| そのリアビューは時を越えて「完全一致」レベル |
フロントホイールのデザイン、そのほか車体各部にもオマージュが見受けられる
さて、2019年にみごと復活を遂げニューモデルを発表した「イスパノ・スイザ(Hispano Suiza)」。
正直かなりややこしい歴史を持つ自動車メーカーなのですが、ここで簡単に説明してみると、1898年に「ラ・クアドラ(創業者の名前がエミリオ・デ・ラ・クアドラ)」として創業され、1902年には電気自動車専門メーカーとして再出発し、イスパノ・スイザ(このときの正式名称は「ファブリカ・イスパノ・スイザ・デ・オートモービル」)へと社名変更。※イスパノ・スイザというのは「スイスのスペイン人」という意味
なお、このイスパノ・スイザは創業の翌年である1903年に倒産してしまいますが、社名をちょっとだけ変更し「ラ・イスパノ・スイザ・ファブリカ・デ・オートモービル」として仕切り直しています。
その後は順調に高級車の生産、そして軍需によって航空機用エンジンの製造で確固たる地位を築き、1963年にはなんとブガッティを買収したことも。
ただし戦後の混乱や、ジェットエンジン製造ができず時代に対応できなかったことから会社は衰退し、その後サフラングループへとブガッティともども吸収されることとなっていますが、(一緒に吸収された)ブガッティは「メッサー・ブガッティ」として、現在もサフラングループ内にて航空機用パーツの生産を行っていますね。※現在、シロンなどを発売しているオトモビル・ブガッティは商標権を譲り受けて新しく設立された会社であり、創業当初のブガッティとは資本的・人的な関連性はない
イスパノ・スイザを復活させたのは創業者の孫
そして2019年に新型車「カルメン」を発表してイスパノ・スイザを復活させたのは、なんと創業者のひ孫であるミゲル・スクエ・マテュー氏(商標権などの関係をどうサフラングループと調整したのかはわからない)。
この「カルメン」は1902年のイスパノ・スイザの思想を引き継いだのか「ピュアエレクトリックカー」で、そのレトロな外観からは想像でできない1,000馬力超を発生(2モーターレイアウト)。
0-100km/h加速は3秒以内、最高速は(電気的にリミッターにて制御される)250km/hという第一級のスペックを持っています。
今回は1938年製「ゼニア・デュボネ」と初めて並ぶ
そしてこのカルメンは、イスパノ・スイザが1938年に発売したゼニア・デュボネからインスピレーションを受けており、それは誰の目にも明らかかと思います(むしろ似すぎていて、どちらが現代のクルマなのかわからないほど)。
この両者が展示されたのはパリ北部のシャンティリーにて開催された「アーツ・エ・レガンス」なるイベントだそうで、実はカルメンゼニア・デュボネとが並ぶのは今回が初めてなのだそう。
こうやって見ると両者は見れば見るほどよく似ていて、イスパノ・スイザのデザインディレクター、フラセスク・アレナス氏によれば「カルメンをデザインしたとき、私たちは私たちのDNAを捉え、ブランドのルーツとつながることを強く意識しています。そして私たちがそれを達成したことはいま、確信に変わりました。ホイールアーチや車体後部、ベルトラインを見ればそれは明らかです」。
なお、このゼニア・デュボネは、イスパノ・スイザが当時制作したワンオフモデルで、イスパノ・スイザH6Bのシャシーをベースに、高級コーチビルダーであるジャック・サウチックがボディワークを架装したという記録が残ります。
搭載されるエンジンは8.0リッター自然吸気直6(当時としてはかなり1気筒あたりの排気量が大きい)、アルミブロックとビレットスチール性クランクシャフトが採用され、最高出力は160馬力/3,050rpm、最高速度は177km/hというスペックを誇り、おそらく当時としては「規格外」のクルマだったのでしょうね。
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