノは、通常よりもわずかに長い「ロングテール(long tail)」リアエンドを採用し、過去のレーシングカーを思わせるシャープなカットオフが特徴的 [04:02]。
- リアの垂直Y字形: フロント同様、リアにも垂直なY字形のライトが配置され、フェノーメノのリアビューに大きな主張を与える [04:21]。
- パフォーマンス統合: 六角形のエキゾーストパイプ、必要な時に飛び出す格納式リアウィング、そして車幅を強調するドラマチックな大型ディフューザーが統合 [04:33]。
- V12エンジンの露出: エンジンエリアには、モーターサイクルからインスピレーションを得た構造があり、V12パワートレインを望むことが可能 [04:55]。これにより、ランボルギーニの心臓部を誇示することに [05:01]。
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伝説の系譜:フェノメノが受け継ぐ「闘牛の血統」
フェノーメノは単発のモデルとして存在するのではなく、ランボルギーニの輝かしい血統、すなわち「DNAライン」を継承した「過去と未来のランボルギーニをつなぐ存在」でもあり、ミッチャ・ボルカート氏は、ヴェネーノ(Veneno)、カウンタック(Countach)、チェンテナリオ(Centenario)、そしてレヴェントン(Reventón)といった伝説的なクルマたちの「驚くべきライン(incredible lines)」をフェノーメノが継承していると断言しています [05:46]。
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つまりフェノーメノはランボルギーニのクルマに脈々と受け継がれるDNAのみならず、これらのアイコニックなモデルたちが持つ際立ったデザイン要素、そして見る者に衝撃を与えるドラマチックな要素を確実に受け継ぐ存在というわけですね。
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- アクティブエアロの重要性: 格納式リアウィングやディフューザーといった可動式のエアロパーツは走行状況に応じて自動で最適化され、安定性とダウンフォースを両立させる。今回のフェノーメノのディテール解説は、現代のハイパーカー開発において、デザイナーとエンジニアがいかに密接に協力しているかを示している。
- V12への情熱: 電動化が進む現代においても、V12エンジンを「露出」させるデザインは、ランボルギーニがエンジンに対する根源的な情熱と、その伝統を大切にしていることの表れでもある。この「音と形」へのこだわりこそが、エンスージアストの共感を呼ぶ真骨頂である。
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まとめ
ランボルギーニ・フェノーメノは、デザインディレクターの情熱とブランドの伝説的なDNAが結晶となった、まさに「未来のスーパーカー(あるいはハイパーカー)」の姿。
シャークノーズからV12を覗かせるリアエンドに至るまで、そのすべてがぼくらの心を熱くさせ、さらに「遠くから認識できる」デザイン原則を守りつつも次世代のパフォーマンスを統合したフェノーメノは、今までのランボルギーニ同様、世界のスーパーカーシーンを牽引していくこととなりそうです。
そしておそらく、一部のディティールは「限定車専用」としての排他性が守られ、またある一方では「通常の市販モデル」へと採用されることになるのだと考えてよく、今後のランボルギーニの展開にはますます期待がかかりますね。
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参照:Lamborghini





















