| 今後、各自動車メーカーがEVの設計に慣れ、そのポテンシャルを最大限に引き出せるようになれば自動車の安全性は大きく変わることになりそうだ |
さて、そのクルマの運動性能と安全性を推し量る手段として有用だとされるのがムーステスト(エルクテスト)。
これは一定以上の速度域にて「道路に回避してきたシカを避ける」ことを想定し、いったん避けてからもとの車線に戻ることを意図的に再現した状況を作った上で、そのコースを走るというもの(避けっぱなしだと対向車に衝突したり崖下に転落するため、”戻る”ことが重要)。
これまでにもテスラ・モデル3やスズキ・ジムニー、トヨタGRスープラ/RAV4など様々な車種のテストが公開されています。
ポルシェ・タイカン・ターボSの運動性能はずば抜けていた
そして今回公開されたのはポルシェ・タイカン・ターボSのエルクテスト動画。
まずはパイロンを並べ、これを様々な速度域にて走ってゆきます。
まずは時速76キロ。
いくつかパイロンを踏むものの、挙動や回避性能には問題なし。
なお、パイロンの配置(間隔)はコンパクトカーであっても、タイカンのような大きなクルマ(全長4,966ミリ、全幅1,966ミリ)であっても変わらないようで、であればタイカンにとって多少不利なのは否定できないかも。
そして時速77キロでも問題なし。
時速78キロでもOK。
そして何度かの失敗はあるものの、時速80キロでもクリアといっていい挙動を見せています。
なお、ドライブモードを「スポーツ+」に入れることでより足回りがスポーツ走行向けとなり、高い回避性能を示すようですね。
ほかにはこんなエルクテスト結果も公開されている
これまでにも様々なエルクテスト動画が公開されているものの、ここまで安定した挙動を見せる例は珍しく、たとえばトヨタGRスープラは比較的早い段階から破綻を見せています。
マツダ・ロードスターは時速75キロがギリギリ。
さすがにメルセデスAMG GTは時速81キロでも「ほぼ」クリア。
ポルシェ911(992)は時速80キロをなんとかクリア。
挙動をみていると、タイカンのほうが安定しているようにも見えます。
そして驚かされるのがテスラ・モデル3であり、時速83キロだとパイロンにノータッチでクリア、時速86キロでもパイロンに触れながらもクリアしています(さすがに90キロではクリアできないが、最初の回避、その後に車線に戻れずも挙動を安定させている)。
そしてこちらが今回のポルシェ・タイカン・ターボSのエルクテスト。
結果だけを見れば「EVのほうが高い回避性能を誇る」ということになりますが、これはガソリンエンジンに比較して積極的なトルクベクタリングが可能であるということ(ガソリンエンジン車はエンジン回転数が上がっていなければ配分すべきトルクが発生しないが、エレクトリックモーターは回転数にかかわらず瞬時に最大トルクを配分できる)、そしてバッテリーを車体下部に敷き詰めるというEVならではのスケートボード構造に由来するものだとも考えられます。
参照:km77.com