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【動画】諸事情にて「わずか4ヶ月で」完成させる必要があったマセラティMC12。デザイナーがどうやってそれを達成し、レースで勝てるようにしたのかを語る

マセラティMC12

| クルマは機能製品であり、デザインを優先して作ることはできない |

どうりでフランク・ステファンソンは「現代でもっとも優れるカーデザイナーの一人」と言われるわけだ

さて、ここ最近Youtube上で大人気のフランク・ステファンソン。

ピニンファリーナやBMW、マクラーレンなどに在籍し、ピニンファリーナ在籍時には数々のフェラーリをデザインしたことでも知られます。

ただ、同氏最大の業績として語られるのはフェラーリでもマクラーレンでもなくマセラティMC12だという見方が多く、今回そのマセラティMC12が「どうやってデザインされたのか」ということを語る動画が公開されています。

マセラティMC12はこんなクルマ

当時マセラティはエンツォフェラーリをベースにしたFIA GT選手権用のレーシングカーを製作する計画があったそうですが、急遽事情を転換して「使用するのはフェラーリのコンポーネント」にとどめることになり、それでもGT選手権に参加するという目的は変わることがなく、そのため「4ヶ月で」あらたにクルマを設計・デザインして作らねばならないという事態を迎えた、と言われます。

なお、レーシングカーとロードカーのMC12を同時に開発するという他に類を見ない手法を採用し、そのため多忙を極めたことは想像に難くなく、しかしフランク・ステファンソンはその作業を見事にこなしたということになりますね。

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エンジンとシャシーはエンツォフェラーリと共通ではあるものの、マセラティMC12のホイールベースやトレッド(トラック)はエンツォフェラーリよりも大きく、ボディサイズは全長5,143ミリ、全幅2,096ミリ、全高1,205ミリ。

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ただし開発が終了した後にも災難が続くことになり、MC12が参加していたGT選手権が途中でレギュレーションを変更することになってしまい、これによって「全長は5メートル以下であるべし」と決められることになってしまいます。

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そのため最初の25台は「5メートル15」の全長で生産されたものの、その後は「5メートル下」に全長が切り詰められ、ロードバージョンのMC12も「ホモロゲーション取得用」という性質を持っていたために15センチ短縮されることに。

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そしてフランク・ステファンソンは15センチ削るのにリアではなくフロントを削ったといい、「そのため少しデザイン的に無理が生じた」。

ただしリアをそのままにしておいたのは、高速走行時の安定など「性能を重視して」のことだったのだと考えられ、開発の目的がレースに参加することであったため、見た目を優先できなかったのかもしれません。

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なお、フランク・ステファンソン氏がこのマセラティMC12でもっとも特徴的だと考えているのは「ボンネット上のストレーキ(ダクトの上にある片側2本のスラット)」。

これについては、(おそらくフロントのラジエターから熱を抜くため)ボンネット上に穴をあける必要があったものの、レーシングカーならともなく、市販モデルでは「法規上、一定以上の大きさのダクトを持つ場合、その穴を塞がないと登録できない」ため、ダクトの上にスラットを追加することに。

そしてそれがそのままレーシングバージョンにも(この部分を変更してはいけないという規則があったのだと思われる)受け継がれたようですね。

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ただ、そういった努力の甲斐もあってマセラティMC12は2004年のGT1クラスのデビュー戦で2位と3位を飾り、その後94戦中40戦で優勝するという圧倒的な強さを見せ、結果的に6つのチームチャンピオン、2つのコンストラクターズチャンピオン、6つのドライバーズチャンピオンを獲得しています。

つまりフランク・ステファンソン氏は「美しい」クルマをデザインしただけではなく、実際に「速く走って勝てる」クルマをデザインしたということになり、これが「MC12こそがフランク・ステファンソン氏の代表作」と言われる所以なのかもしれません。

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フランク・ステファンソン氏がマクラーレンMC12のデザインにおける苦労を語る動画はこちら

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参照:Kidd in a Sweet Shop

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