| 計器上ではエレクトリックモーターが「どこまでパワーを開放しているのか」がわかりにくい |
おそらく、今後もっとPHEVやピュアEVが普及するとそれらのパワーチェックに関するノウハウが蓄積されてゆくだろう
さて、BMWのチューニングスペシャリストとして知られるIND ディストリビューションがBMW XM(G09)をシャシーダイナモを使用してパワーチェック。
IND ディストリビューションは「業界初」とされるG87世代のM2のパワーチェックを行っていますが、このXMもやはり世界初だと思われます。
なお、このXMは4.4リッターV8ツインターボエンジンにハイブリッドシステムを組みあわせて653馬力を発生する「モンスターSUV」のひとつですが、その馬力計測の結果を見てみましょう。
BMW XMはこんなクルマ
このBMW XMは実に40年ぶり、M1に続く2台めとなる「M」専売モデル。
それだけ久しぶりのM専売モデルであれば「(M1後継など)スポーツカー」にすべきだったのではという指摘が方々からなされているものの、これに対してBMWは「スポーツカーよりもSUVのほうが利益の回収が容易」「加えてBMWは他社に対抗しうるハイパワー、超高級SUVを持たない」という理由から(今回のM専売モデルについて)SUVを選択したとコメントしています。
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実際のところとんでもない存在感を持っていますが、このデザインでクルマを市販するという決断を下せるのはさすがBMWといったところでもありますね(正直言うと、ぼくはXMはじめ最近のBMWのデザインには肯定的である)。
そしてやはり目を引くのはこの「光る」ウルトラジャンボキドニー(BMW市場最大の面積を持つらしい)で、今後「光るグリルフレーム」は新型5シリーズほか、様々なモデルに引き継がれるものと思われます。※XMについては、スプリットヘッドライトがさらにそのグリルの大きさを際立たせている
ちなみにですが、BMWは何でもかんでもグリルを巨大化しているわけではなく、「巨大グリルを持つのはトガった人が買うモデルであり、普通の人が買うモデルには普通のグリルを与えている」とコメントしていますね。
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そしてパワーチェックに際しては車体をガッチリ固定。
重量があり、さらに(197馬力を発生するエレクトリックモーターを持つ)ハイブリッドカーということもあって予想外の事態に備えたのだと思われます。
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そしてエンジン冷却用のファンをセットし・・・。
早速フルスロットルにてパワーチェックを開始。
実際に出力を計測したらこうなった
そして今回計測を行った結果だと最高出力は614.84PSとなり、4WDということを考慮してパワーロスを考慮するとおおよそエンジン+エレクトリックモーターのみで770馬力程度を発生している計算に(メーカー公称値はエンジンやエレクトリックモーター単体、もしくはそれら合算での数値であり、トランスミッションやデフ、ドライブシャフト、さらに補機類に奪われるパワーを考慮していない)。
BMWはちょっと前のターボエンジン採用時代からパワーをひかえめに主張する傾向があり、今回のXMについても公称値である653馬力(644PS)を大きく超える出力を発生していることが証明されています。
ただ、今回のパワーチェックにおいてはいくつかの「疑問点」があり、ハイブリッドシステムが作動していることは(メーターから)確認できたものの、それがどれくらいの出力を発生しているのかどうかが不明となっていて、つまりエレクトリックモーターがパワーを出し切っていたのかがちょっとナゾ。
加えてバッテリーの充電状況によってパワーが制限される場合があり(多くのハイパフォーマンス型プラグインハイブリッドでは、充電量が一定以上でないと出力が制限される)、もしかすると「もっと」パワーが出ていた可能性もありそうです(今回、バッテリーはフル充電ではなかったらしい)。
加えて6,500回転あたりでパワーとトルクが一瞬上がっていて、この現象もこれまでの(ガソリンエンジン搭載の)ハイパフォーマンスカーからすると理解に苦しむ現象です。
つまりパフォーマンス型ハイブリッドカーでは「まだまだ理解できないことがあり、正確なパワーを知ることは難しい」のが現状ということになりそうですが、「駆動ロス」に関しても、エレクトリックモーターがトランスミッション内に組み込まれるのか、それとも変速機無しで(デフのみを介して)前輪を直接駆動するのかによって大きく変化が出るのかも。
そう考えると、ピュアエレクトリックモデルだともうひとつ「ロス」に関する考え方が変わってくるものと思われ、こういったナゾは時間の経過とともに解き明かされてゆくのかもしれません。
BMW XMがシャシーダイナモにてパワーチェックを行う動画はこちら
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