| パガーニはなによりも軽量性、そして楽しさを追求しており、求めるのは「パワー」ではない |
さらにハイブリッドシステムを積むとマニュアル・トランスミッションに対応できない
さて、パガーニはつい先日、V12ツインターボエンジンを搭載し864馬力を発生するウアイラの後継モデル「ユートピア」を発表したばかりですが、そのユートピアは「ハイブリッドシステムの導入によって、1,000馬力にまで出力が引き上げられる可能性があった」と報じられています。
なお、パガーニはこのユートピアにつき、将来的には電動化を行い、モデルライフ後半にはピュアエレクトリックモデルを追加するとコメントしていた時期もあったものの、その後様々なテストを経て「電動化によって人々を感動させることはできない」という結論に至ったといい、そのため「今後(しばらくの間は)ハイブリッド、ピュアエレクトリックカーといった電動車を発売しない」と断言するに至っていますね。
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メルセデスAMG由来のハイブリッドシステムをテストしたことも
そして報道によると、パガーニは「メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスに積まれる4.0リッターV8ハイブリッドをテストしたこともある」と語っており、これはそのままでも831馬力を発生する強力なシステムではあるものの、パガーニではこれを1,000馬力まで引き上げることができた、とのこと。
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ただし実際にはこのV8ツインターボ+ハイブリッドはユートピアには搭載されず、結果的に選ばれたのはウアイラと同じV12ツインターボ(このV12ツインターボもメルセデスAMGからの供給)。
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ただしパガーニにとって「重量増加」は許容できない
その理由についてパガーニ創業者、オラチオ・パガーニ氏は「ただただ重かったから」と語っていて、もしV12ツインターボではなくV8+ハイブリッドをパワーユニットとして選択したならば、+200馬力程度のアドバンテージを得ることができるものの、シミュレーション上ではニュルブルクリンクでのラップタイムが(V12ツインターボに比較して)5秒程度遅くなる、とも。
加えてオラチオ・パガーニ氏は「パガーニのクルマは軽量であることが前提です。電動化のための開発には投資し続けるが、我々にとって最大の目標は、クルマをより楽しく、よりパガーニらしくする方法を見つけることなのです」と語っており、現段階では電動化はその方法ではない、ということになりそうですね。
実際のところ、つい先日発表された新型メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスは、先代の4リッターV8ツインターボエンジン搭載版「C63 S」の510馬力から一気に680馬力にまでパワーアップ。
これに積まれるパワーユニットは2リッター4気筒ターボ+ハイブリッドという構成ですが、排気量やシリンダー数が半分になっても「ハイブリッド化によって」170馬力の(総合での)出力向上を果たしていて、これをみても電動化の恩恵は明らかです。
ただ、(4WDや4WS化されたこともあるが)そのぶん重量は1,680kgから2,036kgへと増加しており、オラチオ・パガーニ氏はこういった重量増加を嫌ったということになりそうですね。
さらにユートピアの車体重量は1,280kgと非常に軽量であり、ここに200kg〜300kgがプラスされることはオラチオ・パガーニ氏にとって許容しがたいことだったのかもしれません。
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さらに「ハイブリッド化」にはこんな懸念も
このほか、メルセデスAMG GT 63 S Eハイブリッドのシステムを使用する場合は4WD化する必要があり、これもまたオラチオ・パガーニ氏にとって納得できないところだったのかも。
もちろん4WDといえども、電制デフやトルクベクタリングによって「後輪駆動らしさ」「駆動力で曲がる」演出は可能ではありますが、それらはあくまでも「演出」であってそのクルマが本来持つキャラクターではなく、パワーアップとひきかえに、どんどん重量が重くなり、構造が複雑になり、電子制御が介入してピュアさが失われることを避けたかったのだと思われます。
そしてもう一つ需要なのは、メルセデスAMG GT 63 S Eハイブリッドのパワートレインは「9速デュアルクラッチのみ」で動作するということで、おそらくはマニュアル・トランスミッションとの組み合わせは「不可」。※一般にハイブリッドシステムとマニュアル・トランスミッションとの相性はよくなく、かつMTと組み合わせる意味も(おそらく)存在しない
こういった様々な要素から「V8+ハイブリッド」ではなくV12エンジンオンリーを選んだということになりそうです。
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参照:Motor1