| 販売スタッフからは開発秘話を聞くことができ、またとないエクスペリエンスとなるようだ |
もちろん「一般向けに販売」といえど、限られた顧客しか購入する権利が与えられないのは言うまでもない
さて、先日オークションへと「フェラーリのプロトタイプ」が出品されて大きな話題となりましたが、今回フェラーリが公式コンテンツとして「実はプロトタイプを販売している」ことに言及しています。
フェラーリの市販車の歴史は、使用済みレーシングカーを市販車へとコンバートして顧客に販売することからはじまっていますが、そういった経緯を考慮するに、フェラーリがプロトタイプを顧客に販売することはさほど不思議ではないのかもしれません。
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その名も「フェラーリ・スペシャル・セールス・プログラム」
このようなプロトタイプの販売はフェラーリの「スペシャル・セールス・プログラム」を通じて行われるといい、これはフェラーリが顧客(クライアント)との関係性を拡大・強化することを目的として2002年に開始したものだそうで、対象となる顧客は「すでにフェラーリを収集しているコレクター」「これからフェラーリを買い集めようと考えるコレクター」「特別なフェラーリを欲しいと考えるコレクター」。
上述のとおり、フェラーリではかねてより重要顧客を対象とし、引退したレーシングカーやF1マシンを販売していましたが(現在はF1マシンの販売を行っていない)、その後に(FXX、599XXなどの)XXプログラム用車両、そしてワンオフモデルの販売を行うに当たり、コレクターが「プロトタイプを欲している」ことに気づいたといいます。
多くのコレクターが「ほとんどのフェラーリ」を買い集めてしまい、より特別な、他の人が所有していないフェラーリを求めたということもあるかもしれませんが、フェラーリいわく「プロトタイプを求める顧客はフェラーリの開発プロセスを共有したいと考えていた」。
そしてこれがフェラーリ・スペシャル・セールス・プログラムのはじまりということですね。
フェラーリでいう「プロトタイプ」とは?
ここでいう「プロトタイプ」については基本的に開発用車両を指しており、そのもっとも初期段階では未来の市販車に採用されるエンジン、サスペンション、エアロダイナミクスに関連する新しい技術、最近だとエレクトリックパワートレーンをテストする車両のことを指し、フェラーリはこれを社内呼称として「ミューレット(小さなラバ)」と呼んでいるようですね。
そしてこのミューレットは「開発する車両とアーキテクチャができるだけ似ている既存モデル」に新しいコンポーネントを組み込んだもので、最近の例だと「ローマにV12エンジンを詰め込んだ」プロトタイプがこれに該当するのかもしれません。
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そしてこのミューレットをもう一段階推し進めたものが「ムロティーポ」と呼ばれるもので、これは新しいコンポーネントを使用・搭載した新型車ではあるものの、まだまだボディは調整産階にあるといい、しかしその外観は最終の仕様に近いものを持っているのだそう。
さらに一段回進むと「プロトティーポ」と呼ばれる試作段階に到達し、これはメカニズム、インテリア、エクステリアふくめ「最終段階」に達しているクルマだと紹介されています。
プロトタイプはフェラーリの歴史において重要な意味を持つ
これらプロトタイプは公道走行用のホモロゲーションを取得していないので一般道を走行することはできませんが、そのぶん「一般の人が目にすることはない」貴重なモデルであり、フェラーリが未来のモデルの開発のために使用するものだということを考慮すると、それらが持つ意味は非常に重いものとなってきます。
つまりこれらプロトタイプを手にするということは、フェラーリの歴史へと踏み込むことにほかならず、そしてこれらプロトタイプはフェラーリのファクトリーが直接販売することになるため、コレクターにとっては”フェラーリの工場の奥深くにまで”入ることができる貴重な機会となるのだそう。
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このフェラーリ・スペシャル・セールス・プログラムが開始されて以降、ラ・フェラーリ、F12tdf、モンツァSP1 / SP2のプロトタイプ「ごく少数」が販売されたといいますが、そのいくつかは競売にも登場し、非常に高い注目を集めたのは記憶に新しいところでもあります。
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そして今回、フェラーリはそういったコレクターの一人であるロレンツォ・イノチェンティ氏を紹介していますが、同氏いわく「完成した車を見慣れた私たちは、その開発段階において、どれだけの労力が費やされているかを知りません。フェラーリの世界の50%は通常、我々クライアントの目には入らないのです。それは最終的なロードゴーイング・カーへとつながる、人、研究、テストによって構成される世界です」とコメントしており、この人物はフェラーリの「より深部へと」興味を向けたコレクターの一人なのでしょうね。
さらに同氏は、このプログラムがフェラーリの開発スタッフと直接関わることのできる体験ともなるため、コレクターにとってまたとないエクスペリエンス、またほかに類を見ない付加価値となることについても言及しており、「私のような熱狂的なコレクターにとって、どういった課題や技術的ハードルがあるのかを含め、プロトタイプから最終型にいたるまでの車両開発プロセスについてスタッフと話し合うことができる機会は、まさに嬉しさを増大させてくれる比類なき体験なのです」とも語っています。
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