| パガーニがいくら欲しがっても、メルセデスAMGがV12エンジンの供給をストップする可能性も否定できない |
パガーニとしては「パワートレインの確保」が非常に大きな課題となりそうだ
さて、「EVを作らない」と宣言したパガーニですが、電動化への道を完全に捨てたわけではなく、どうやら水面下ではその研究が行われているもよう。
なお、パガーニは「年産1,000台以下」の自動車メーカーなので、2035年以降は(代替燃料を使用しない)内燃機関車販売禁止」の適用を受けず、よって2035年以降もガソリンエンジン車の製造を問題なく続けることができるのですが、「もしも」のことを考えて電動化を考えているのかもしれません。
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というのも、パガーニが現在搭載しているのはメルセデスAMG製のV12エンジンで、しかしメルセデスAMGがいつ「V12エンジンの供給をやめる」と言い出さないとも限らないからだと思われ、その時が来たとしても、V12エンジンに勝るとも劣らぬ代替パワートレインを準備しておく必要があるからだと考えられます。
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ただし現時点では「バッテリーが重すぎる」
今回カーメディアに対し「パガーニの電動化」について語ったのは創業者であるオラチオ・パガーニ氏の息子、クリストファー・パガーニ氏。
同氏は「既存のバッテリー技術では、バッテリーが重すぎてパガーニが望むスペックとパフォーマンスを持つEVを作ることはできない」と語っており、パガーニはたとえEVであったとしても、現在のパガーニ各モデルに共通する”軽量性”を維持したいと考えているようですね(当然のことではある)。
実際のところ、EVを作ろうとして真っ先に行き当たる問題が「バッテリー」で、スポーツカーであればその「重すぎるバッテリー重量」が問題となるわけですが、スポーツカーはそもそも(セダンやミニバン、SUVとは異なり)高速走行を行う機会が多くなり、しかし高速走行はもっともバッテリーを消耗する条件のひとつです。
よって、「サーキットを何周かできるようにすると」必然的に大きなバッテリーを積む必要があって、そうなると車体重量が重くなり、そして結果的には運動性能が大きくスポイルされることになるわけですね。
参考までに、先日発表されたケータハム・セブンEVは「内燃機関をそっくりエレクトリックパワートレインに置き換えた」ピュアエレクトリックカーで、これによって車体重量は70kg増加しており、サーキット走行できるのが約20分、そして充電にかかるのは15分だとされ、しかしこの「20分」というのはニュルブルクリンクだと「2周できるかどうか」。
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しかも自走してやってきたとすれば、サーキットに着いてまず充電を行わなければならないということを意味し、つまり現時点のバッテリー技術では「いかに自動車メーカーが努力したとしても」ドライバーにとってはフラストレーションの溜まる性能しか実現できないのかもしれません。
仮にこれがサルーンやSUVなど、重量をあまり気にしなくてもいいクルマ、そしてサーキットを走る機会の無いクルマであれば「バッテリー搭載(EV化)による重量増加」をさほど気にする必要はなく、しかしスポーツカーとEV化というのは”かなり相性が悪い”組み合わせだと言えそうです。
パガーニは2018年からEVの開発を行っている
なお、パガーニはけっこう早い段階から「ピュアエレクトリックハイパーカー」の開発を行っており、その時の計画では「次期ハイパーカー(ユートピア)のモデルライフ後半にはEV版を追加する」としていたものの、2022年には「4年間EVの可能性を追求してきたが、どうやっても求める性能や楽しさを実現できない」としてこの計画をキャンセルすると発表しています。
ただ、今回の報道では「EVの可能性を現在も追求している」ということになり、しかしその理由はちょっとナゾ(やはりV12の寿命が近いのかも)。
そしてクリストファー・パガーニ氏は「(V12エンジン供給元の)メルセデスAMGと、次に何ができるかを検討している最中」だと述べており、つまりパガーニはパワートレインを今後もメルセデスAMGに頼ることが推測されますが、やはりV12エンジンはもう手に入らなくなるだろうこと(メルセデスAMGはエンジンを供給するだけなので規制の影響を受けないが、ガソリンエンジンそのものから撤退した後、パガーニのためだけに年間数十基という数を作るのはワリに合わない)が予想され、そのV12エンジンの「次」について話し合っている、ということになりそうですね。
ただ、その「次」についてもまったく情報がなく、「V8ツインターボ+ハイブリッド」なのか、それとも「ピュアエレクトリック」なのかは一切分からず、しかしパガーニもまた一つの時代を終えようとしていることは間違いないのかもしれません。
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参照:TopGear.com