| このクルマの説明をするとき、いつもどこから入っていいのか迷ってしまう |
とにかくこのMG SV Xパワーはツッコミどころ満載
さて、英国の名門、MGがかつて販売していたスーパーカー、 「MG SV-R Xパワー」が競売に登場予定。
このクルマはMGがイタリアのハイパフォーマンスカーメーカー、Qvale(クヴェール)を買収した後に発売したクルマであり、ベースとなるのはクヴェールの製造していた「マングスタ」。1967−1971年の間に販売されていたデ・トマソ・マングスタの後継モデルとして企画されたが、デ・トマソと揉めてクヴェール名義で発売された
ちなみにこのクヴェールは2000年にアメリカのビジネスマン、ブルース・クヴェールによって設立されており、2001年に(デ・トマソ・ビグアをベースにした)マングスタを発売したのみで、その後2003年にMGに買い取られています。
かかわったのは錚々たるスタッフだったが
なお、デ・トマソ・ビグアのデザイナーはランボルギーニ・カウンタックを手掛けたマルチェロ・ガンディーニ、そしてそれをデザインしたのはマクラーレンF1の外装をデザインしたピーター・スティーブンス。
そう考えるとなぜこんなルックスになってしまったのか不思議で仕方がないのですが、とにかく手が込んでいたクルマであったのは間違いなく、ボディパネルはカーボンファイバー製で、いったんイギリスで製造された後にイタリアに運ばれて車両に組み付けられ、またイギリスに戻って仕上げを行うという工程を経ています。
ベースモデルのMG SV Xパワーにはフォード・マスタングのプッシュロッドV8エンジン(324馬力)を搭載しており、上位モデルのMG SV-R Xパワーには(フォードのチューナーとして名高い)ルーシュがチューニングした32バルブ、385ps(390PS)版のV8エンジンが積まれています。
そのため価格が非常に高額になってしまい、販売価格はポルシェ911と同じくらいになってしまったといいますが、そのために殆ど売れず、製造されたのはMG SV Xパワーが40台、MG SV-R Xパワーが42台のみ。
なお、このクルマが売れなかったからというわけではないと思いますが、MGはクヴェールを買収したわずか3年後の2005年に倒産することに(その後中国企業に買われる)。
MG SV-R Xパワーの細部は意外とよく出来ていた
なお、このMG SV Xパワーは「イタリアの自動車メーカー」が手掛けただけあって細部にまでこだわった作りを持っており、テールパイプもかなり凝った造形を持っています(テールランプ類も同様)。
サイドのルーバーはネイキッドカーボン。
ルーバーにウインカーが取り付けられているあたりはかなり秀逸。
ブレーキキャリパーはブレンボ製。
MG SV-R Xパワーのインテリアはこうなっている
そしてこちらはMG SV-R Xパワーのインテリア。
ワインレッドとブラックのレザーで覆われ、パッドがたっぷり使用されてパンパンに張っているところは「イタリアン」。
シートベルトはなんと標準でハーネス。
リアシートはなく、ハーネスがしっかりと車体に固定されています。
エキゾチックなスイッチ類の配置も「イタリアン」。
スピードメーターは「絶対に出ない」であろう350キロスケール。
なお、クロックともども、文字盤は英国っぽいグリーンです。
このMG SV-R Xパワーの走行距離はわずか4,000キロにとどまっており、しかしちゃんと走らせるにはいくつかの修理が必要なのだそう。
この個体はボナムズ主催のオークションへと出品されますが、なんと最高で3200万円ほどで落札されると予想されています(当時不人気で台数が出ず、しかし後に希少価値が出て値が上がる例は珍しくない)。
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参照: AROnline