
Image:Koenigsegg
| ケーニグセグとリマックほど「記録を抜きつ抜かれつ」している例は他にない |
しかしながら両者はけっこう仲がいいようだ
ハイパーカー業界における双璧が「ケーニグセグ(Koenigsegg)」と「リマック(Rimac)」。
両社は長年にわたり、圧倒的なパフォーマンスと革新的な技術を武器として、互いに記録を塗り替え続けてきたという歴史を持っており、特に「0-400-0 km/h」記録をめぐる戦いは、自動車ファンの間で最も注目されるテーマの一つとなっています。
ここでは両者のライバル関係の始まりから現在、そして未来に待ち受ける記録争いの行方を探ってみたいと思います。
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ケーニグセグが0-400-0km/h世界記録を再奪取|その記録25.21秒、わずか0.58秒差でリマックを抜き、リマックCEOはSNS上で対抗の意を示す【動画】
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ケーニグセグの歩み:スウェーデン発の挑戦者
ケーニグセグは1994年、当時わずか22歳だったクリスチャン・フォン・ケーニグセグによって設立されており、最初のプロトタイプ「CC」を1996年に発表したのち、2000年のパリ・モーターショーで大きな注目を集めることに。
その後は独自開発のエンジンやトランスミッション、モデルによってはハイブリッドシステムを搭載し、次々とハイパーカーを世に送り出しています。
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ケーニグセグはなぜエンブレムとは別に「ゴースト」をシンボルとして採用するのか?2003年の社屋焼失から救ってくれた空軍「F10部隊」の精神を引き継いでいる
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そして近年における代表作のひとつが2021年登場の「ジェスコ(Jesko)」。
最高速重視の「ジェスコ・アブソリュート」と、サーキット志向の「ジェスコ・アタック」という2バリエーションが用意され、記録更新マシンとしてリマックとのライバル関係を一気に加速させたのは記憶に新しいところですね。
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【最速記録更新】ケーニグセグ「サデアーズ・スピア」がグッドウッドで量産車最速に。47.14秒でヒルクライムを制す
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クロアチアの新星:リマックの台頭
一方のリマックは2009年創業。
創業者のメイト・リマックが19歳のとき、ガレージでBMW M3を電動化したことからその歴史が始まります。
その後2011年に「コンセプト・ワン」を発表し、世界最速のEVとして一躍注目を浴び、2018年にはフラッグシップとなる「リマック・ネヴェーラ(Nevera)」を発表。
The Rimac Nevera R is at the Bingo House for #MontereyCarWeek — all week long. Customer Neveras are here too with some epic specs. Contact @Bingo_International on Instagram or @AnnaFeneru to visit. #Rimac #MCW pic.twitter.com/96A92V37h5
— Rimac Automobili (@AutomobiliRimac) August 14, 2025
カーボンファイバー製ボディと4基のモーターを備え、瞬時の加速力をもって世界を驚かせますが、さらに2024年にはハイパフォーマンス仕様の「ネヴェーラR」を投入しています。
なお、メイト・リマック氏は33歳にして「ブガッティを手中に収め」、V16という途方もないエンジンを搭載したトゥールビヨンを発表していますが、間違いなく自動車史にその名を刻む人物の一人であると目されています。
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33歳でブガッティを支配下に置いた男、メイト・リマック。その生い立ち、これまでの歩みを見てみよう
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Monterey Car Week reminded us how far we’ve come — and how much further we’re going. With passionate people and incredible cars, we celebrated our journey and hinted at what’s next. Monterey, thanks for the memories. The best is yet to come.
— Rimac Automobili (@AutomobiliRimac) August 20, 2025
Read more: https://t.co/Ft5kJBqtsG pic.twitter.com/CskRmssQbt
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リマックとBMWとが提携を発表。リマックCEOの原点は「20歳の時に自宅でEVに改造したBMW 3シリーズ」にあり、そこから世界記録保持者、そしてBMWと提携するまでに
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勃発:0-400-0km/h レコードウォーズ
そして両者の本格的な戦いは2017年に始まり、まずはケーニグセグ・アゲーラRSが「0-400-0km/h」を33.29秒で達成。
その後、同社レゲーラやジェスコ・アブソリュートが記録を短縮し続けていますが、アゲーラRSは当時「ブガッティ・シロンが更新した記録」を短縮したものなので、現ブガッティ・リマックCEOであるメイト・リマックとしては、「ケーニグセグとは、(前体制ながらも)ブガッティを通じた因縁の関係」にあると言っていいのかもしれません。
一方、2023年にリマック・ネヴェーラがドイツのATPパーペンブルクで29.92秒を記録して王座に輝くものの、これに対しケーニグセグはレゲーラで28.81秒をマークし、さらに翌年にはジェスコ・アブソリュートが27.83秒へと短縮するなど、熾烈な競争が繰り広げられているというのが両者を取り巻く最近の環境です。
ネヴェーラRの大記録:24の世界記録を一挙更新
さらに2025年7月になると、リマック・ネヴェーラRはわずか1日で24種類ものパフォーマンス記録を更新し、この中の一つである「0-400-0km/h」25.79秒というタイムは従来比4秒以上の短縮となり、ケーニグセグに大きな衝撃を与えたと言われます。
- 出力:2,107馬力(従来比+200馬力)
- 0-60mph加速:1.66秒
- 最高速度:431.2km/h(268.2mph)
- 0-400-0km/h:25.79秒
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【世界最速EV再び】ケーニグセグやブガッティもなんのその、リマック「ネヴェーラR」、0-400-0km/h加速で25.79秒の新記録、さらにはEV最速記録を樹立【動画】
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ケーニグセグの逆襲:ジェスコ・アブソリュート
しかし、それからわずか1か月後、ケーニグセグは「ジェスコ・アブソリュート」で再び記録を奪還するのですが、リマックを0.58秒上回る結果を出しながらも「まだ改良の余地がある」とクリスチャン・フォン・ケーニグセグがコメントし、再度の(自身の記録への)挑戦を予告しているのが最新の状況。
- エンジン:5.1L V8ツインターボ
- 出力:1,280馬力(ガソリン)/1,600馬力(E85)
- 0-400-0km/h:25.21秒
次なる戦い:300mph(482.8km/h)の壁
なお、こういった「抜きつ抜かれつ」の争いを繰り広げているため、クリスチャン・フォン・ケーニグセグとメイト・リマックとはさぞや仲が悪いだろうと思われるものの、実際には両者の関係性は良好で、これまでにも幾度かの対談を通じ、お互いの理想などを語り合ったことも。
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「ケーニグセグ」「リマック」「ヘネシー」。ハイパーカーメーカーのCEOお互いの作ったクルマを乗り比べる。「もっと常識外れでもいい」「まるでハイパーゴーカート」【動画】
| 現在、ハイパーカーメーカーの市場は「競争」よりも「共存」であり、お互いをライバル視する関係ではない | そして一部の富裕層が「複数台のハイパーカー」を所有しており、彼らには「どれか一台」という選択 ...
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さらには、直近でケーニグセグがリマックの記録を更新したその直後、メイト・リマック氏は笑顔で「勝負だ」とコメントするなど再挑戦の意思を示しており、今後も両社の「良好な」ライバル関係が続くことになるのかもしれません。
そして次に注目されるのは「時速300マイル(482.8km/h)」の壁で、ケーニグセグ・ジェスコ・アブソリュートはその最有力候補とされ、タイヤ技術の進化によって数年以内に達成可能であると期待されています。
一方のリマックも、電動化のアドバンテージを武器にさらなる記録更新を狙っており、今後も「抜き抜かれつ」の勝負を期待したいところですね。
まとめ
ケーニグセグとリマックのライバル関係は、ハイパーカー史における黄金時代を築きつつあります。
今後も0-400-0km/h記録の奪い合い、300mph突破への挑戦など、自動車ファンにとって目の離せない展開が続くことになることは間違いなく、「内燃V8 vs EVクアッドモーター」――異なるアプローチを持つ両ブランドが、どのように未来を切り開いていくのか
これからの数年は、ハイパーカー史上最も熱い時代になるかもしれません。
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