| マニュアル・トランスミッションはすでに欧州向けとしては用意されていたが |
ポルシェはすでに欧州向けとして「911カレラS」と「911カレラ4S」とにマニュアル・トランスミッションを追加することを発表していますが、今回は北米市場向けの911カレラS、カレラ4SにもMTを設定する、と発表。
加えていくつかのオプションそしてオプションパッケージを設定しています。
現行(992)世代のポルシェ911においては「PDKが標準」となっていて、つまりマニュアル・トランスミッションは「オプション扱い」。
そしてMTを選んでもなぜか価格が下がらず(これまでのポルシェ911はMTが標準で、PDKを選ぶと価格が70万円くらい高くなった)、しかしポルシェは「なぜ価格が下がらないんだッ!」という声を予想しているのか、MTを選んだ場合、本来(PDKには)有償オプションとなるスポーツクロノパッケージをタダでつける、としています。
このスポーツクロノパッケージにはダイナミックドライブトレーンマウント、PSMスポーツモード、レブマッチ、ステアリングホイール上のモードスイッチが含まれ(ポルシェの場合、このスポーツクロノパッケージの有無で売却価格が大きく変わるため、必須オプションの一つでもある)、しかもMTモデルには機械式LSD、ポルシェ・トルクベクタリング(PTV)が装備されるとアナウンスされており、PDKモデルの「電制デフ」に代わって「機械式デフ」が装備されるあたり、ポルシェは「MTを選ぶ人の心理をよくわかっている」と考えて良さそう。
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マニュアル・トランスミッションのほうが加速は遅い
なお、ポルシェによれば、マニュアル・トランスミッションを選ぶと(北米仕様の場合)45kgほど軽くなると述べていますが、欧州仕様だと「-20kg」だと紹介されているので、同じマニュアル・トランスミッションであっても欧州と北米では装備に差異があるのかもしれません。
ちなみにマニュアル・トランスミッションを選んだ場合、シフトチェンジにかかる時間が加算されるため、0-100km/h加速はPDK比で+0.5秒。
PDK版の911カレラS(スポーツクロノ装着)の0-100km/h加速が4.0秒なので、MT版はこれが4.5秒ということになりますね。
加えて最高速につき、PDKでは308km/hであるの対しMTでは305km/hにダウンしますが、これはPDKが8速、MTは7速ということが関係していそう(もちろん加速もこの影響を受ける)。
しかしながらスポーツクロノパッケージの無償化、機械式LSD装備やレブマッチ機能を考えると、「MTを選ぶ意義」は大きそうです。
そのほかはこんなオプションも追加された
そして今回追加されたオプションとしては「InnoDrive」があり、これはGPSデータを使用し、加速や減速すべきポイントを計算するもの。
これは以前にポルシェが「人間が運転すると、カーブの侵入が速すぎたり、遅すぎたりして事故や渋滞招く」という理由から、速度制御を車両に任せたほうがいいとして研究を進めていたデバイスを実装しいたものと思われます(実際にどう作動するのかは不明。追って解説動画が公開されると思われる)。
さらに「スマートリフト」も用意され、これもGPSデータを利用し、「段差がある」と車両が判断した際には自動でフロントリフターが作動して車高を上げてくれるもの(あらかじめ、自身でそのポイントを登録する必要がある)。
インテリア関連だと「930レザーパッケージ」が追加されていて、これはすでに新型911ターボSには標準にて装備される”930ターボっぽいドアインナーパネル”を再現するオプション(前後シートも930ターボっぽいステッチが入る。ポルシェ・エクスクルーシブ・マヌファアクトゥア扱い)。
930ターボは「初代」911ターボでもあり、ポルシェはこれに対し敬意を払ったということになりますね。
ちなみに下の画像がその「930ターボのドアインナーパネル」。
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さらには「4キロ軽くなる」軽量ガラス(ノイズ吸収機能もある)、7色のカラー変更が可能なアンビアントライトデザインパッケージ、911GT2RSにも採用されていたパイソン・グリーンが選択できるようになった、とのこと。
ポルシェはモデルイヤーごとにボディカラーや装備、オプションの変更を行うのが常ですが、これらは「モデルイヤー2021(おおよそ8月以降の生産)」として適用されると考えられます。
選択肢が増えるのは非常にありがたい一方、これでまた「車両購入金額が上がってしまう」という悩みも出てきそうですね。